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【特集】「人生100年時代」で儲かる会社、“超長寿社会”に向け何を買う? <株探トップ特集>

超高齢化社会へのとばくちに立つ日本社会、「人生100年時代」が株式市場に与える影響は――。

―2050年には100歳以上人口50万人へ、増え始めた注目に株式市場でも動き―

 「人生100年時代」という言葉がよく聞かれるようになった。英ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授が長寿時代の生き方を説いた著書「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」で提言した考え方で、平均寿命が延びたことにより、これからは「100年生きる」ことを前提に生き方を考えなければならないとしており、教育の負担軽減や無償化、リカレント(学び直し)教育、人事採用の多元化などを求めている。

 超高齢化社会への対応が待ったなしで求められるなか、株式市場でも「人生100年時代」に関連した銘柄が注目され始めている。

●高齢社会対策大綱で高齢者の就業率アップ目指す

 政府は1月17日、中長期的な高齢者施策の指針となる新たな「高齢社会対策大綱」案を提示した。これには現在、受け取り開始年齢を原則65歳とする一方で、受給者の希望に応じて60~70歳の間で選択可能としている公的年金の受給開始時期を70歳超でも選択できるような制度の検討が主に提言されている。

 また、現在63.6%(2016年)の60~64歳の就業率を20年までに67%まで引き上げるなどの数値目標も設定しており、そのための環境整備として「65歳以降の継続雇用延長や定年延長を行う企業への助成措置の強化」「ハローワークの『生涯現役支援窓口』の拡充」「日本政策金融公庫の融資を含めた高齢者の起業支援」なども盛り込まれている。

 政府は高齢者の就労促進が国内の労働力不足の解消や生産性の向上にもつながるとしており、安倍晋三内閣の看板政策の一つ「働き方改革」でも、女性と並んで高齢者の就業促進を重点項目に掲げている。このためにも、大綱を月内にも閣議決定する方針のようだ。

●超長寿社会到来でニーズも変化へ

 もちろん、政府の期待通りに事が運ぶには課題も多い。ただ、厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命(16年)は女性が87.14歳、男性が80.98歳と、女性は4年連続、男性は5年連続で過去最高を更新した。また、100歳を超える高齢者も統計を取り始めた1963年はわずか153人だったが、17年は約6万8000人に増加。さらに50年には50万人を超えるとみられている。

 超長寿社会の到来で、人々の商品やサービスに対するニーズが変化するのは当然で、そこには新たなビジネスチャンスも生まれてくる。既に生まれているこうした「好機」に敏感な企業には注目が必要だろう。

●シニア人材派遣で差別化図るキャリア

 「人生100年時代」に関連する業界は多岐に及ぶが、特に注目されるのは人材サービス だ。なかでもCareer <6198> [東証M]は、高齢者を対象とした人材派遣 などを行う「高齢化社会型人材ビジネス」が主力。シニア派遣のシニアワーク事業では、シニアの特性や企業の業務フローを理解したコンサルタントがシニアでも対応可能な業務を抽出し、メリットを得られるような業務フローの改善をクライアントに提案しているのが特徴で、他社との差別化を図っている。

 また、エスプール <2471> [JQ]では、豊富な経営経験、専門知識、人脈をもったシニア人材を顧問として紹介するプロフェッショナル人材バンクを展開しており、売り上げ規模は小さいながらも着実に利益を積み上げている。パソナグループ <2168> も、中高年・シニア向け「マスターズ人材サービス」を展開しており、ベンチャー企業の経営課題へのソリューション提供や、中小企業の新規事業サポート、公的機関における各種支援業務などへの人材の派遣を行っている。

●社会人教育の受講者数伸ばすTAC

 また、リカレント教育の面から、社会人教育を手掛ける銘柄にも注目したい。「資格の学校」を展開するTAC <4319> では司法試験や司法書士、公認会計士、税理士、社労士、宅建士などの資格学校や、証券アナリストや証券外務員などの金融系、パソコンスクールなどの情報処理系、医療事務などの医療系などさまざまな資格スクールを手掛けている。足もとの受講者数も順調に増加しており、17年3月期の受講者数は21万1814人で前の期比3.1%増となったが、18年3月期は上期で(前年同期比6.6%増の14万2539人となっている。

 このほか、ヒューマンホールディングス <2415> [JQ]では、資格取得のヒューマンアカデミーで各士業はもちろん、Webデザイナーやネイリスト、医療事務などの資格習得講座を展開。18年3月期上期の社会人教育事業は前年同期比2.9%増と伸長し、下期も同8.3%増を見込んでいる。

●スポーツクラブなどにも注目

 さらに、研修を中心とした社会人向け教育サービスを提供するインソース <6200> や、企業内教育支援のウィルソン・ラーニング ワールドワイド <9610> [JQ]、社会人向けにマネジメント教育サービスを展開するビジネス・ブレークスルー <2464> なども関連銘柄といえる。

 また、シニア人材や社会人教育以外では、超長寿社会の到来とともに、これまで以上に健康への意識が高まるとみられることから、スポーツクラブを展開するルネサンス <2378> やセントラルスポーツ <4801> 、東祥 <8920> なども注目されそうだ。

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