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2016年07月25日20時40分

【特集】日本株「大復活」予兆か――外国人・参院選後“1兆円買い”の意味 <株探トップ特集>

参院選明け7月第2週、外国人投資家は日本株を現物・先物合わせ約1兆円の巨額買い越し。その意味するところは――。

―7月第2週、買い主体入れ替わりの「ターニングポイント」―

 東京株式市場は参議院選で与党が大勝した翌日の7月11日以降、急速な戻り足をみせたが、その原動力となったのは外国人投資家の存在だった。足もと日経平均株価1万6000円台後半では戻り売り圧力の強さも意識され、1万7000円大台回復は今のところおあずけの状態となっている。果たしてここからの上値の可能性をどうみるか。相場の帰趨を握る外国人投資家の動きは、市場関係者の間でも注目の的となっている。

 7月第2週(11~15日)の投資部門別売買動向によると外国人投資家は2週ぶりに大幅に買い越しに転じ、その金額は3511億円に達した(東証・名古屋1・2部、新興市場合算)。2週ぶりといっても6月第5週の買い越し金額は105億円に過ぎず、6月月間ベースでは差し引き2630億円の売り越しだった。また、外国人は7月に入っても第1週は1749億円の売り越しであったから、少なくともこの時点では“日本株売り”の姿勢を継続していたことが明らかである。

 ちなみに、外国人が売り姿勢を続けていた間は、国内の年金資金など国策的な買いを反映した信託銀行が一貫して買い支えていたが、7月第2週はわずかながら57億円の売り越しに転じている。つまりこの週は国内外機関投資家の買い主体が入れ替わった大きなターニングポイントとなった。

 さらに、外国人投資家は7月第2週に先物でも6457億円の大量買い越しに動いており、現物と先物合わせ9968億円、何とほぼ1兆円に及ぶ巨額の買い越しを記録していることは要注目といえる。日経平均は7月第2週に5営業日で約1400円の上昇をみせたが、これは外国人投資家の日本株への評価のコペルニクス的転回がもたらせた上げ相場であったことを物語っている。

●政策サプライズに群がるマネー

 では、外国人投資家の投資スタンスを大変化させた要因は何か。7月10日の参院選で自民・公明の与党が大勝を収め、安倍政権の求心力が高まったことが背景にあることは間違いないところだが、一般的な目線で見れば、半ば想定通りとみられた選挙結果がそれほどのインパクトにつながったことに違和感を持つ投資家もいるはずだ。第一線の市場関係者はどうみているのだろうか。

 これについて、ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏は「外国人投資家は、参院選の与党大勝という事実よりも、その後、間髪を入れずに安倍首相(もしくはその周辺)が経済対策の具体的な内容、例えば建設国債を発行して財源を確保するなどのアナウンスがなされたことや、タイミングを(参院選後に)ピタリと合わせたバーナンキ元FRB議長の来日で、ヘリコプターマネーについての議論がにわかに注目を集めたことを重視している」という見方を示している。

 また馬渕氏は「もちろん、日銀が額面通りのヘリコプターマネーを導入するとは、外国人投資家も思っていない」と断りを入れたうえで、「私の知り合いの米系機関投資家は“Likeヘリコプターマネー”、つまり財政ファイナンスではないけれど、実質的に出口の概念に縛られない日銀の強力な緩和姿勢に期待していると言っている」と米系マネーの胸の内を代弁する。

●長期資金ではなくヘッジFなど短期筋が主導

 それでは、7月第2週の外国人買いの今後の持続性について市場関係者はどうみているのか。

 松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「米国や欧州系年金などの足の長い資金ではなく買いの主体はヘッジファンドをはじめとする短期資金。ブラックロックのETFフローはむしろ売り越しだったことにも、今回の大幅買い越しでファンダメンタルズを重視する長期筋が音無しの構えだったことを物語っている」と指摘する。

 これまで売り仕掛けの主体だったところが買い戻し、同時にドテン買い(スタンスを180度転換して一気に買い乗せる)を含めた買い攻勢に動くところも多数出たもようで、いずれもトレンドフォローで利益を挙げるCTAや、経済や政治的見通しを絡め仕掛け的な売買を行うグローバル・マクロの存在が主役を担った可能性が高いようだ。

 窪田氏は「外国人投資家のマインドが変わったわけではなく、持続性には懐疑的な部分もある。当面のポイントとして日銀の金融政策決定会合が29日にどういう結果となるかで相場は大きく変わる。追加緩和見送りとなった場合、急落は回避できない。また、中途半端な緩和策でも出尽くしあるいは失望売りにつながる可能性が高く、日銀は極めて難しい舵取りを迫られている」という見解を示す。

●頼みの綱は米国株の動向

 しかし、光明が見えていないわけではない。日本株だけでなく世界のマーケットにとって頼みの綱となっているのは米国経済と株式市場の強さだ。7月11日以降の日経平均の異彩高は目に焼き付いているが、きょうまでの10営業日で7勝3敗。同期間中これに先立つNYダウは高値圏にもかかわらず9勝1敗で、これが東京市場を先導した真の立役者かもしれない。

 第一生命経済研究所 主任エコノミストの桂畑誠治氏は日本株の先行きにそれほど楽観していないというが、「米国株が最高値圏で頑強な動きを続けているうちは、グローバルにリスクオンの流れが継続する。外国人投資家にとって日本株は今のところアジアの一部にしか見られていないが、それでも比較感から見直し買いを誘導する。米国経済指標は今後も強めの数字が予想され、急な円高に振れにくい点もプラスに作用する」という考えを示している。

 前出の馬渕氏も「海外の中長期資金は参院選後にいきなり買いスタンスを強めた気配はないけれど、かといって日本株を見切ったわけではなく、今年度に入り粛々と買いを入れている実態がある。外国人投資家といっても短期資金の動きだけに惑わされ過ぎては大勢を見失う」と指摘している。

 依然として日本株の出遅れ感が顕著であることは確かであり、要は買いの根拠が明確に浮上すれば、相場本格上昇のスイッチが入る可能性が高い。海外の中長期資金は、日銀の金融政策と政府の経済対策の両輪が揃う場面を注意深く見守っている。


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