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【特集】佐藤正和氏【日銀が追加緩和、こう読む8月相場!】(2) <相場観特集>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 29日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合での追加緩和決定に絡み乱高下となった。銀行や不動産株などを中心に売買が錯綜し、“ポケモン狂騒曲”の後は“追加緩和祭り”ともいうべきハイボラティリティな相場が繰り広げられた。為替も急激な円高に振れるなど風雲急の気配を漂わせている。思惑が入り乱れる8月のマーケットを市場関係者はどうみているか。株価や為替の先行きについて意見を求めた。

●「戦力の逐次投入との見方も、100円割れの円高も意識」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 日銀の追加緩和への期待は高まっていた。市場には「量的緩和」「質的緩和」それに「マイナス金利政策」による3次元緩和実施の期待も膨らんでいた。

 それだけに、追加緩和がETF(上場投信)の買い入れ額を3.3兆円からほぼ倍増の6兆円に拡大させるにとどまったことは、市場に「規模は小粒」との印象を抱かせた。

 2%の物価目標は達成が難しい状況にあり、日銀の手詰まり感を強く感じさせる結果だ。とりわけ、日銀はかねてから金融政策に関して「戦力の逐次投入はしない」と表明してきた。しかし、今回の結果は、戦力の遂次投入と受け止められかねず、黒田総裁の発言や日銀に対する信頼を失わせる可能性もある。今後の追加緩和があっても、国債買い入れ額の80兆円の拡大などにとどまり、その威力も「バズーカ」というより「ピストル」程度にとどまるかもしれない。

 あとは米国の早期利上げがどうなるかだが、8月の雇用統計の結果などが注目されるものの、年内の米利上げは1~2回程度となることもあり得る。

 こうしたなか、ドル円相場は円高基調が継続しそうだ。9月末を視野に入れた場合のドル円の想定レンジは1ドル=97~107円で、105円や100円が上値抵抗線となる可能性もある。

 先行きは、8月下旬の米ジャクソンホールのシンポジウム、9月以降は米大統領選の動向に焦点が当たるだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。


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