市場ニュース

戻る
 

【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 底値圏に突入か

株式評論家 植木靖男

「底値圏に突入か」

●激震の度合いを強めるマーケット

 世界の金融市場の動揺が収まらない。それどころか、むしろ激震の度合いを強めている。

 日経平均株価は、下値抵抗線とみられていた1月21日の安値1万6017円をあっさりと下回ってしまった。さらに時を経ずして1万6000円、1万5000円の大台を立て続けに割り込んでいる。

 下落の速さについていけない投資家は信用でなく現物で持っていても、どこまで下がるかわからない先行き不安に脅えているのが現状だ。

 振り返れば、昨年夏、中国ショックから一番天井をつけ、12月には二番天井を打った。年明けからさらに下落を強めたが、この時点でもなお市場関係者の多くは企業収益の好調を信じて2万3000~2万4000円予想と強気であった。

 だが、1月下旬、日銀のマイナス金利が仇となり不発に終わったことや、10-12月期企業収益が減益見通しとなったことで強気派は影を潜めてしまった。これを機に株価は個人投資家の投げを誘い、買い物薄のなか1万7000円を割り込んで下げが加速した。

 2月に入って米国景気の先行き不透明感という新たな懸念材料が浮上。これは買い手をどん底に陥れるほどのインパクトを持つ。一気にドル安を呼ぶ。つれて原油もついに27ドルを割る。SQの日には日経平均は1万5000円も下回った。

●新規投資は買い点灯まで十分慎重に

 個人投資家で500-600万円あった資金が僅か数十万円しか残っていない、といった信用取引の事例が寄せられる。いつか来た道。こうした事例がないと株価は底入れしない。悲惨で痛ましいことながら、ようやく底入れに必要な総悲観ムードが浮上してきたようだ。

 日本株より一足早く米国株は1月中旬以降、底値圏に入っている公算が大きい。これに後追いする格好で日本株も底値圏に入ってきたかにみえる。

 いうまでもないが、天底を見極めるのは材料ではない。あくまでも市場人気である。天井圏では好材料が揃うし、底値圏では悪材料が際立って表面に出てくる。

 ところで、下げは最終局面に入ってきたが、一体どこまで下げるのか。

 最悪1万4200円処とみているが、1万4000~1万5000円台はちょうど13年5月からの大きな中段の保ち合いとなった水準であり、この近辺ではどこで底入れしてもおかしくない居所といえる。

 このあとは、底もみ期に入る。日柄的に2~3週間か1ヵ月か定かでないが、いずれにしても確たる買いシグナルが灯るまでは新規投資は十分すぎるくらい慎重でありたい。

2016年2月12日 記

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均