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9644 タナベCG

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タナベ経営 Research Memo(5):5つの重点施策により持続的安定成長を実現


■タナベ経営<9644>の今後の見通し

2. 中期事業戦略
(1) C&C戦略の推進
2018年3月期も引き続きC&C戦略を推進していく。ドメイン(事業戦略)&ファンクション(組織戦略)研究(会)テーマを拡大していくほか、FCCアカデミー(企業内大学)設立支援コンサルティングやこども・子育てファミリーマーケット攻略コンサルティングなどに注力していく。

ドメイン&ファンクション研究(会)テーマについては、前期の20テーマから25テーマに拡大し、1テーマをリニューアルする。生涯学習への関心が高まるなかで「教育・学習」を、また、市場環境が厳しいなかで地域金融機関の今後の成長モデルについて研究を行う「金融機関」をドメイン(事業戦略)のテーマとして加えたほか、ファンクション(組織戦略)のテーマとしては新規事業を開発するノウハウを研究する「新規事業開発」、AI技術やロボットなど最先端技術をテーマにした「尖端(せんたん)技術」に加え、SPコンサルティングの視点に立った研究会として「食品販売促進」「住宅マーケット集客プロモーション」を新たに開設した。

FCCアカデミー(企業内大学)設立支援コンサルティングは、顧客企業ごとに、教育体系の構築とクラウド教育システムの導入、研究会やセミナーの提供により、スピーディーに企業内大学を設立する支援を行う。クラウド教育システムについては、同社コンサルタントによる80以上の教育コンテンツに加え、同社が顧客企業のタレントをマネジメントすることにより、優秀社員や技術者のノウハウをデジタル化するという特徴を持つ。これらを、誰もが、いつでもどこでもデジタル機器により学習できることから、「学び方改革」により「働き方改革」を実現できる。結果、企業は業種・企業規模・地域を問わず、スピーディーに企業内?学を設?できるのである。中堅・中小企業にとっても、自社独自の企業内大学(人材育成プログラム制度)として採用活動での効果的なPRにもつながるというメリットもあり、導入意欲は高い。既に20社で採用が決まっており、2018年3月までに50社、早期に100社への導入を目指している。

こども・子育てファミリーマーケット攻略コンサルティングでは、全国約8,000の私立幼稚園が参加する「こどもがまんなかPROJECT」に参画し、幼稚園と企業との橋渡しを専属で行っており、企業に対してプロモーションの企画立案やコンテンツ・商品開発、プロモーション実行支援までをトータルで提供している。こども・子育てファミリーマーケットは園児やPTA、教職員まで含めると約400万人のマーケット規模となり、企業にとってもプロモーション効果の高い領域であるため、今後も受注提案を積極的に取り組み、SPコンサルティングの売上増につなげていく考えだ。

(2) ドメイン戦略の推進
ドメイン&ファンクション研究(会)テーマの中から顧客企業の関心が高い「食品・フードサービス」「ヘルスケア」「住まいと暮らし」の3分野を事業単位としてインキュベート(東京本社内に専門部門を設置)した。今後は、各分野の高度な専門課題を解決できるメソッドを開発し、コンサルティングメニューの拡充とコンサルタント人員の増員を図りながら、全国の顧客を支援しやすい体制を構築、チームコンサルティング型経営協力の契約数増につなげていく方針だ。

(3) 地域FCC(ファーストコールコンサルティングファーム)戦略の推進
経営コンサルタント、人材育成コンサルタント、SPコンサルタントが1つのチームとなり、企業の事業・組織・人材育成からプロモーション戦略、ブランディング戦略、商品開発までをトータル的に支援する体制を構築し、地域の中堅・中小企業の成長を後押ししていく取り組みとなる。これは、同業の中で唯一、事業拠点を全国10拠点に展開している同社の強みを生かした戦略と言える。

