【特集】売り枯れ底値10銘柄に「爆裂リターン」の予感 <株探トップ特集>
ラオックスの日足チャート 「株探」多機能チャートより
―年末年始で参加者減少、値動き軽い材料株に活躍期待―
18日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合の結果発表後に乱高下、後場の日経平均は2万円大台を視界にとらえたのも束の間、急降下を開始し、まさにジェットコースターさながらの相場展開となった。ここハイボラティリティな相場が続いていたが、売買代金も3兆5000億円と大きく膨らみ、投資マネーのせめぎ合いが最高潮に達した。
●日銀狂想曲の後は
底値株でチャンスをつかめ
くしくも日銀狂想曲に踊らされた格好となった東京市場では、宴の後の個別株戦略にも難儀を伴うが、ここはズバリ株価が底値圏の材料株で、動意含みにある銘柄を狙っていきたい。底値株への投資はタイミングが難しいものの、仕切り直し相場では有効だ。今後のリスクシナリオを念頭に置きつつ、発射台の低さが強みとなるほか、年末年始は市場参加者が限られることで動きの軽い材料株が活躍しやすい。
本稿では100日移動平均線を10%以上下回る水準で売り物を枯らし、実態面やテーマ性で注目される株を10銘柄選んだ。ツボにはまれば戻りの天井の高さを意識して大幅なリターンも狙える。
●地方再生で矢作建、
ニッチ分野で活躍のサンセイラン
矢作建 <1870> は、名古屋に本拠を構え中部地区を営業基盤とする建築・土木大手で独自の耐震技術を強みに受注を伸ばしている。足もとは学校などの耐震化案件が一巡しているが、一方で自社開発の分譲住宅地の販売や、商業施設の開発などが収益を支える。中部最大の名鉄グループとも関係密接で、アベノミクスの主眼テーマである地方再生関連としても注目される。
タケエイ <2151> は16年3月期の営業利益が前期比55%増の30億円とV字回復を見込む。建設現場の廃棄物を回収・処理するリサイクル大手で、バイオマス発電関連としても注目される。17年3月期以降も2020年の東京五輪に向けたホテルの建て替え需要などが中期成長力の源になるとみられている。
M&A助言を主力とするGCA <2174> は、買収案件が活発な米国での需要を取り込んでいる。15年12月期予想を会社側は開示していないが、受託残高は高水準で成長トレンドが続く見通し。業態も影響しているがROEは31%と高く、1200円近辺は拾い場とみられる。
ユニークな業態で注目されるのはサンセイラン <3277> だ。同社は権利関係が複雑な土地の仕入れ販売というニッチ分野で実力を発揮し業績成長路線を走る。住宅地の底地権や借地権などの売買、老朽化した居抜き物件をバリューアップして販売する事業も手掛け、相続税課税強化を受けた対策ニーズが追い風。空き家の活用を手掛けることから、国策が後押しする「民泊」のテーマにも乗る。
●連騰習性の科研薬、
短期資金呼び込むフルキャスト
科研薬 <4521> は連騰習性があり、好業績にプラスして薬品株ならではの豊富な材料性を持つ。関節機能改善剤「アルツ」や癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」が好調なほか、昨年9月に発売した自社創薬品である爪白癬治療剤「クレナフィン」が業績を牽引している。16年3月期の連結営業利益は従来予想の210億円から322億円(前期比56.1%増)に上方修正している。ROEも17%と高い。
フルキャスト <4848> も面白い。軽作業向けの短期人材紹介とそれに付随する給与計算などの代行サービスを手掛け、企業の求人需要が高まるなかで好収益環境を満喫している。営業利益は前14年12月期に4.8倍の高変化をみせたが、15年12月期も2ケタ成長を継続、年18円配当は配当利回りにして2.5%弱と高いことも評価。同社株は動き出すと商いを伴い大きな値幅を出すパターンが多く、しばしば個人投資家を中心とした短期資金に好まれる傾向がある。
古河機金 <5715> は230円近辺で底値鍛錬を進み、売り物が枯れてきた。ロックドリルや土木用機械などを手掛けるが、空前のビッグプロジェクトであるリニア中央新幹線工事関連で注目。山岳トンネルとして日本最長の「南アルプストンネル」を皮切りに掘削工事がスタートするが、トンネルドリルなどの工事機械の受注期待が株高思惑につながる。
●訪日客が追い風のピジョン、
6割押しラオックスも転機近い
ピジョン <7956> の株価は12月に入り2週間で2割強の下落をみせたが、足もと売り物が枯れてきた。売られた理由は、同社の8-10月期の中国での売上高が低調だったこと。しかし、中国向けは哺乳瓶などの流通在庫が一時的に膨らんだものの、需要自体は拡大が続く。中長期的には中国の一人っ子政策の廃止で恩恵を受けるほか、国内では増勢顕著な訪日観光客によるインバウンド需要も追い風。また、北米事業も好調で16年1月期業績は増額含みとみられている。
デサント <8114> はゴルフウェアが韓国を中心に好調で、国内ではインバウンド需要の取り込みが進んでいる。欧州でもM&Aなどを駆使して業容拡大が続く。16年3月期営業利益は初の100億円大台乗せが濃厚で、会社側見通し(105億円)はさらなる増額も視野に入る。
7月の年初来高値から62%の下落をみせているラオックス <8202> [東証2]も注目してよい場面だろう。下落過程で信用買い残が増え続け、それが逆に上値を重くし下げ足を強める背景となったが、200円近辺は下値抵抗力を発揮しそうだ。ピジョン同様に中国関連に位置付けられるが、中国の景気の減速懸念も訪日観光客の増勢に陰りはない。足もとの月次動向はやや伸び悩んでいるが、来期以降も国内店舗数の拡大で大幅な連続ピーク利益更新が見込まれるだけに、中期スタンスで仕込みを考えたい。
◆爆烈リターン狙う底値株◆
銘柄 決算期 営業増益率 株価 急騰性
矢作建 <1870> 16/3 3.0 816 ★
タケエイ <2151> 16/3 54.8 1029 ★
GCA <2174> 15/12 ─ 1208 ★★
サンセイラン <3277> 15/12 3.2 827 ★
科研薬 <4521> 16/3 56.1 8420 ★★
フルキャスト <4848> 15/12 24.0 717 ★★★
古河機金 <5715> 16/3 0.8 228 ★
ピジョン <7956> 16/1 17.4 2944 ★★
デサント <8114> 16/3 14.9 1420 ★
ラオックス <8202> [東証2] 15/12 418.4 220 ★★★
※株価は18日終値(単位:%、円)
※GCAは業績予想非開示
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