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【特集】日経2万円回復、今後の相場は? 市場関係者に聞く<株探トップ特集>

2万円の大台回復、年末相場の行方は?

―設備投資2ケタ増を好感、3ヵ月ぶり大台回復―

 師走相場がスタートした1日の東京市場は、日経平均株価が3日ぶりに大幅反発。大引けで前日比264円93銭高の2万12円40銭と心理的フシ目の2万円を回復した。終値での2万円回復は8月20日以来約3ヵ月ぶりのこと。先週は、何度も2万円寸前まで上昇したものの突破することができず今週に持ち越しとなっていた。2万円回復の背景と今後の相場展開について第一線の市場関係者に聞いた。

●設備投資関連が軒並み高

 1日の東京株式市場は、朝方に円相場の下落に加え、寄り付き前に発表された15年7-9月期の法人企業統計で設備投資の伸びが加速したことを好感し、買いが先行した。ただ、買い一巡後は高値圏でのもみあいが続いたが、大引けにかけて株価指数先物主導で買われ、2万円回復となった。

 財務省が発表した法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、設備投資額(ソフトウエアを含む)は、全産業で前年比11.2%増と10期連続の増加で、伸び率は07年1-3月以来の高い伸びとなった。これまで、設備投資の遅れを懸念する声が多かっただけに、ポジティブサプライズと受け止められ、ファナック <6954> をはじめとする設備投資関連銘柄が軒並み高となった。

●ECBでの量的緩和期待も追い風

 さらに、今週は現地3日に開催されるECB(欧州中央銀行)理事会でのドラギ総裁による量的金融緩和実施への期待感や、自民党の税制調査会が骨格をまとめた、16年度の税制改正で、安倍首相が引き下げを指示している法人税の実効税率が29%台後半となる見通しとなっていることも追い風として作用しているようだ。

◆ 植木靖男氏(株式評論家) ◆
   【ヘッジファンドなど短期筋が最後のひと押し】

 ここまで、近くて実に遠い日経平均2万円だったが、大台回復は意外なタイミングでやってきた。今週は3日のECB理事会や4日の米雇用統計発表などを控え、積極的な買いが入りにくいのではないかという大方の予想を覆した。この背景に補正予算や法人税引き下げなどの政策期待があったことは確かだが、株式需給面ではヘッジファンドなどの短期筋の仕掛け的な買いが入った公算が大きいとみている。

 ECB理事会は金融緩和に動く可能性が高く、仮に株式相場には織り込み済みとしても、実際行われれば世界的な流動性期待が株高を後押しする。また、この延長線には日銀の追加緩和を促すとの思惑も底流している。一方、米国経済は強基調を維持しており、年末商戦も活況が予想され、こちらは12月利上げ実施でも好調な景気実態を評価する流れができ上がっている。いわゆる日欧の政策期待と米国の経済実勢の強さの良い部分を株高の糧とする好需給環境が今の相場の正体といえよう。

 日経平均は年末高のシナリオをたどる可能性が高そうだ。基本的に米国株主導で相場に不安定さも感じられ、このまま12月相場で年初来高値2万952円を払拭して2万1000円台に歩を進めるかどうかについては確信が持てない。しかし、2万円ラインをクリアした以上、そこを意識する展開には発展しそうだと感じている。 

◆ 大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)◆
   【来年夏の参院選に向け政策総動員】

 10月以降、もみあいの週と大幅上昇する週がほぼ1週ごとに到来する巡り合わせとなっている。先週がもみあいの週で2万円に到達しなかったものの、今週は大幅上昇の週となっているようだ。

 今朝発表された法人企業統計での設備投資の予想を上回る好調さや、今週現地3日に開催されるECB理事会での量的緩和期待などが2万円回復への追い風となったようだ。

 今後は当然のことながら年末にかけて、6月24日の取引時間中の年初来高値2万952円の奪回が焦点となってくる。政府は、焦点となっている法人税率の引き下げや補正予算の執行なども含めて、来年夏の参院選(衆参同時選の可能性も)に向けて可能な経済政策を総動員してくる可能性が高い。したがって、これらの政策を追い風にした内需系の銘柄が物色対象となりそうだ。

 16年の年明け以降は、来期業績の動向に関心が移りはじめるが、米国が利上げに踏み切ったとしても、これ以上の大幅な円安・ドル高進行の可能性は限定的といえそうだ。したがって、輸出関連の銘柄については、新たな需要増大のインパクトが必要となろう。

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