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【特集】現金信仰にサヨナラ、フィンテック大本命「決済維新」を担う株 <株探トップ特集>

ビリングシス <日足> 「株探」多機能チャートより

―2018年一大潮流なるか、中国キャッシュレス化という“黒船”―

 「スマホ決済革命」の日本上陸が秒読み段階に入ってきた。日本は、現金信仰の強い国だが、目を海外に向ければキャッシュレス化の進展とともに、大きなイノベーション(革新)が巻き起こっている。「決済分野」は「フィンテック の大本命」とも呼ばれており、政府もキャッシュレス化に本腰を入れ始めた。要注目の同分野には、国内外の有力企業が参入し始めており、18年はいよいよ一大潮流が生まれそうだ。

●中国「ウィーチャットペイ」、「アリペイ」快進撃の背景

 18年はフィンテック分野の注目テーマとして、「スマホ決済」が急浮上しそうだ。昨年、世界的な注目を集めたのが、中国IT業界の巨人、テンセント・ホールディングス(騰訊控股)とアリババ・グループ・ホールディング(阿里巴巴集団)の急成長だ。とりわけテンセントの「ウィーチャットペイ(微信支付)」、アリババの「アリペイ(支付宝)」というスマホ決済事業の展開に視線は集中している。

 中国では2社によるスマホ決済事業が市場を独占し、12億人が登録しているともいわれている。スマホの画面に表示されるQRコードやバーコードを読み取るだけで決済が完了する便利さが特徴であり、中国では若者を中心に「外出するのに財布を持たなくなった」といわれるほどの普及ぶりだ。両社の展開は中国国内にとどまらない。アリババは「アリペイ」の日本人向けサービスを今春にも展開するとも報じられており、日本本格上陸も視野に入っている。

●「シェアサイクル」「無人店舗」などの新サービスの基盤に

 スマホ決済では、米アップルの「アップルペイ」などの展開がいち早く関心を集めてきた。しかし、中国は一足飛びでスマホ決済社会の先頭に躍り出て、新たな「キャッシュレス文化」を生み出しつつあることが、大きな驚きを生んでいる。

 中国で急速に普及する「シェア自転車」や「無人コンビニ」は、「ウィーチャットペイ」や「アリペイ」によるスマホ決済をベースに展開されている。今後も、中国発でスマホ決済をベースにした新サービスが生まれてくることも予想される。

 一方、現金志向の強い日本はキャッシュレス後進国とも呼ばれている。日本のキャッシュレス比率は15年時点で18%程度とみられており、50%を超える中国や韓国に比べて、その比率は低位にある。

 ただ、政府は昨年発表した成長戦略で「キャッシュレス決済比率を27年6月までに4割程度に引き上げる」ことを目標に掲げた。今後、キャッシュレス化は「国策」として推進されることになる。メガバンクが開発を進めるデジタル通貨である三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> の「MUFGコイン」やみずほフィナンシャルグループ <8411> の「Jコイン」も、キャッシュレス化を推し進める流れの一環とも捉えられる。

●LINE、ビリングシス、日ダイナミク、サインポスト

 そのなかで、日本のスマホ決済関連銘柄としては電子決済サービスを展開するLINE <3938> や楽天 <4755> が注目される。電子決済では、GMOペイメントゲートウェイ <3769> やフライトホールディングス <3753> [東証2]、ウェルネット <2428> など。ビリングシステム <3623> [東証M]は、QRコードやバーコードをベースにしたスマートフォン決済ツール「PayB」での展開が注目されている。テンセント関連では、アライドアーキテクツ <6081> [東証M]やホットリンク <3680> [東証M]、メンバーズ <2130> 、アリババ関連ではフォーサイド <2330> [JQ]などが注目される。

 また、スマホ決済に絡む新サービスでは「シェア自転車」関連で日本コンピュータ・ダイナミクス <4783> [JQ]が駐輪場のコンサルティング事業を手掛け、ICカードを活用したレンタサイクル事業を展開している。技研製作所 <6289> も駐輪場事業を行っている。「無人コンビニ」関連では、サインポスト <3996> [東証M]のAI(人工知能)搭載レジスター「ワンダーレジ」が注目される。「電子レシート」関連では、東芝テック <6588> のほか、スター精密 <7718> 、エイジア <2352> など。

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