市場ニュース

戻る
2016年07月30日16時00分

【特集】窪田朋一郎氏【日銀が追加緩和、こう読む8月相場!】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 29日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合での追加緩和決定に絡み乱高下となった。銀行や不動産株などを中心に売買が錯綜し、“ポケモン狂騒曲”の後は“追加緩和祭り”ともいうべきハイボラティリティな相場が繰り広げられた。為替も急激な円高に振れるなど風雲急の気配を漂わせている。思惑が入り乱れる8月のマーケットを市場関係者はどうみているか。株価や為替の先行きについて意見を求めた。

●「当面は下振れリスクが意識される展開に」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 日銀が今回打ち出した追加緩和策について評価のポイントは大別して3つに分かれる。まずETFの買い入れ枠拡大について、これまでの3.3兆円から6兆円とほぼ倍増水準に増やしたことは、とりわけ株式市場にとっては需給面からも下支え効果を発揮することから、素直にプラス材料として評価してよいと思う。

 ただ、日経平均株価が参院選通過後の7月第2週(11~15日)に一本調子の上昇をみせた背景には、広義のヘリコプターマネーへの思惑があった。今回、国債買い入れを年間80兆円で据え置いたことが、マーケットの期待感の剥落につながったことは否めない。したがって、ETF買い入れ強化の一方、政府の経済対策とのシナジーを生む国債の買い入れ枠を現状維持としたことで、この2つの部分での評価はフラット(プラスマイナス・ゼロ)とみている。

 3つ目のポイントとして米ドル資金供給(および担保貸付制度の新設)は、銀行にとって外貨資金調達を安定化させるポジティブ材料となるが、恩恵は国際展開するメガバンクなどに限られ、地銀セクターなどにはメリットが及ばない、そのため評価も限定的となる。

 このほか、マイナス金利を据え置いたことは、銀行セクターの収益悪化懸念には歯止めがかかるものの、一方で有利子負債や資金調達コストの低減効果を期待した不動産セクターなどにはネガティブに働く。業種によって明暗が分かれ、ここも全体観として一元的な評価は難しい。

 結果的に株式市場に与える浮揚効果は限られるだろう。日経平均はどちらかといえば下振れリスクのほうが大きいとみている。(29日はプラス圏で着地したが)上値追いトレンドには発展しづらく、日経平均は1万5800円前後を視野に下値を試す展開を想定している。8月相場の見通しとしては、これまで通りボックス圏の往来が続くとみており、1万5000~1万7000円のゾーンから離脱するのは容易ではない。

 個別には四半期決算発表を横目に好業績銘柄がピンポイントで買われる地合いが続きそうだ。セクター別では銀行株が相対的に有利で、特にメガバンクの動きは注目されるが、全体相場が弱含むなかでは上げ幅も限られよう。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。


株探ニュース

日経平均