【特集】自社株買いは「株価上昇チケット」 <株探トップ特集>
イビデンの日足チャート 「株探」多機能チャートより
―業績好調企業の株主還元に乗る!―
日経平均株価は、9月29日につけた1万6901円を底に順調な戻り軌道を継続し、2万の大台回復を射程圏にとらえてきた。その間には4-9月期累計の決算発表に対する評価や、超大型の民営化企業である郵政グループ3社の新規上場が投資家の関心を集めたことなどが、全体相場上昇の推進力となってきた。各社決算発表で、業績動向と同様に市場関係者の話題となったのが増配や自社株買いなどの株主還元策だ。そこで、今回は10月27日以降に自社株買い枠の設定を発表した銘柄に照準を当てた。
●継続的な自己株取得実施も
ここにきて、決算発表と同時に自己株式取得枠の設定を公表する銘柄が増加傾向にある。さらに、特徴的なのは、自社株取得に積極的な企業は、一定期間をおいてある程度定期的に実施する傾向があり、その設定枠の比率を徐々に高めていく可能性があることだ。
当然のことながら、自社株取得に積極的な企業は業績面も比較的良好で、株価面での注目度も高い。
●ゲオHD、通期業績を上方修正
ゲオHD <2681> は10月28日、16年3月期通期の連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の2750億円から2720億円(前期比0.6%増)へ下方修正したものの、営業利益を85億円から136億円(同42.3%増)へ、純利益を45億円から86億円(同17.2%増)へそれぞれ上方修正した。多くの商材で粗利率の改善、タイトル不足に応じたプロモーションの抑制など販売管理費が想定を下回ったことが利益を押し上げている。
●イビデン、スマホ向け新製品が好調
イビデン <4062> は10月30日に、16年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結決算を発表。売上高は従来予想の1500億円に対して1582億円(前年同期比5.1%増)、営業利益は90億円に対して123億600万円(同31.3%増)と計画を上回り着地した。スマートフォン・タブレット用パッケージ基板は新製品が堅調に推移、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)や触媒担体保持・シール材も、主要市場である欧米での自動車向けに拡大し、為替が円安で推移したことなども利益を押し上げている。なお、通期業績見通しは据え置いている。
●TOKAIは電力自由化を先取り
TOKAI <3167> は10月14日、東電 <9501> 傘下のテプコカスタマーサービスと、中部電 <9502> 電力供給区域の法人事業者向け高圧電力販売で業務提携したと発表した。今回の提携により、16年4月の電力小売全面自由化に先行して、中部電サービスエリア内の法人事業者を対象に10月からテプコカスタマーサービスが提供する電力と同社グループが提供する産業用LPガスなどのセット販売を開始する。株価は500円台前半でもちあい状態が続いている。
●三社電機は、PER7倍台と割安
三社電機 <6882> [東証2]は5日に、16年3月期の連結営業利益を従来予想の28億円から24億円(前期比4.3%増)に減額修正したものの、増収増益基調は堅持される。中国向けが景気減速などの影響で予想を下回るものの、そのほかの地域では評価用大型設備電源や金属表面処理用電源などが海外の電子部品メーカーで好調な推移が見込まれる。株価の時価水準は、PER7倍台、PBR0.6倍台と極めて割安となっている。
◆最近の主な自社株取得枠設定銘柄◆
銘柄 取得枠比率 株価
ゲオHD <2681> 8.76 1963
銚子丸 <3075> [JQ] 6.89 4185
TOKAI <3167> 3.10 532
イビデン <4062> 3.62 2050
CTS <4345> 5.10 801
トライアイズ <4840> [JQG] 5.50 412
小林製薬 <4967> 2.90 9870
メック <4971> 2.49 854
カーボン <5302> 2.20 347
オイレス <6282> 4.48 2022
三社電機 <6882> [東証2] 3.00 806
FPG <7148> 5.30 793
サンゲツ <8130> 3.48 2280
新光商 <8141> 4.64 1360
内外トランス <9384> 11.22 1164
アイネス <9742> 3.31 1100
株価は20日終値(単位:%、円)
※取得枠比率は、発行済み株式総数(自己株式を除く)に対する割合
株探ニュース