(4) アライアンス戦略の推進
従来からのアライアンス(提携)先金融機関(約100先)に向けた教育サービスに加えて、新たにM&Aコンサルティング等に協業して取り組む。従来、個別で対応していたサービス料金等を明確化し、提携先金融機関等とM&Aコンサルティングを含めた包括契約に逐次、切り替えていくことになる。基本的に同社の顧客は買い手側となり、売り手側を契約した金融機関等から紹介してもらうことになる。同社は、M&Aの戦略立案・実施支援からPMI(経営統合支援)までのコンサルティングニーズを取り込み、金融機関等にとっても新たな収益獲得機会につながるため、協業による今後の収益貢献が期待される。

(5) Webプロモーションの強化とWebコンサルティングの推進
Webプロモーションにおいて、同社ではマーケティングオートメーションツールを導入しており、DMやリスティング広告、メールマガジンから同社ホームページに来訪する潜在顧客(約4万社)を見込み客として管理し、チームコンサルティング契約や研究会、セミナー等を利用する顕在顧客へと創造・育成していく取り組みを進めていく。同時に、外部パートナーとも提携し、同社が顧客に向けてもWebコンサルティングを提供していく計画である。

3. 中期経営計画
同社は毎年、3年間の中期経営数値目標をローリングして発表している。2020年3月期は売上高9,000百万円、営業利益980百万円、経常利益1,000百万円、当期純利益680百万円を設定している。2020年3月期までの平均成長率で見れば、売上高で2.4%、経常利益で3.0%と堅実な成長を計画している。

事業セグメント別で見ても、経営コンサルティング事業、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の平均成長率をそれぞれ2%台の売上成長、営業利益は経営コンサルティング事業が7.9%、SPコンサルティング事業が3.4%の成長と見込んでいる。経営コンサルティング事業については、2017年3月期、2018年3月期と積極的に増員を進めるコンサルタントの戦力化により、収益性が向上すると見ている。

主要KPIとしているチームコンサルティング(経営コンサルティング、人材育成コンサルティング、SPコンサルティングの合計)の売上高及び社数については、2017年3月期の3,076百万円、510社から、2020年3月期は3,340百万円、550社に拡大していく計画となっている。顧客基盤(戦略ドメイン&マネジメント研究会、セミナー参加企業数)を4,863社から6,300社まで拡大していくことで、チームコンサルティング契約社数を伸ばしていく。チームコンサルティングの売上成長率は年率2.8%と全社平均を若干程度上回るペースとなるが、直近2期間で年率7.3%成長だったことからすると、保守的な印象が強い。特に、今後はM&Aコンサルティング等も展開していくことを考えれば、計画を上回る成長が期待できると弊社では見ている。チームコンサルティングの売上げが拡大すれば、利益率もさらに上昇することが予想される。

売上成長の鍵を握るのはコンサルタント人員をいかに増員し、早期に戦力化していくかにかかっている。コンサルタント人員は2017年3月期末の215名から2020年3月期末は254名へと増員していく計画となっている。特に、2018年3月期は19名増と大幅増員を計画している。ここ数年、コンサルタントの人材採用は同社の課題であったが、今期は人材紹介会社の契約先を増やして積極的な採用活動を進めており、現時点では計画どおりの増員ペースとなっているもようだ。また、今後は専門性の高いスキルを持ったコンサルタントの拡充を進めていくため、人事評価制度も2019年3月期より新しく変えていく計画となっている。従来から経営コンサルタントについては年棒制を導入していたが、人材育成コンサルタント・SPコンサルタントについても付加価値向上に取り組んでいく戦略から、年棒制を導入して能力や実績に応じた評価制度に改めていく。このため、人件費率については今後若干程度上昇していくものと予想される。なお、コンサルタントの増員ペースに対して今後の売上成長率が低く見えるが、これは売上高を保守的に見ていることや、採用したコンサルタントの育成期間になっていることが要因で、これらコンサルタントの戦力化が進めば、売上成長率も高まっていくと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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