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【特集】檜和田浩昭氏【行ったり来たり東京市場、次のトレンドを聞く】(3) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

―日経平均2万円挟んだもみ合いいつまで、夏相場の見通しは―

 東京株式市場では全体指数が上放れるかと思えば利益確定売りに押し戻され、下値リスクに身構えるような局面では、どこからともなく押し目買いが入り切り返す、といった方向感の定まらない展開が続いている。とはいえ、日経平均株価2万円台近辺でのもみ合いが永久に続くことはない。どこかでトレンドは上下どちらかに傾くことになる。経験豊かな市場関係者3人に、今後の相場を見る上での勘所と注目セクター(銘柄)について意見を聞いた。

●「企業業績の好調さ反映し値固めからジリ高歩調に」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

 きょうの東京株式市場は、米長期金利の上昇一服により、外国為替市場で1ドル=112円水準まで円高・ドル安が進行し、輸出企業の採算悪化懸念が台頭した。さらに、複数メディアの世論調査で安倍内閣の支持率が30%を割り込み、今後の経済政策への不透明感から売り優勢の展開となり、日経平均株価は6日ぶりに終値で2万円台を割り込んだ。ただ、これ以上の大幅な円高・ドル安の進行が想定し難いことや、発表が本格化する4-6月期決算の内容を勘案すると、8月にかけての全体相場は値固めからジリ高歩調の強含み推移となりそうだ。

 今週末から本格化する3月期決算企業の第1四半期(4-6月)の業績発表に伴って、好業績銘柄物色の動きが全体相場の上昇をリードすることになりそうだ。個別企業によって濃淡はあるものの、総じて堅調な業績推移が予想される。企業業績の上方修正により、現在1400円前後の水準にある日経平均の1株利益が上昇することで、株価も緩やかな上昇軌道を描くことになりそうだ。足もとから8月末までの日経平均の想定レンジは、1万9800~2万600円程度と見ており、場合によっては2万800円台に乗せる可能性もありそうだ。

 一方、米国はトランプ大統領が就任から半年が経過するなかで、今後は掲げてきた経済政策が徐々に具体化することが想定されることに加え、利上げを織り込みながら企業業績は堅調な推移を維持していくことになりそうだ。従って、外国人投資家の日本株への投資スタンスも、買い越しにシフトしてくる可能性がある。

 物色対象としては、小売りやサービスなど内需系の業種で好業績な銘柄に注目したい。輸出関連では、半導体関連に代表される電子部品セクターも人気を集めそうだ。

 さらに、配当政策など株主還元に対する企業の姿勢がクローズアップされるなかで、高配当利回りや高ROE(自己資本利益率)といった銘柄群には継続的に焦点が当たりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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