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【特集】雨宮京子氏【決算発表一巡! ズバリ狙いたい有望株】(1) <相場観特集>

雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)

 企業の16年3月期決算発表がほぼ出そろった。株式市場では、当然ながら17年3月期の業績見通しを背景に個別銘柄の株価も明暗を分けるパターンが想定される。収益実態や変化率を材料に今後、株価上昇が見込める銘柄は果たして何か。第一線で活躍する証券関係者に、今期業績を判断材料とした全体相場の見通しと、上値余地が期待される狙い目の銘柄について意見を聞いた。

●「業績好変化銘柄は輝きを失わない」

雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)

 ここ日経平均は連勝連敗グセがみられるものの、トレンドとして全体相場は方向感をつかみきれない状況が続いている。1万6000円台半ばは25日・75日移動平均線も収れんしており、ちょうど強弱感相半ばするレベル、投資家の気迷いが感じられる。ただ政策期待を底流に、早晩、上放れに分がある局面とみている。

 消費増税の延期観測がかまびすしいが、政府要人はこれを否定する発言をみせる。個人的には今後タイミングを見計らって増税延期が発表される公算は大きいと考えているが、当局サイドとしては増税延期を事前に相場に織り込まれるのが一番怖いわけで、今の段階で火消しに動くのは当然だ。実際、増税が先送りされれば株式市場にマイナスに働くことは考えにくい。

 企業の決算発表が大方出揃った。個別では決算発表を受けた好業績銘柄を中期スタンスで注目というのがセオリーには違いない。しかし、本当にマークすべきは毎期増益基調を続ける「優等生銘柄」ではなく、これまでの市場の評価を根底から変えるような業績変化率の高い「ビリギャル的な銘柄」である。株高の原動力は企業実態の“変化”であり、その変化を市場のコンセンサスとして味方につけた銘柄は決して輝きを失わない。

 “国策に売りなし”を地で行く建設セクターからは鉄建 <1815> に注目。鉄道、道路、マンションで高実績を持ち、JR系各社の新幹線関連やリニア関連の大型受注に期待が募る。17年3月期営業利益は前期比3倍以上の伸びを見込む。

 また、低位株で妙味があるのは会計や法律の資格の学校を運営するTAC <4319> だ。一億総活躍を掲げるアベノミクスにも乗る。17年3月期は最終利益段階で前期比2.6倍を見込む。

 医薬関連では16年3月期から大変貌モードに入った小野薬品工業 <4528> を継続マークしたい。免疫活用型がん治療薬である「オブジーボ」は適用対象も広がり、業績成長エンジンとして今後も期待が大きい。

 ディスポーザブル医療器具を手掛けるニプロ <8086> も国内外の需要を取り込み業績好調で、17年3月期は経常9割増益を計画している。配当利回り3.5%弱と高く、PERはわずか11倍に過ぎない。

 また、このほかでは決算期が4月で決算発表はこれから(6月10日)だが、フィンテック関連として名を馳せたラクーン <3031> も仕切り直しの買いが期待できる。PERはやや高めだが、越境ECと決済代行サービスが黒字化しており、成長街道をひた走るだけに要注目となる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
 元カリスマ証券レディ。経済ジャーナリスト。AK企画代表。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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