貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6701 NEC

東証P
11,170円
前日比
-25
-0.22%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.0 1.55 1.25 2.73
時価総額 3477億円
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すららネット Research Memo(5):前年同期比では増益も、ID数の伸び悩みにより期初計画を下回って着地(1)


■業績動向

● 2022年12月期第2四半期連結業績の概要
(1) 損益状況
すららネット<3998>の2022年12月期第2四半期の連結業績は、売上高1,062百万円、営業利益301百万円、経常利益311百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益206百万円となった。また、単体ベースでは、売上高1,022百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益305百万円(同17.7%増)、経常利益314百万円(同8.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益214百万円(同6.6%増)であった。

また、KPIである導入校数(2022年12月期第2四半期末)は2,068(前年同期末比406増)、ID数(同)は251,225(同127,202増)と順調に増加した。前年同期比では利益もKPIも増加したが、コロナ禍の影響により既存導入塾の通塾生徒数が減少したことにより、期初の社内計画は下回ったようだ。

単体ベースの売上総利益率は、主にコンテンツ及びシステム開発に伴う減価償却費の増加(17百万円)などにより75.1%(前年同期は76.7%)と低下したが、増収に伴い売上総利益は同8.3%増の768百万円となった。一方で、人員増による人件費や採用にかかるフィー等の支出、広告宣伝費の増加があったものの、営業利益は同17.7%増の305百万円となった。

営業利益(単体ベース)の増減要因は、増収により97百万円増、売上原価の増加(主にコンテンツ及びシステム開発に伴う減価償却費の増加等)により38百万円減、広告宣伝費の増加(主にWebマーケティング費用の増加)により9百万円減、コンテンツ及びシステム開発要員に係る労務費、それに付随する間接経費をソフトウェア及び売上原価に振替したことにより18百万円増、その他経費(本社移転に伴う諸費用、採用フィーの発生等)の増加により22百万円減であった。

(2) マーケット別動向
e-ラーニング事業のマーケット別動向は、以下のとおり。

a) 学習塾マーケット
2022年12月期第2四半期末の導入校数は1,229(前年同期末比51増)、同ID数は20,277(同3,702減)、売上高は339百万円(前年同期比8.2%減)となった。私塾市場はコロナ禍に伴う自粛の影響が続き減少傾向となったものの、独立開業市場は回復基調で、新規顧客の開拓も堅調に推移した。また、オンライン学習需要の拡大等もあり、全体の校舎数は増加した。一方、コロナ禍の影響により既存導入塾の通塾生徒数が減少した結果、ID数が減少し売上高も減収となった。期初から厳しい環境が続くと予想されていたが、その想定も下回る結果となった。

b) 学校マーケット
2022年12月期第2四半期末の導入校数は784(前年同期末比355増)、同ID課金数は224,808(同130,609増)、売上高は479百万円(前年同期比29.5%増)となった。ID数が順調に伸びたことに加え、提携先であるNEC<6701>のクラウド基盤を通して無償で提供していた「すららドリル」が2021年8月より6自治体で有償化されたこともあり、売上高は前年同期比で大幅増となったが、当初の計画よりは下回った。

GIGAスクール構想の進捗により教育現場でのICT化は着実に進んでおり、同社サービスの導入及び校舎数は順調に伸長した。一方、一部の私立学校で利用生徒数が減少した結果、私立学校のID課金数は前年同期末比では増加したものの、当初計画を大きく下回った。この要因として同社は、「公立学校への営業に注力し、私立学校がやや手薄になったことによる。今後は、全方位で営業力を強化する」と述べている。

文部科学省が進めるGIGAスクール構想については、小中学校は終了し、現在は高校向けが進捗している。公立高校でも端末整備が進み市場拡大が見込まれる。また、経済産業省によるEdTech導入補助金については、2021年度は2022年3月で終了したものの、2022年度の申請を開始している。公立学校との契約はEdTech導入補助金の動向によって大きく左右されるが、同社によれば「EdTech導入補助金を活用した公立学校全体のうち、約40%は補助金の有無にかかわらずその後も継続する意向を持っているようだ」とのことである。要するに、公立学校との契約は足元ではEdTech導入補助金の動向等によって上下するが、長期的には前述した代理店ルートの契約などもあり、対前期では着実にベースを伸ばして成長する可能性があると言える。また、公立学校だけでなく、通信制学校や専門学校でも新たな導入が始まっていることから、「すらら」の市場は着実に拡大していると言える。

c) BtoCマーケット
2022年12月期第2四半期末のID数は3,864(前年同期末比220増)、売上高は194百万円(前年同期比7.8%増)となった。コロナ禍による自宅学習需要の拡大と昨今社会問題として注目されつつある不登校生の自宅利用の増加により、新規申し込みが増加した。また、不登校・発達障がいの生徒にも対応した教材という同社独自のポジショニングを確立しつつあることも、増収に寄与したと言える。低学年層における先取学習利用者や海外子女の利用も増加しているようだ。

d) 海外マーケット
2022年12月期第2四半期末の導入校数は55(前年同期末比増減なし)、同ID数は2,276(同75増)となった。インドネシア、フィリピンではコロナ禍により、スリランカでは情勢不安によって長期にわたり学校閉鎖が継続している。一方、アジア開発銀行研究所(ADBI)との大型パイロット事業がインドネシアで本格稼動し、現地公立中学校へ海外向け「Surara Ninja!」を提供しており、今後の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《YM》

 提供:フィスコ

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