【市況】プレイバック=「マイナス金利」導入、激動の1日を振り返る
日経平均株価 激動の29日の1分足 「株探」多機能チャートより
前場の取引を88円安の1万6953円で終えた日経平均株価は、後場、急上昇に転じる。金融政策決定会合の発表に先んじて、一部でマイナス金利の導入が報道され、マーケットは敏感に反応。
日経平均は78円高で後場スタートも、マイナス金利導入報道や導入決定で急伸
マイナス金利導入が正式に発表されると、上昇の勢いはさらに弾みを増し、12時46分に日経平均は597円高の1万7638円まで上昇する。
【市況】日経平均株価は500円超える上げ幅、日銀のマイナス金利導入を好感
為替市場では円が急落。12時30分に1ドル=118円後半で推移していたドル円は、12時40分には121円40銭台まで急激なドル高・円安が進行。円は10分足らずの間に、実に3円近く下落した。
外為:一時1ドル121円40銭台に急伸、日銀は追加緩和を決定
個別株も激しい値動きとなった。金利敏感セクターの不動産株は追加緩和決定後、一斉に買われた。三井不 <8801> 、菱地所 <8802> 、住友不 <8830> など大手不動産株は急伸した。
三井不など不動産株が値上がり上位に、マイナス金利導入で物色資金流入
その一方、マイナス金利の影響を大きく受ける銀行株は急落。売りが集中し、三菱UFJ <8306> は13時すぎに8.8%安の572円まで下落し、昨年来安値を更新。三井住友FG <8316> も新安値をつけた。
三菱UFJなどメガバンクは急落、マイナス金利導入で収益への影響を警戒
急伸した日経平均は12時46分を過ぎると、意外な動きを見せる。前日比597円高から急降下し、13時20分にこの日の最安値となる前日比274円安の1万6767円まで高値から871円下落。まれに見る乱高下となった。
日経平均は107円安、一時597円高も荒い値動き
マイナス金利導入に、市場がNOを突き付けたかに見えたが、そこから日経平均は再びプラスに転じ、14時52分には1万7598円をつけ、最安値から831円上昇。結局、日経平均は476円高の1万7518円で取引を終了した。
東京株式(大引け)=476円高、決定会合後に乱高下
業種別売買動向で不動産業は9.52%の大幅上昇。野村 <8604> が6.38%高、大和 <8601> が8.41%高と急伸した証券業が6.58%の上昇で続いた。金融セクターではその他金融業もオリックス <8591> や日本取引所 <8697> の大幅高を背景に5.45%の急騰となった。一方、銀行業は唯一の値下がりとなり、追加金融緩和による明暗を印象づけた。
本日の【業種】騰落ランキング = 大引け 【上昇トップ】不動産業 【下落トップ】銀行業 (15:05)
乱高下により、日経レバ <1570> [東証E]は出来高が前日の2倍を優に超える4627万株まで膨らみ、売買代金は5659億円に達した。
ETF売買動向=29日大引け、全銘柄の合計売買代金7910億円
日銀総裁会見への特段の反応はなく、為替はもちあいに移行。
外為サマリー:1ドル120円60銭前後の往来に、日銀総裁会見の反応限定的
マイナス金利に対する識者の見解は以下の通り。
有沢正一氏 【こう読む! 日銀マイナス金利導入】 (1) <相場観特集>
高橋春樹氏 【こう読む! 日銀マイナス金利導入】 (2) <相場観特集>
植木靖男氏 【こう読む! 日銀マイナス金利導入】 (3) <相場観特集>
来週の見通しについては以下の記事で伝えている。
来週の株式相場見通し=波乱のなか上値試す展開も、円安維持が焦点に
来週の為替相場見通し=日銀のマイナス金利導入効果を注視
株探ニュース