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【特集】日銀“小出し緩和”で大波乱、来週以降の展開は? <株探トップ特集>

29日、日銀の声明発表後、日経平均は乱高下の展開となった

―終わってみれば日経平均92円高、東京市場の今後を読む―

 日銀が29日に発表した金融政策決定会合の追加金融緩和の内容を受け、後場の東京株式市場で日経平均株価は波乱展開となった。主な緩和策が、上場投資信託(ETF)の買い入れ額拡大のみにとどまったとの受け止めから、期待した内容に達していないと判断され日経平均の下落幅は一時、前日比302円に達する場面もあった。ただ、その後は買い戻しに拍車がかかり、終値は92円43銭高の1万6569円27銭と切り返した。一方、外国為替市場では一時1ドル=102円台後半までの急騰をみせ、その後も103円台での推移となっている。株式相場は今後、日銀の判断をどう織り込んで推移するのか。

●ETF買い入れを6兆円に増額

 日銀は28~29日にかけて開催した金融政策決定会合で、英国の欧州連合(EU)離脱問題など国際金融市場で不安定な動きが続いていることなどを理由に、追加的な緩和を決定した。上場投資信託(ETF)の買い入れ額を従来の年間3兆3000億円から6兆円に拡大する。また、日銀が企業の海外展開支援でドル資金を供給する総枠を現行の120億ドルから240億ドル(約2.5兆円)に拡大。加えて、金融機関に対するドル資金供給オペで担保となる国債を日銀が貸し付ける制度を新設する。

 ただ、金融市場調節方針、ETF以外の資産買い入れ方針、政策金利については、これまでの方針を維持する。なお、次回の金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和」「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行うとした。

●マイナス金利据え置きで銀行株買われる

 市場では、事前に資金供給量の増額などに期待する声も上がっていただけに、“緩和が小出し”との受け止めが広がり、株安・円高が進行する背景となった。ただ、一方通行の急落展開とならなかったのは「きのうまでの段階で、何らかの緩和策が打ち出されても、期待値を超えるよほどプラスサプライズな内容でない限り、いったん売られる可能性が高い」という見方が広がり、事前に株価水準が低下していたことがあるようだ。

 さらに、市場関係者からは「事前に観測が浮上していたマイナス金利の引き上げを実施せずに、据え置いたことで銀行株に買い安心感が広がったことも大きかった。また、日銀政策決定会合というイベントに伴って、1ドル=103円台へと円高・ドル安が進行したものの、日経平均は円高に対してある程度の抵抗力を示して踏みとどまったのも好感されたようだ」との見方が出ていた。

 大きなイベントが終了したことで、今後円相場が1ドル=105円を軸として比較的安定した推移となれば、本格化している4-6月期決算発表を注視しながらの好業績銘柄の個別物色という流れが顕在化してくることになりそうだ。


※きょうの株探トップ特集に続き、あす30日(土)に
 相場観特集「日銀が追加緩和、こう読む8月相場!」をお送りします。

配信時間は次の通りです。
 16時00分 窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
 18時00分 佐藤正和氏(外為オンライン・シニアアナリスト)
 20時00分 高橋春樹氏(執行役員・商品本部長)

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