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4919 ミルボン

東証P
3,194.0円
前日比
-3.0
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
22.4 2.26 2.76 2.20
時価総額 1,058億円
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決算発表予定日

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ミルボン Research Memo(7):“顧客の世代観・価値観を捉える”施策を強化し、業績拡大を目指す


■中長期の成長戦略

2. 2017年12月期の取り組み
ミルボン<4919>は2017年12月期の市場政策において、「生涯顧客は、生涯美容師が創る。」をスローガンとして掲げ、顧客の世代観と価値観を捉えることで生涯顧客を創れる生涯美容師の育成を支援することで、サロンにおける消費拡大、ひいては同社の業績拡大へとつなげることを狙っている。こうしたスローガンは年ごとに新たなものが打ち出され、各施策の表現においても毎年変化するが、ベースの部分では複数年にわたり継続性・連関性・発展性があるものとなっている。ここに同社の施策の特長・強みがあると弊社ではみている。

具体的には、2016年12月期において、世代ごとの価値観の違いなどについての詳細な分析を活用し、Hanako世代と言われる50代を中心に、その妹に当たる団塊ジュニア世代と、娘世代に当たる20代(Hanakoジュニア世代)に焦点を当てて重点的なマーケティングや商品展開を行い、所期の目標を達成した。2017年12月期の施策は、後述するように2016年12月期の施策と実績を踏まえてさらに効果を期待できる構成となっている。

(1) ヘアカラー
ヘアカラーはヘアケアと並ぶ重要領域だ。2017年12月期は「世代ごとの価値観や嗜好の違いに、細やかに対応する」ということと、“世代波及消費”(親が使っているブランドを娘も使用する(あるいはその逆)が典型的イメージ)の拡大を目指して、トータルヘアカラーブランド「オルディーブ」を中核商品として売上拡大を図る計画だ。

(2) ヘアケア
主力のヘアケアでは、2016年12月期に行ったブランドのポジショニング(プレミアムブランドとプロフェッショナルブランドのヒエラルキーの確立)が一定の効果を発揮したことを受け、それをさらに発展させることと、その結果としての店販ビジネスの確立を目指している。“価値観を捉えた”提案というのは、プレミアムブランドの中で、さらに顧客の価値観に合わせて「オージュア」か「milbon」か「ヴィラロドラ」かを、より適切に提案することで売上を伸ばそうというのが典型的なイメージだ。店販ビジネスについては、ヘアケア用剤の売上に占める店販割合は約半分となってはいるが、美容室の収入全体に対してはいまだ10%を下回っている水準だ。また、顧客数ベースでも店販利用客の割合は平均的には15%程度にとどまっている。すなわち、店販ビジネスはまだまだ拡大の余地があり、ここにこそ同社の成長エンジンがあるということだ。後述するスキンケア事業への進出も、店販ビジネスの拡大が大きな動機となっている。

(3) コーポレートブランディング
2017年12月期も前期から引き続き同一モデルを起用し、イメージの浸透を図っている。また、同じモデルが複数ブランドでイメージを変える装いをすることで、ブランド間の特徴・違いを強調する試みも行っている。さらに、前期の銀座駅ジャック(駅構内を同社のポスターで占拠する広告)を、2017年2月にも銀座駅周辺に加え大阪・梅田駅周辺に拡大して行い、「ミルボン」の認知度向上やイメージアップを図った。

(4) 国内拠点
2017年12月期は静岡営業所を新設するほか、福岡支店、岡山営業所、横浜営業所の各拠点を移設し、面積の拡大や内装設備の充実を図る計画だ。静岡の新設により国内は16拠点体制となる。同社の営業拠点は、営業担当者(フィールドパーソン)のベースであるだけでなく、管轄する美容室のスタッフに対するトレーニング拠点という役割も担っている。同社の営業手法の大きな特徴かつ強みが、美容師に対するトレーニング・教育を十分に行ったうえでの商品のカウンセリング販売にある。そのため、営業拠点の設備充実は、同社にとっては重要な設備投資と言える。

(5) 海外拠点
北米、東アジア、東南アジアについては、グローバルブランド「milbon」を通じて業容拡大を図るというこれまでの事業計画を2017年12月期も着実に行うことになる。新たな動きとしてはドイツでの拠点新設がある。欧州についてはこれまで、トルコの拠点を通じて情報収集などを行ってきたが、ドイツ(具体的な都市は検討中)に拠点を置くことで、よりダイレクトにヘアやメイクのトレンドなどについて情報を収集し、製品開発や販売強化につなげる計画だ。

(6)人材確保
同社は2017年12月期から、採用のタイミングを春・秋の2季制とし、研修もそれに合わせて2期制とすることで、優秀な人材の採用と時機にかなった戦力投入の実現を目指している。弊社では、この制度変更が2017年12月期では最も注目すべき施策だと考えている。理由は、同社の営業力強化、あるいは新事業となるスキンケアへの進出のカギを握るのが、フィールドパーソンの存在だからだ。フィールドパーソンは年間30名のペースで採用しているが、これはトレーニング・キャパシティの制約による。2期制とすることで、年間60名のフィールドパーソンの育成が可能となる。この人材増強策は、既存のヘア化粧品事業の拡大はもちろん、スキンケア事業の開始という点でも非常に有効かつ不可欠なものだと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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