【特集】新年10大テーマ (5)　オムニ家電関連 ＜株探トップ特集＞

―2016年は「オムニ家電元年」―

　「オムニ家電」という言葉が2016年注目のキーワードとして急浮上している。「IoT家電」とも呼ばれる「オムニ家電」は、IoT（Internet　of　Things＝モノのインターネット）を利用した家電のこと。スマートフォン（スマホ）などを利用して、インターネットに接続された照明やエアコン、AV機器などの家電、また、ドアの鍵などを制御するというものだ。ラテン語の「すべて」を意味する「オムニ」の名の通り、あらゆる家電がインターネットに接続されることで、現代のライフスタイルが一変する可能性もある。そのため今年は「オムニ家電元年」として注目されている。

●スマホにお知らせを送るコーヒーメーカーなど

　これまでにも、スマホで照明を遠隔操作する「スマート家電」「ともだち家電」と呼ばれる家電商品はあったものの、操作できる機能が限られている実験的なものが多かった。また、価格も高価であり、本格的な普及を目指したものではなかった。

　しかし、今年以降、続々と登場が予定されている製品は、単に遠隔操作をするだけではない。例えば、設定した室温になると起動し、それをスマホに通知するエアコンや、コーヒーができたことをスマホに知らせ、通知と一緒に通販サイトの紹介などを行うコーヒーメーカー、さらに餌が少なくなるとスマホに通知し、ペットの活動状況なども確認できるペット用自動給餌器などの販売が予定されている。

●注目されるＡＱＵＡの冷蔵機能付きディスプレイ

　特に注目を集めているのが、ＡＱＵＡが今春発売を予定している冷蔵機能付き大型ディスプレイ「ＡＱＵＡ ＤＩＧＩ（アクアディジ）」シリーズだ。冷蔵庫の扉が液晶ディスプレイになっており、Wi－Fiを通じてインターネットに接続、マイクなどを搭載しジェスチャーなどで操作する。

　同製品には、カメラがついており、買ってきた商品のバーコードを読み取って冷蔵庫にしまうことで在庫状況をディスプレイで確認できるほか、在庫が少なくなったら、その場でディスプレイ上からネットスーパーに注文を行うということも可能になるという。

　しかも、ＡＱＵＡでは本体の販売で収益を上げるのではなく、ネットスーパーや通販サイトの利用による手数料や広告費などから収益を上げることで、冷蔵庫本体の価格を抑える方針としている。これまで「オムニ家電」普及のネックとされていた価格面の課題が解消されることで、普及が一気に広がる可能性が高い。

●IoTアナログ半導体を世界で初めて開発したアプリックス

　国内の家電各社も当然、オムニ家電の普及を見据えた動きを取り始めており、ＡＱＵＡほど大掛かりではないが、既にネット接続家電を手掛けるパナソニック <6752> やシャープ <6753> などもこうした動きに追随しそう。また、「オムニ家電」を支えるIoT関連の技術を持った銘柄への関心も高まるとみられる。

　なかで代表格と目されるのが、アプリックス <3727> [東証Ｍ]で、昨年11月には家電機器をIoT製品にできるIoT用アナログ半導体を世界で初めて開発したと発表したことで注目を集めた。米調査会社によると、2020年にはIoT用アナログ半導体市場の年間出荷台数予想は7億台にまで拡大すると見込まれているだけに、先行する同社の優位性は大きい。

●ルネサスは半導体とソフトを組み合わせて提案

　また、ルネサス <6723> では、ユビキタ <3858> [ＪＱ]やＡＣＣＥＳＳ <4813> [東証Ｍ]、エルミック <4770> [東証２]などと組んでネットワークに接続する家電や生活雑貨などを開発する事業者向けに半導体とソフトを組み合わせて提案する体制を整えた。これにより機器開発の期間やコストを大幅に削減できることから、ニーズは強いとみられており、提携企業も拡大することが予想されている。

　このほか、通信技術に強みを持つモバクリ <3669> 、IoT対応のECオープンプラットフォームを展開するロックオン <3690> [東証Ｍ]などへの注目も高まりそうだ。


※新年10大テーマ＜株探トップ特集＞　配信予定時間

●1月4日（月)
　「マイナンバー制度」
　「参院選関連」

●1月5日（火）
　「北海道新幹線」
　「伊勢志摩サミット」

●1月6日（水）
　20:00　「オムニ家電関連」
　20:30　「民泊関連」

●1月7日（木）
　20:00　「米大統領選」
　20:30　「スマホ新機種」

●1月8日（金）
　20:00　「自動運転」
　20:30　「電力自由化」

なお、都合により、配信内容や配信時間を変更することがございます。

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