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【特集】3月IPO戦線、一風堂・ほぼ日など注目企業「売買ポイント」は <株探トップ特集>

「著名人経営ベンチャー」「大型再上場」など3月IPOは注目抜群で人気化にも期待が集まっている――

―上場企業の顔ぶれ多彩、3月相場はIPO人気に染まるか―

 3月のIPOシーズンがスタートする。今月は新たに22社が上場を果たすがその顔ぶれは、時価総額が1000億円近くに達しそうな「大型の再上場企業」から、「著名人が経営するベンチャー企業」、「急成長のIT系企業」、「赤字バイオベンチャー企業」など多彩だ。折しも、中小型株が人気化するなか3月相場はIPO人気で一色に染まりそうだ。そんななか、注目の3月IPO企業の投資ポイントを探った。

●月間22社が登場、中小型株人気でプレミアムも

 3月IPOは7日に東証マザーズに上場するロコンド <3558> [東証M]から始まり、31日にジャスダックへ上場するネットマーケティング <6175> [JQ]まで22社が登場する。特に15日以降は毎日1社以上が連日上場する格好となり22日には3社が同時上場する。上場市場の内訳は、東証マザーズが13社、ジャスダックが4社、東証2部が2社、東証1部あるいは2部が3社となっている。

 3月IPOに対しては「東証1部へ直接上場が見込まれる大型IPOから話題のベンチャー企業までバラエティーに富んでいる」(市場関係者)と期待する声が多い。特に、2月IPO企業のレノバ <9519> [東証M]やユナイテッド&コレクティブ <3557> [東証M]が人気化するなど、中小型株は個別株物色で値が飛びやすい状態にある。3月IPOは足もとの好地合いに乗り、大きく盛り上がりそうだ。

●「ほぼ日」は手帳依存に評価2分、「一風堂」海外展開に期待

 3月IPOはその業態から「独自展開で注目のベンチャー企業」と「時流に乗るIT系企業」、それに「再上場を果たした大型企業」などに分類できる。

 なかでも、市場の話題を集めているのが「注目ベンチャー企業」だ。著名コピーライターの糸井重里氏が社長を務める「ほぼ日 <3560> [JQ]」とラーメン専門店「一風堂」などを展開する「力の源ホールディングス <3561> [東証M]」は熱い視線を集めている。ほぼ日は16日にジャスダック市場に、力の源HDは21日に東証マザーズに上場する。

 ほぼ日は、人気ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営し、オリジナル企画の文具や日用雑貨を販売している。主力の「ほぼ日手帳」は年間60万部を発行、同社の売上高の約7割を占めている。同社の公開価格は未定だが、「糸井氏の知名度は高く堅調な初値が期待できるだろう」(市場関係者)という見方は少なくない。ほぼ日手帳の海外市場開拓への期待もある。一方、「手帳への依存度が高い点は懸念材料で、成長性はさほど高くない。上場後の株価は伸び悩む可能性も」(アナリスト)と先行きを慎重にみる声もある。

 力の源HDは博多ラーメン専門店「一風堂」を中心に事業展開。「IPPUDO」ブランドを中心にアメリカやイギリス、シンガポール、中国など世界12ヵ国・地域で海外展開を進めている。「ラーメンは世界的にみても人気となっており、20年の東京五輪も視野に成長が見込める」(小型株アナリスト)と外食の有力ベンチャー企業として期待する見方が出ている。赤字の海外事業は今後の黒字化が見込まれる。主幹事の野村証券への期待もあり、「3月IPOの目玉の一社」(同)とも評価されている。

●「ユーザーローカル」はIT系で人気化か、「ファイズ」はアマゾン関連で注目

 他の有力IPO企業をスケジュール面からみると、7日の通販サイトを手掛けるロコンドや9日のプリント基板Eコマースを手掛けるピーバンドットコム <3559> [東証M]は、IPO人気に乗り順調な値上がりが期待される。ファイズ <9325> [東証M]はEコマースの物流センターの業務を手掛けており、アマゾンジャパン向けを主力としている点が注目されている。うるる <3979> [東証M]は、クラウドワーカーを活用する事業の運営を展開しているが、全国の官公庁などの入札情報を検索できる「入札情報速報サービス」を展開している点が関心を集めている。また、17日のビーグリー <3981> [東証M]はコミック配信サービス「まんが王国」などの運営を行っている。

 人気テーマであるIT系企業は主に後半に登場する。22日のオムニチャネルプラットフォーム構築のエスキュービズム <3982> [東証M]や自社開発ERPパッケージソフトウェアなどを手掛けるオロ <3983> [東証M]、それにビッグデータ解析、人工知能(AI)による情報提供サービスのユーザーローカル <3984> [東証M]などは人気化への期待が高い。

●大型IPO「スシロー」に荷もたれ懸念、ソレイジアは穴株に?

 東証1部への直接上場が予想されているのが、22日に登場するオンラインを中心とするマーケティング・リサーチのマクロミル <3978> [東証]、29日のインターネットを利用したオークションのオークネット <3964> [東証]、30日の回転すし全国チェーンのスシローグローバルホールディングス <3563> [東証]の3社だ。いずれも、一度非上場となった後に登場する再上場銘柄であり、マクロミルやスシローGHDはファンドの保有株も多く「エグジット」への懸念も出ている。例えば、スシローGHDは、想定発行価格からみて時価総額は1000億円前後になる見通しだが、公募増資は実施されない一方、800億円近い売り出しが実施される可能性があり、荷もたれ感を指摘する見方がある。

 また、一部市場関係者が注目しているのが、24日にマザーズに上場するソレイジア・ファーマ <4597> [東証M]だ。がん治療のための医薬品を開発する赤字のバイオベンチャー企業だが、想定発行価格は180円と低位に置かれた。バイオベンチャー企業は、有望新薬の開発失敗などで人気が後退しているが、「180円前後の株価なら下落しても損失は限られるだろう」(市場関係者)との声も出ており、「マネーゲーム的な人気を集める可能性」(同)も指摘されている。

●3月IPO企業の一覧
       コード・
上場日    上場市場  企業名              主幹
3月 7日  3558・東証M ロコンド             野村
3月 9日  3559・東証M ピーバンドットコム        SBI
3月15日  9325・東証M ファイズ             大和
3月16日  3979・東証M うるる              野村
3月16日  3560・JQ  ほぼ日              みずほ
3月17日  6544・東証M ジャパンエレベーターサービスHD 野村
3月17日  3981・東証M ビーグリー            SMBC日興
3月21日  6545・東証M インターネットインフィニティー  みずほ
3月21日  3561・東証M 力の源ホールディングス      野村
3月22日  6546・東証2 フルテック            野村
3月22日  3982・東証M エスキュービズム         みずほ
3月22日  3978・未定  マクロミル            三菱、大和など
3月23日  6547・東証2 グリーンズ            野村
3月24日  4597・東証M ソレイジア・ファーマ       みずほ
3月24日  3983・東証M オロ               野村
3月27日  3479・東証M ティーケーピー          野村
3月28日  6694・JQ  ズーム              野村
3月28日  3562・JQ  No.1             SBI
3月29日  3964・未定  オークネット           野村
3月30日  3984・東証M ユーザーローカル         大和
3月30日  3563・未定  スシローグローバルHD      野村など
3月31日  6175・JQ  ネットマーケティング       SBI

注:未定は東証1部または同2部

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