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【特集】田部井美彦氏 【来年の株式市場を読む! 本格反騰はあるか】 (2) <相場観特集>

田部井美彦氏 (内藤証券 投資情報本部・投資調査部長)

 東京株式市場は、年末になって冴えない展開を強いられている。受け渡しベースで年内最終売買日となった25日で、日経平均株価は5営業日続落となり、反転上昇のきっかけを掴みあぐねている状態だ。そこで、間近に迫った新年に、果たして本格的な反転上昇相場が期待できるのか、内藤証券 投資情報本部・投資調査部長の田部井美彦氏にその展望を聞いた。

●「企業の積極的な株主還元策に期待」

田部井美彦氏 (内藤証券 投資情報本部・投資調査部長)

 2016年の東京株式市場で、株価上昇にインパクトを与える対策として多くの投資家が意識しているのは、夏の参院選に向けて与党が打ち出す経済対策だろう。ただ、現状では、補正予算が決定したばかりの時期であり、次の対策が具体化するまでには時間がかかりそうだ。

 そこで注目したのは、上場企業の自助努力ともいえる株主還元策のさらなる強化だ。企業業績の上振れを反映して、増配、自社株買い、株主優待などの株主還元策を強化することで、株主価値を高めようとする動きが広がることが、全体相場の上昇にもつながってくる。

 このほかに、日本株にとってプラス要因と想定される、外国為替市場での円安進行や海外投資家の積極買いの復活、日銀による追加金融緩和などは、来年の早い時期での実現は難しそうだ。

 個別銘柄では、高性能のCMOSセンサー(撮像素子)で定評のあるソニー <6758> に注目している。実用化が加速している自動運転をはじめ、さまざまなセキュリティー関連機器、IoT関連など幅広い用途でCMOSセンサーの需要拡大が見込める。

 また、ダイフク <6383> は、自動車生産工場向けなどを主力に搬送システムを手掛けるが、北米市場で拡大が続く自動車メーカー向けに更新需要が顕在化しているほか、半導体向けも台湾メーカーの旺盛な設備投資需要も取り込み、会社側計画を上回る状況が続いている。

 さらに、アドソル日進 <3837> [JQ]は、米リンクス・ソフトウエア・テクノロジーズ社(カリフォルニア州)とセキュリティ・ソリューション「LynxSECURE」の日本国内での独占販売権を含む総代理店契約を締結したと発表している。IoT機器メーカーや産業機器メーカー、インフラ関連企業などを中心にライセンス販売、導入サポート、保守などのビジネス展開を図る計画だ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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