【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:GDP速報値、ドラギ証言、口先介入
■株式相場見通し
予想レンジ:上限16500-下限14500円
来週は、春節明けの中国市場が注目されるほか、政府・日銀の介入思惑が高まりやすいだろう。12日の欧米市場ではドイツ銀が54億ドル(約6100億円)相当の無担保優先債を買い戻す計画を発表。金融株を中心に自律反発の流れが強まっており、欧州市場は軒並み上昇し、米国市場ではNYダウが300ドル超の上昇。シカゴ日経225先物清算値は大阪比610円高の15410円と大きく上昇している。原油先物相場も大幅高となっており、週明けの日本株市場は大幅反発が意識される。
一方で、年初からの中国株安に端を発した世界の金融市場の動揺が再燃する中で、春節明けの中国市場の動向が注目される。日経平均同様、年初から20%を超える下落となった上海指数が春節明けに一段安となるようだと、欧米市場の上昇効果も一過性となる可能性があるだろう。戻りの鈍さが意識されてくるようだと、改めて売り仕掛け的な商いが入りやすい。
もっとも、先週は安倍首相と日銀の黒田総裁が首相官邸で会談し、国際金融情勢や日銀のマイナス金利政策について意見を交換している。また、麻生財務相は円高ドル安が急激に進んでいることについて「必要に応じて適切に対応していく」と述べ、円高の動きをけん制。口先介入等を含めて、今後は日銀や財務相による動きが意識されやすいだろう。
日経平均は節目の15000円を割り込んだ。明確な底入れを見極める必要があるが、週末には三菱UFJ<8306>がプラスに転じる場面をみせるなど、底堅さが意識されてきている。また、決算発表がピークを通過することから、業績に安心感のある中小型株などには、外部環境の不透明要因を避ける流れからも、見直しの動きが向かいやすいと考えられる。
10-12月期GDP速報値は2期ぶりにマイナス成長となる見通しであり、これを受けて日銀は3月にも追加緩和を実施する可能性がありそうだ。また、ドラギ総裁の証言によって欧州発の金融不安を後退させ、欧州市場が落ち着きをみせてくるかが注目されそうだ。また、ドイツ銀行の動向も引き続き関心が集まりそうである。その他、今月下旬に中国・上海で開催される20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)での協調行動に期待する声が、急速に高まってきている。
日経平均は2012年の9000円割れ水準からみれば、これまでの上昇に対する調整の範囲内とみることができる。しかし、先週の下落局面において本格的な下落トレンド入りを警戒する向きも増えていると考えられる。郵政グループ3社が揃って上場来安値を更新する状況等をみても、投資家のセンチメントが改善するには時間を要することになるだろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は、リスク回避的な円買いは一服したが、米3月利上げ観測は後退しており、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる状況ではないとみられる。市場関係者が注目している日本の10-12月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率-0.7%と予想されており、7-9月期の+1.0%との比較で成長率は悪化する見通し。
10-12期GDPが市場予想とおおむね一致した場合、日本銀行は当座預金に適用する金利をさらに引き下げる(マイナス金利の拡大)ことを早急に検討する可能性がある。マイナス金利の拡大は金融機関の収益を圧迫し、銀行株への影響が懸念されることから、日本のGDP成長鈍化によってリスク回避的なドル売り・円買いが再び強まる可能性は残されている。
一方、積極的なドル買い材料は多くないが、1月米鉱工業生産や1月米消費者物価指数などの主要経済指標が市場予想と一致または上回った場合、米長期金利は上昇する可能性がある。株高も期待されることから、ドル買い・円売りが優勢となる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
2月15日(月):10-12月GDP速報値、中貿易収支、欧外相理事会など
2月16日(火):マンション発売、独ZEW現状調査、英消費者物価コア指数など
2月17日(水):機械受注、米住宅着工件数、米FOMC議事録など
2月18日(木):貿易収支、中消費者物価指数、米新規失業保険申請件数など
2月19日(金):鉄鋼生産、独生産者物価指数、ユーロ圏消費者信頼感速報値など
《TM》
提供:フィスコ