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【特集】清水三津雄氏【トランプ演説受けた急騰劇、その先にあるもの】(2) <相場観特集>

清水三津雄氏(日本アジア証券 エクイティ・ストラテジスト)

―日経平均“取引時間中”高値更新も安値引け、再び「風」は吹くか―

 2日の東京株式市場は、前日の米国株急騰の余韻冷めやらぬなかリスクを取る動きが加速、日経平均株価は寄り付きに年初の高値を抜き去り、新局面入りの様相をみせた。トランプ米大統領の議会演説は結果的に日米株高を呼ぶ号砲となった。ただし、日経平均の終値は始値を下回る上ヒゲ陰線で引け味の悪さも残している。株価上昇の背景と今後の見通しについて、相場の機微を知るベテラン市場関係者2人の意見を聞いた。

●「基調強く夏場までに2万2000円も」

清水三津雄氏(日本アジア証券 エクイティ・ストラテジスト)

 1日のNYダウ急上昇を受け、この日の日経平均株価は年初来高値を更新した。この背景には、トランプ米大統領の政策不安が薄らいだこと、米利上げ観測で円安が進行したことがあると思う。

 米大統領の議会演説では保護主義的な内容が出てくることが警戒されていた。しかし、保護主義的な政策に対する強い言及はなかった。また、市場には円高懸念も強かったが、米国の早期利上げ観測で米長期金利が上昇しドル高・円安が進んだ。このため、不安心理が薄らいだ株式市場には売り方の買い戻しも流入し、株価を一気に押し上げた格好だ。

 今後のポイントは今月中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けての動向だろう。この頃、米予算教書の発表も見込まれ、好悪材料が出てくることも予想されるが、基本的には日経平均株価は上値を目指す基調にあるとみている。日本企業の業績は堅調であり、本来の株価水準はもっと上でいいはずだ。

 3月中旬以降は機関投資家の決算対策の売りも一巡し、需給も良くなる。今月中に2万円乗せは期待できるだろう。

 4月以降を見ても、下旬から3月期企業の決算発表が本格化する。日本企業は来期業績に関しても増益基調を示せると見られる。こうしたなか、夏場までに日経平均株価は2万2000円を目指す動きが見込めるとみている。

 個別セクターでは銀行や証券などの金融株、それに米国の設備投資にも絡む機械株などに注目している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(しみず・みつお)
日本アジア証券エクイティ・ストラテジスト。歯切れの良さと分かりやすい説明に加え、ピンポイントの銘柄分析に定評がある。セミナー講師を年間50回以上務め、個人投資家との対話が好評を博す。「ラジオNIKKEI」「日経CNBC」「ストックボイス」にレギュラー出演中。

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