【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 個人投資家の復活が熱望される株式市場!
株式評論家 杉村富生
「個人投資家の復活が熱望される株式市場!」
●全般相場が上放れるには売買代金の膨らみが必要!
個人投資家の皆さんの多くが迷っている。いや、個人投資家の現金比率の30%割れ(1990年以来の水準)が示しているように、“株式離れ”が顕著である。異常な超低金利時代だというのに、個人金融資産の5割強の900兆円が現・預金として放置されている。これはどうしたことか。
筆者は8月中旬以降、会津、加須、名古屋、福山、横浜、徳島、松山、東京などにおいて株式講演会を行った。会場はどこも満員の盛況となる。しかし、誰も積極的にリスクを取ろうとしない。そろって「下ブレの不安」を口にする。
確かに、テーマ性を有する小物は別だが、主軸株は手掛けづらい。日経平均株価、TOPIXともに現状の2兆円以下の売買代金(9月14日の東証1部の売買代金は1.7兆円)では目先、上値を追うのは難しい。ちなみに、1万6500~1万7000円の累積売買代金は146兆円もある。このゾーンを突破するには3兆円超の売買代金が必要だろう。
●超低位株、割安株がなぜ、こんなに多いのか?
なお、個人投資家の参加が少ないマーケットの状況を端的に示しているのが超低位株の存在だろう。現在、株価50円以下の銘柄が31銘柄(全市場ベース)ある。ほとんどが債務超過、事業継続に疑義の注記、赤字など問題企業だが、連結剰余金を有し、営業損益が黒字、そして有配の企業が3社含まれている。株価が20~30円なのに、株主優待制度を導入している企業だってある。
基本的に、株価100円未満の銘柄は機関投資家、法人は買わない。頼みの個人投資家が見送り姿勢を強めると、超低位株が増える。実際、100円未満の銘柄は125銘柄もある。経験則的に、日経平均株価が2万円に乗せると、これが激減する。全般カサ上げ現象が起きる。
個人投資家が戻ってくれば超割安株も消える。寺崎電気産業 <6637> [JQ]はPERが3.9倍(2018年3月期の1株利益は200円の予想)、PBR(1株純資産は2120円)が0.38倍に過ぎない。バラスト水処理関連との切り口がある。
小田原機器 <7314> [JQ]はPERが10.5倍(2017年12月期の1株利益は50円の予想)、PBR(1株純資産は1570円)が0.34倍と出遅れが著しい。今期は15円(6月末に1対2の株式分割を行っており、実質30円)配当を行う。
2016年9月15日 記
株探ニュース