【特集】北浜流一郎氏 【来年の株式市場を読む! 本格反騰はあるか】 (3) <相場観特集>
北浜流一郎氏(株式アドバイザー)
東京株式市場は、年末になって冴えない展開を強いられている。受け渡しベースで年内最終売買日となった25日で、日経平均株価は5営業日続落となり、反転上昇のきっかけを掴みあぐねている状態だ。そこで、間近に迫った新年に、果たして本格的な反転上昇相場が期待できるのか、北浜流一郎氏(株式アドバイザー)にその展望を聞いた。
●「内需株中心に上昇相場再来へ」
北浜流一郎氏(株式アドバイザー)
今年の相場を振り返れば、8月下旬以降の下げが鮮烈に投資家の脳裏に刻まれ、あまり良い相場ではなかったという印象を持つ人が多いかもしれない。しかし、前半を見れば年初から6月の高値まで約20%の上昇をみせており、その後の波乱相場も足もとはバランスを立て直し、時価比較で8%前後の上値を確保している。
その見方からすれば2015年のマーケットはそれほど悪い相場ではなかった。先行き不安感を拭い切れない投資家が多いのは当然としても、来年の相場は力強さを取り戻し、今年同様に時価近辺から2割程度の上昇局面はあるとみている。
背景には米国景気の強さがひとつ。FRBはついに利上げのカードを切ったが、これは米国景気の強さが基盤となっている。また、イエレンFRB議長も示唆しているように、新興国経済や原油市況の行き過ぎた下落を考慮したうえで、利上げのペースは04年6月~06年6月にかけて実施した時と異なり緩やかなものとなりそうだ。したがって、世界的な流動性を急速に収縮させるような負のシナリオは考えにくい。
もうひとつの上昇の根拠としては、政策の強い後押しに支えられた日本国内の経済活性化が挙げられる。16年は参院選挙の年で、伊勢志摩サミットも行われる。アベノミクスが新たに掲げる「一億総活躍社会」は換言すれば「みんなで働こう社会」であり、労働力の確保は可処分所得を増加させて消費を刺激し、財政負担の軽減にもつながっていく。
こうした政策の青写真がポジティブなかたちで相場に反映されるとみている。銘柄の物色対象も内需株、とりわけ消費関連株が軸となりそうだ。「子育て支援」や「介護離職ゼロ」といったテーマの延長線上には健全な消費需要が待つ。インバウンド関連という海外頼みだけではなく、もっと前向きな切り口で内需振興を買うような動きが出てくるのではないか。また、そうしたムードこそが米国株市場でも証明された相場の基礎体力の強さに結びついていく。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>
株式アドバイザー。慶応大学商学部を中退後、コピーライター、週刊誌記者、作家業を経て株式アドバイザーへ。マネー誌、証券紙などの株式欄を担当し、ラジオ番組でも活躍。多くの投資家から支持を得ている。
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