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6736 サン電子

東証S
3,415円
前日比
+65
+1.94%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
2.27 1.17 3.64
時価総額 820億円
比較される銘柄
京セラ, 
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決算発表予定日

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サン電子 Research Memo(1):VR及びAR関連の販売延期等により、2018年3月期の通期予想を減額修正


■要約

1. 会社概要
サン電子<6736>は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。2007年に買収したイスラエルのCellebrite Mobile Synchronization Ltd.(以下、セレブライト)が展開する携帯端末関連機器が、米国市場中心からグローバル展開へと大きく成長してきた。特に、携帯端末販売店(以下、MLC)向けに加えて、世界中で需要が拡大している犯罪捜査機関(以下、DI※)向けが同社の成長をけん引している。一方、厳しい市場環境に置かれているエンターテインメント関連事業は減退傾向にあるものの、創業時から脈々と受け継がれるベンチャースピリッツと開発力を武器として、導入実績が増えてきたM2M事業のほか、AR事業(AR技術を活かした業務支援ソリューション)、O2Oソリューション事業など、情報通信分野における新たな成長市場への参入により成長を加速する方針である。新規事業の進捗の遅れ等により、足元の業績は後退したものの、2019年3月期にはAR及びVR関連の各種製品・サービスをスタートする計画であり、同社は大きな転換期を迎えようとしている。

※裁判等の証拠に用いられるデータ抽出を基礎としたフォレンジック分野に加え、モバイルのデータ解析を事業領域に追加したことにより、これまでの「フォレンジック」から「DI(Digital Intelligence)」に名称を変更した。


2. 2018年3月期上期決算の概要
2018年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比12.1%増の12,639百万円、営業損失が738百万円(前年同期は65百万円の損失)と増収ながら減益となり、損失幅が拡大した。ただ、期初予想に対しては、売上高が上回り、損失幅が縮小となった。欧州等を中心に需要が拡大しているDIが大きく伸びたことや、円安による換算増が増収に寄与した。また、エンターテインメント関連における遊技機部品の販売に前倒しがあったことも上振れ要因となっている。半面、MLCやM2M等が計画を大きく下回ったことから、上振れ幅はわずかな水準にとどまった。利益面では、研究開発費や人件費の増加により営業損失を計上したが、最終段階にある新規事業(VR及びAR関連)への研究開発費が拡大すると見込んでいた期初予想に対しては上振れる進捗となっている。上記販売の前倒し等による増収に加え、新規事業の開発の遅れ(長期化)に伴って、研究開発費の一部の計上が先送りとなったことが上振れ(計画よりも損失幅が小さくなった)の主な理由である。したがって、特殊要因(販売の前倒しや費用の先送り)及び為替の影響を除けば、順調に伸びているDI以外は、総じて低調に推移したと言える。

3. 2018年3月期の業績予想
2018年3月期の業績予想について同社は、期初予想を大幅に減額修正した。修正後の業績予想として、売上高を前期比2.8%減の24,000百万円(修正幅は-2,000百万円)、営業損失を1,500百万円(前期は141百万円の利益、修正幅は-1,700百万円)と見込んでいる。期初の増収増益予想から一転して、減収減益予想となり、2期連続で最終損失(損失幅の拡大)を計上する見通しとなった。MLCの下振れと新規事業の進捗の遅れが減額修正の理由である。売上高は、好調に推移しているDIが年間を通じて伸長するものの、それ以外は前期比で縮小する想定となっている。一方、利益面では、減収による影響と研究開発費の拡大(開発の長期化に伴う追加費用を含む)により、すべての事業が減益となる想定である。

4. 成長戦略
同社の中期的な成長戦略は、これまでのモバイルデータソリューション、M2M、ゲームコンテンツ(スマートフォン)に加えて、需要拡大が予想されるAR業務支援ソリューション、VRゲームコンテンツ、O2Oソリューションなどの新たな成長ドライバーの確立により、成長を加速するものである。弊社でも、既にリーディングカンパニーとして世界開拓を進めているモバイルデータソリューションはもちろん、圧倒的な技術力と業務用途ごとの共通プラットフォームの確立により産業分野でのデファクトスタンダートを目指すAR関連、同社ならではのソリューション提供により裾野拡大への対応を図るM2M関連が、市場の拡大とともに同社の成長をけん引する可能性が高いとみている。2019年3月期以降の成長加速に向けて、M2M関連やAR関連がどのようなペースで業績貢献してくるのか、今後の動向に注目していきたい。

■Key Points
・2018年3月期上期は増収ながら減益(研究開発費の拡大が利益を圧迫)
・欧州等を中心に需要が拡大しているDIが伸びたものの、MLCやM2Mが計画を下回る進捗
・MLCの下振れと新規事業(VR及びAR関連)の進捗の遅れ(販売延期)等により、2018年3月期の通期予想を減額修正
・足元の業績は後退したものの、世界中で需要が拡大しているモバイルソリューションの伸びに加えて、今後の成長分野であるAR及びM2Mのポテンシャルの高さなど、同社の成長性評価に変化はない
・2019年3月期以降の成長加速に向けて、今後の動向に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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