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【特集】田部井美彦氏【決算発表一巡! ズバリ狙いたい有望株】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 企業の16年3月期決算発表がほぼ出そろった。株式市場では、当然ながら17年3月期の業績見通しを背景に個別銘柄の株価も明暗を分けるパターンが想定される。収益実態や変化率を材料に今後、株価上昇が見込める銘柄は果たして何か。第一線で活躍する証券関係者に、今期業績を判断材料とした全体相場の見通しと、上値余地が期待される狙い目の銘柄について意見を聞いた。

●「サミット控え政策関連銘柄に物色の矛先」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 全体相場がやや落ち着きを取り戻してきた。相場上昇の足かせとなってきた原油価格が底打ちから反転上昇基調に転じてきたのに加え、外国為替市場での円相場が足もとで落ち着きをみせはじめている。これに消費増税先送り機運が浮上してきたことや、伊勢志摩サミット開催に前後して景気対策の顕在化が予想される。

 したがって、円相場の変動に左右されながらも、サミット開催までは押し目買い基調により小康状態が保たれることになりそうだ。3月期決算企業の決算発表や業績見通しがほぼ出そろったことから、市場参加者の関心が企業業績から投資テーマを主体とした物色に移行する可能性が高い。経済対策を中心とした政策関連や円相場の変動に比較的左右されにくい新興市場などの中小型株に物色の矛先が向くことになりそうだ。

 個別銘柄では、スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> に注目。パソコン用やスマートフォン向けのインラインゲームのヒット作が相次ぐことが確実視されており、17年3月期の連結業績見通しは保守的で、上方修正される可能性がある。

 東証2部上場のスター・マイカ <3230> [東証2]は、中古区分所有マンションへ投資し、賃貸と売却を組み合わせて物件運営を主体としている。扱っている物件の多くがファミリータイプで需要の多いタイプのため、収益の安定性の高さに特長があり、マイナス金利の導入も追い風となる。また、早期の東証1部への市場変更を目指していることもプラス材料だ。

 衛生用品製造機で国内トップシェアを占める瑞光 <6279> [東証2]に注目。中国をはじめ、東南アジア、ブラジル、インドなどで海外展開を積極化している。原則的に海外需要には、現地に生産拠点を設けて対応している。したがって、海外売上高比率は高いものの、円高へのリスクは少ない。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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