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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆小池都知事の三連発◆


〇都改革、仕切り直しの構造改革への影響を注目〇

就任1ヵ月余、公約通り、情報開示を伴った小池都政改革が動き始めた。事態は流動的になるので、成否の行方は不透明だが、問題が次々に暴露されるなど、新風を巻き起こしつつある。有識者会合ばかり開いていると揶揄されるアベノミクスに好影響となるか注目されるところだ。

最も話題性が高いのは築地移転・豊洲問題。新事実が次々に明らかになりつつあるため、事態は流動的だが、今のところ「延期表明」で起こった反発の声は封じ込められつつあり、小池ペース。都政の闇=既得権益に切り込む期待がある。この問題を安倍内閣に当て嵌めると、原発問題が相当しよう。映画等が作られ、当時の経緯が徐々に明らかになっているが、肝心の原発の実態があまり明らかにされず、凍土壁失敗などへの対応が不十分と見られる。予算は廃炉対策を含め膨張の一方で、反原発運動や小泉元首相の「アンダーコントロールでない」批判などの声に対処する必要がある。少なくとも、除去できないトリチウムを含む汚染水対策の抜本的処理(海洋放出)に取り組む必要があろう。本来ならコアストックの電力株の投資を行い難い状況、電力改革(送配電分離や自由化)への評価が難しい状況が続いている。

9月2日から、都のHPで消えていた「朝鮮学校調査報告書」を再掲載した。11~13年に都内朝鮮学校11校の教育実態を調査したもので、猪瀬知事時代に公表されたもの。朝鮮総連と一体になった実態が明らかにされ、この先に朝鮮大学校→科協(在日本朝鮮人科学技術協会)→核・ミサイルの技術者養成問題がある。小池知事は朝鮮大学校認可(美濃部知事が認可)再検討を表明している。先日の日本の排他水域へのミサイル発射、核弾頭と見られる核実験連発に対し、安倍首相は「従来と異なる対応」を表明しているが、朝鮮総連問題に踏み込む可能性も考えられ、小池都知事との連携は注目点となる。なお、全くの余談だが、地下核実験の揺れが大きかったことで、白頭山爆発(10世紀に大爆発、降灰は北海道、東北に及んだとされる。日本の貞観大地震との連動→15年噴火説があった)を招くとの噂が出た。地震が起こったのは韓国・慶州だが、M5超連発と1978年の観測開始以降、最大規模。朝鮮半島の地学的リスクにも注意が要る。

9日、小池都知事は保育所整備のための126億円規模の補正予算案を発表した。都内に82万戸あるとされる空家・空き店舗を活用、小規模保育所や保育士の社宅整備、待遇改善を打ち出した。言わば、省庁・部署の垣根を超える発想で実効性を問う。また、東京駅前に国際学校誘致を表明した。外資系企業幹部などの子供養育環境を整え、企業誘致・拡大につなげる意向。一億総活躍相や少子化担当相は何をしているのかと映る。

マクロ的な閉塞感のある市場では、小粒でも実効性のある改革の動きに関心が高まり易い。刺激を受けるアベノミクスの各論進行に関心が高まろう。



以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/9/13号)

《TM》

 提供:フィスコ

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