市場ニュース

戻る
2017年03月01日19時00分

【特集】トランプ演説「想定内」で安堵感、“2万円”再挑戦が始まる <うわさの株チャンネル>

ソフトバンク <日足> 「株探」多機能チャートより

―変わる潮目、演説終了後「日経平均」大幅上昇の意味するものは?―

 名実ともに月替わりとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が続伸し1万9400円台まで上値を伸ばす場面があった。2月下旬に軟化した相場も仕切り直しの買いが入り、再び流れが変わりつつある。

 現地時間28日、日本時間1日の午前11時過ぎからトランプ米大統領の議会演説が行われた。市場関係者が固唾を飲んで見守ったトランプ氏の演説は約1時間で終了、多くの市場関係者はその内容について口を揃えて「想定内でサプライズなし」であった。しかし、その言葉の裏側には、「想定内であれば上出来」というコンセンサスがあり、失望売りのシナリオもあっただけに、“無風通過”だったことへの安堵感も漂う。

 この日、日経平均は朝方から強調展開をみせていた。前日の米国株市場ではNYダウが13日ぶりに反落したものの、米国主導のトランプ相場は依然として先高期待が強い。足もとの円安傾向を追い風に寄り付き107円高で始まり、前場中ごろには240円強の上昇をみせた。しかし、その後は上げ幅を縮小し、前引けは寄り付きとほぼ同水準で着地。前引けにかけ急速に伸び悩んだのは、トランプショックに対し身構える投資家の本能を映したものでもあったろう。

●アルゴ売りプログラムの呪縛から逃れる

 しかし、結果的にそれは杞憂だった。トランプ氏の演説終了を経て、後場寄りに日経平均はいきなり上昇幅を広げ、その後も漸次水準を切り上げる動きをみせた。

 東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏は「何も目新しさはなかったが、とりあえず悪いこともなかった。マーケットは演説内容を注視するというより、イベント通過による安心感を求めていた部分もある」とする。そして「為替相場とリンクさせたアルゴリズム売買に振り回されている株式市場だが、とりあえず売りプログラムの呪縛からは逃れた格好だ。次のイベントとしては3月13日ごろとみられる予算教書が注目されることになるが、それまでにフシとなっている日経平均1万9500円ライン突破に再チャレンジするのではないか」と予想している。人工知能(AI)などを駆使した高速取引はともすれば市場の撹乱要因となるが、足もとはその波乱の芽が一つ摘み取られた印象であり、その分、日経平均の上値も軽くなりそうだ。

●トランプ相場の申し子ソフトバンク

 松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「インフラ投資で1兆ドルという数字を明示したほか、大型減税や防衛費強化について言及したものの、当然ながらサプライズはない。ただ、日本株はここ先物のヘッジ売りが積み上がっており、これが、日経平均が1万9000円台半ばで(米国などと比較して)相対的に出遅れる背景にもなっていた。イベント通過でそのショートポジションが外れることになれば、上値が軽くなり、自然体で水準を切り上げてくる公算は小さくない」と指摘している。また、個別銘柄では「ソフトバンクグループ <9984> が演説の中で雇用を創出した企業として紹介され、これを手掛かりに買いを呼び込んだことは全体のリスクオンモードに貢献した」としている。

 一方、トランプ米大統領の演説自体にそれほど意味はなく、あくまでフォーカスされるのは米国のファンダメンタルズや利上げのタイミングであるという見解を示すのはSMBC日興証券投資情報部部長の太田千尋氏だ。太田氏は「これまで開示されていたことの繰り返しであり、今回の議会演説について株式市場は基本的にスルーであったと思う。後場に買い直されたといっても前場の高値水準と大きな差はなく、マーケットの視線はにわかに可能性が高まっている3月15日のFOMCでの利上げの動向に向かっている」という意見だ。また、日経平均の上値については引き続き重いとの見方で「1万9500円近辺を上限とする動きからはなかなか脱せないだろう」としている。

●ボックス相場3ヵ月も徐々に下値切り上がる

 昨年12月以降、日経平均は3ヵ月間にわたって1万9500円ラインを上限とするボックス相場を展開しており、ここを抜けるのは容易ではないというのが市場関係者の共通した見方のようだ。ただ、よく見ると今年に入ってその下値ラインは徐々に切り上がっており、“上に行きたがっている”相場ともみてとれる。近くて遠い日経平均2万円。その壁を破るのはいつなのか。

 ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏は「トランプ大統領の演説は今回、唯一1兆ドルという数字に言及したインフラ投資のほか、規制緩和、大規模な減税などに触れたが、肝心なのは3月中旬の予算教書で出す具体的な数字がどうなるかだ。トランプ氏が議会に気を使って減額気味に出してくるようだと失望売りにつながるが、市場の期待に沿うものであれば、出尽くしとはならず、日米の株価は引き続き上値を指向すると思われる。東京市場では年初の急騰でつけた日経平均1万9600円どころが、かなり意識されており、3月前半の段階でここを抜くのは難しそうだ。しかし、予算教書がまとまり、FOMCでの利上げを確認すれば不透明感は払拭される。米株高と連動して3月後半から4月の初旬にかけて2万円台をうかがう展開になりそうだ」という見解を示している。

 ノーサプライズであったはずのトランプ米大統領の議会演説を受けて、前出のソフトバンクだけでなく、インフラ関連や設備投資関連、米長期金利の上昇を受けた銀行株などもトランプ相場初期の色彩をにわかに帯びた。春先に向けての日本株の奮起が期待される場面である。

(中村潤一)

株探ニュース

日経平均