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【特集】“5日連続S高”チエル再び、追跡「デジタル教科書」急騰候補 <株探トップ特集>

チエル <日足> 「株探」多機能チャートより

―2020年デジタル教科書導入案、教育ITエキスポで加速する注目―

 株式市場で「デジタル教科書」の関連銘柄がにわかに動意付いている。きっかけは文部科学省が4月22日に開いた有識者会議で、2020年度にもデジタル教科書を導入する案が示されたこと。5月18~20日にかけて東京ビッグサイトで「第7回 教育ITソリューションEXPO」が開催されることも刺激しており、テーマ物色の新主役に躍り出た格好だ。

●文科省の有識者会議が導入提言で人気化

 文科省の定義では、デジタル教科書とは「デジタル機器や情報端末向け教材のうち、紙の教科書の内容と、それを閲覧するためのソフトウエアに加え、編集、移動、追加、削除などの基本機能を最低限備えるもの」で、学習者用と指導者用が想定されている。文科省の有識者会議では、中間まとめに向けた論点整理として「デジタル教科書は紙と併用し、費用は義務教育で使うものであっても保護者が負担する」ことや「学習内容に応じて、デジタル教科書を紙の教科書に代えて使用する」ことなどの検討結果が提示された。この会合は、文科省の中核組織である初等中等教育局教科書課の中で議論が行われていることから政府への影響力は大きく、教科書の電子化に向けた動きが一段と加速することが想定される。

●第2のチエルを探す動き活発化

 現在、光村印刷 <7916> グループの光村図書出版や凸版印刷 <7911> グループの東京書籍などがデジタル教科書を販売しているが、株式市場で本命視されているのがICT(情報通信技術)を活用した教育システムの企画・開発・販売を行っているチエル <3933> [JQ]だ。4月27日に、教師がプロジェクターや電子黒板に提示して教えるためのタブレット対応教師用提示型教材を、7月から全国の教育委員会や小学校向けに発売することを発表すると人気に火が付き、翌日から5日連続のストップ高と急騰。5月12日に発表した「第7回 教育ITソリューションEXPO」への出展も注目材料となっている。

●有力候補は電子書籍関連

 投資家の間では“第2のチエル”を探す動きが活発化しており、その有力候補のひとつが電子書籍関連株だ。例えば、書籍の電子化受託事業などを行うイーブックイニシアティブジャパン <3658> は5月11日に年初来高値を更新した。そのほかでは、電子書籍作成ソフト事業が成長しているスターティア <3393> や、グループ会社が電子書籍の配信やビューアシステムを提供しているフォーサイド <2330> [JQ]、教材のデジタル化に実績のあるグループ会社を持つフュートレック <2468> [東証M]、電子書籍販売・配信で先駆的存在のパピレス <3641> [JQ]、デジタルコンテンツ配信のインフォコム <4348> [JQ]などが動意含みとなっている。

 また、デジタル教科書・教材用ソリューションのACCESS <4813> [東証M]のほか、ブイキューブ <3681> 傘下でeラーニングを手掛けるアイスタディ <2345> [東証2]、子会社が教育機関向けにワイヤレス書画カメラや電子黒板を販売しているテクノホライゾン・ホールディングス <6629> [JQ]、教育機関のICT環境整備を支援するパシフィックネット <3021> [東証M]、教育用コンテンツ配信システム「エデュモール」を提供している内田洋行 <8057> などへの関心も高い。

●インフラ整備で無線LAN関連株にも関心

 ただ、デジタル教科書の普及に向けての課題も少なくない。その1つがインフラ整備で、文科省の調べによると15年3月時点で無線LANを整備している教室の割合は27.2%にとどまっている。こうしたなか、一部で「総務省は20年までに全国すべての小・中・高校に無線LANを導入する方針」と報じられた。導入費用の半分を補助するとしており、無線LAN構築のビーマップ <4316> [JQG]や、学校向け無線LANソリューションを展開するコンテック <6639> [東証2]、Wi-Fiルータレンタルのビジョン <9416> [東証M]、無線ネット通信サービスのワイヤレスゲート <9419> 、無線LAN関連製品を扱うメルコホールディングス <6676> などに商機が広がりそうだ。

●セキュリティ対策企業にビジネスチャンス

 インターネット接続は多様な情報にアクセスできるため、有害情報や不適切な映像が児童・生徒の目にさらされることが懸念され、ネットセキュリティ対策関連企業にもビジネスチャンスがある。デジタルアーツ <2326> は有害サイトフィルタリングソフト「i-フィルター」などを提供。また、情報セキュリティ構築や使用履歴分析サービスのセキュアヴェイル <3042> [JQG]、投稿監視サービスのイー・ガーディアン <6050> [東証M]などにも注目したい。


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