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【特集】住宅“再生”関連にスポットライト、中古市場活性化で関心 <株探トップ特集>

フジ住 <日足> 「株探」多機能チャートより

―国交省「認定制度」導入で中古住宅販売増加に期待、関連株に商機到来も―

  中古住宅の市場活性化に向けた動きが本格化しようとしている。国土交通省の有識者検討会は2月28日、高品質の中古住宅を対象にした認定制度案をまとめ、一定の基準を満たす住宅に「安心R住宅」というマークを付与する考えを固めた。「古くて汚い」という中古住宅に対するイメージを刷新するのが狙いで、これにより市場活性化が実現すれば、関連する銘柄へのビジネスチャンスも拡大しそうだ。

●中古住宅の市場は全体の15%前後

 国土交通省の「平成27年度 住宅経済関連データ」によると、持ち家として取得した中古住宅数は、2013年は「一戸建て・長屋建て」が8万7000戸、「共同住宅・その他」が約8万2000戸で、全体では16万9000戸だった。ここ数年では多少の増減はあるものの、16万戸台後半から17万戸台前半で安定して推移している。

 一方、新設着工戸数に対する既存住宅取引戸数の割合は、09年に17.6%のピークを迎えた後、徐々に減少し、13年は前年比マイナス0.2ポイントの14.7%となっている。米国(83%)、英国(87%)、フランス(68%)など他の先進国と比べて著しく低いのは、新築住宅を好む人が多い国民性があるといわれている。

●深刻化する空き家問題

 中古住宅の流通規模拡大が鈍い一方で、年々深刻化しているのが空き家問題だ。

 総務省統計局の「平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)」によると、13年の全国の空き家数は820万戸と、5年前に比べて63万戸(8.3%)増加し、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%と同0.4ポイント上昇して過去最高となったという。野村総合研究所では、33年に空き家が2100万戸を超え、総住宅数に占める割合が30%に達すると予想している。

 空き家は適切な管理がなされていないものも多く、火災の発生原因となることがあるほか、犯罪に使われたり、景観や周辺の衛生の悪化にもつながりかねない。これらを解消するためにも、中古住宅の流通の活性化が重要となっている。

 このため国土交通省では、前述のような高品質の中古住宅を対象にした認定制度創設に乗り出し、「安心R住宅」で一定のお墨付きを与える方針だ。同制度は今年度中にも本格的な運用を始める予定で、買い手が安心して取り引きできる環境が整うことになる。これにより、中古住宅市場が一気に活性化するとの期待が強まっている。

●中古住宅の販売実績が多いフジ住宅

 今後、ハウスメーカーの中にも中古住宅の再生に注力する企業も増えてくるとみられるが、当面、優位に立つのは実績の多い企業だろう。

 全国的にも中古住宅の買い取り・再販の実績が多いのが大阪を地盤とするフジ住宅 <8860> だ。同社では中古のマンションや戸建てを買い取り、リフォームしたのちに販売する「買取再販」事業を展開しており、中古物件を買い取る量とスピードに強みがある。16年3月期の買取再販物件の年間販売件数は1500戸強で全国トップクラス。また、中古マンションの買取再販専門のインテリックス <8940> や、入居者がいるマンションを買い取り、空き部屋になり次第リフォームして売却する独自モデルのスター・マイカ <3230> [東証2]なども販売戸数が多い。

 このほかにも、条件が悪い物件を積極的に仕入れることで、低価格の再生住宅を提供するイーグランド <3294> [東証2]や、空き家相談窓口などを設けて再生住宅とのシナジーを図る東武住販 <3297> [JQ]なども中古住宅の販売実績が多く要注目だ。

●ホームインスペクションで注目のERIHD

 一方、中古住宅の購入には不安を覚える人も多い。例えば新築住宅は現在、引き渡しから10年以内に壁や屋根などに重大な欠陥が見つかった場合、売り主が無償で修理することが義務づけられており、これは売り主が仮に経営破綻していてもカバーされる。

 しかし、中古住宅は保障がないことも多く、保障があっても期間の短い場合が少なくない。そこで最近、需要が高まっているのが、住宅診断(ホームインスペクション)だ。

 ERIホールディングス <6083> では、中古住宅の取り引きで問題視される雨漏り、給排水管からの漏水、シロアリの害、主要な木部の腐蝕・腐朽について、専門の研修を受けた建築士が調査し報告書を作成している。また、細田工務店 <1906> [JQ]や岐阜造園 <1438> [名証2]などもホームインスペクションの専門家を有しており、リフォームなどの需要取り込みを強化している。

 さらに、診断を経て実際にリフォームとなれば、建築家約2800人をネットワークしリフォームのアドバイスなどを行うアーキテクツ・スタジオ・ジャパン <6085> [東証M]や、LIXILグループ <5938> をはじめ、TOTO <5332> 、ノーリツ <5943> 、ウッドワン <7898> 、タカラスタンダード <7981> など住宅設備メーカーのビジネスチャンスが広がろう。

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