市場ニュース

戻る
 

【特集】ネットテレビは今、「TVer」「AmebaTV」などの取り組み <株探トップ特集>

AbemaTV(アベマティーヴィー)

―マーケット成長に期待も―

 インターネットTVのサービスを強化する動きがここへきて活発化している。通常の地上波やBS放送などと同様に多チャンネル化に取り組む企業もでてきており、中長期的には従来型の放送局に匹敵する規模に成長する可能性を秘めている。

 インターネットによる動画視聴は、YouTube(ユーチューブ)をはじめとする動画共有サイトの利用や、映画などを有料で購入してパソコンで視聴する形態が主流だった。しかし、無線の高速通信とともにスマートフォン(スマホ)やタブレット端末などのスマートデバイスが急速に普及する過程で、インターネットTVとして新たなサービスに取り組む企業が増えてきている。

●在京民放5社が共同運営の「TVer」

 インターネットTVが存在感を高める一因になっているのが在京民放5社(日本テレビホールディングス <9404> 傘下の日本テレビ放送網、テレビ朝日ホールディングス <9409> 傘下のテレビ朝日、TBSホールディングス <9401> 傘下のTBSテレビ、テレビ東京ホールディングス <9413> 傘下のテレビ東京、フジ・メディア・ホールディングス <4676> 傘下のフジテレビジョン)が連携した初めての公式テレビポータル「TVer」が2015年10月26日から配信されたこと。「TVer」は民放キー局5局が地上波で放送した番組を放送から1週間程度の期間で視聴できる無料配信サービス。「TVer」のサービス開始と連動するかたちで、各放送局も独自の配信サービスのリニューアルや強化を行っており、TBSテレビも、従来の「TBSオンデマンド無料見逃しキャンペーン」を、2015年10月1日から「TBS FREE by TBSオンデマンド」へとリニューアルし、広告付き無料配信の本格運用を開始している。

 これら番組配信は権利の関係で配信対象外となる番組があるものの、広告付きによる無料配信を実現し、専用アプリでスマホやタブレット端末などでも視聴を可能にしている。違法な動画配信の防止も目的ではあるものの、インターネットによる番組配信を在京民放各社が連携して実現した意義は大きい。今後、インターネットTVの利用者は急速に拡大しそうだ。

●テレビ朝日とサイバーの「AbemaTV」は好発進

 一方、民放とIT企業が連携した新たなサービスも動き始めている。テレビ朝日とサイバーエージェント <4751> が合弁でインターネットテレビ局「AbemaTV」を設立。今年3月1日から一部チャンネルの先行配信を開始し、4月11日に開局、本格的なサービスを開始している。

 専門チャンネルのコンテンツが多数平行して放送されており、広告収入による無料放送を実現、アプリをインストールしてスマホやタブレットでも気軽に視聴できることも魅力だ。5月6日にはアプリのダウンロード数が200万を突破したことを発表、「年間のダウンロード数の目標は立てていないが、予想をかなり上回る好感触を得ている」(サイバーエージェント広報・IR室)と好調なスタートを切っている。

 インターネット回線を利用した既存の動画視聴では、カドカワ <9468> が運営する動画共有サイト「ニコニコ動画」から派生した「ニコニコチャンネル」やヤフー <4689> が運営するGYAO!などもユーザー数が着実に拡大している。また、CS放送「スカパー!」を運営するスカパーJSATホールディングス <9412> もスマホやタブレット、パソコンから視聴できる「スカパー!オンデマンド」に注力している。

「TVer」や「AbemaTV」など新たなインターネット放送の出現で、既存のネット放送を含めて今後大きなマーケットに成長することが期待される。


株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均