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【市況】中村潤一の相場スクランブル 「低位株と新興株の2頭立て馬車」

株式経済新聞 副編集長 中村潤一

株式経済新聞 副編集長 中村潤一

●足を抜く勇気を持つ

 相場の流れには逆らわないのが、株式トレードで成功する秘訣であるとよく言われます。ただ、耳にはするものの、漠然と受け止めている方も多いのではないでしょうか。 

 具体的には、例えば株価の上昇を見込んで個別銘柄(あるいはETFなど)に買いを入れたとして、実際は逆方向すなわち下落相場に遭遇した場合。株価水準や外部環境にもよりますが、基本的には速やかにロスカットして捲土重来を期すのが流れに逆らわない投資術といえます。これは、空売りから入って上昇展開となった場合も同様のことがいえます。

 しかし、実際は逆流に片足を突っ込んでしまったら、どっぷりと両足を突っ込んでしまう(ナンピンを入れて傷を深めてしまう)ケースが多いのが実情のようです。人間誰しも直前に行ったことを肯定しようとする意思が働くものですが、相場ではそこが落とし穴となります。思惑とは逆の流れを感じたら、踏ん張るのではなく、その足を抜く勇気を持つこと。少々の損失はキャンセル料のようなもの。簡単なようですが、勝ち残るための大切なストラテジーといってよいでしょう。

●年末高に向けた流れを形成へ

 さて、全体相場。師走の声を聞くのと同時に東京株式市場は日経平均2万円大台復帰を果たしました。この2万円という水準は上昇相場のメルクマールに過ぎず、あくまで通過点であるとの認識でよいと思われます。とはいえ、逡巡する時間が長いのは、今現在は上下どちらにも流れが形成されていない水面を揺らしている状況にあるからです。高くなったものを利食い、安くなったものを拾う相場では全体指数は往来圏をさまよいます。

 ただし、今後は「年末高に向けた流れ」が形成される公算が大きいとみています。2万円というラインに惑わされがちですが、それよりも日経平均株価が中長期トレンドの分水嶺である26週移動平均線を11月下旬に上抜いてきたことを重視すべきです。

 中国の景気減速は相場にネガティブ材料ではありますが、趨勢的なものとして共存できる地合いが醸成されるのを待つよりないと申し上げてきました。その意味で7~9月の法人企業統計で全産業の設備投資額が前年同期比11.2%増と2ケタの伸びを示したのは、過度な中国リスクへの懸念を吹っ切る良い契機となるでしょう。また、欧州の追加緩和と米国の利上げという政策面で真逆のベクトルを、いずれも「いいとこ取り」でプラスに解釈する声が強いのも、今の相場の基礎体力の強さを暗示しています。

 物色対象としては、個人投資家に人気度の高い新興市場銘柄と流動性が高まっている東証1、2部の中低位材料株、この2頭立て馬車。一例を挙げれば、新興市場では最近のミクシィ <2121> [東証M]の動きや、東証1部では大日塗 <4611> などの値運びに現在の相場の流れが反映されているように思われます。

(12月2日 記、次回は12月16日掲載予定)

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