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4245 ダイキアクシス

東証S
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時価総額 98.4億円
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ダイキアクシス Research Memo(5):2022年12月期は増収も、経費増で減益


■業績動向

1. 2022年12月期の業績概要
ダイキアクシス<4245>の2022年12月期の連結業績は、売上高が前期比4.4%増の39,478百万円、営業利益が同26.2%減の826百万円、経常利益が同9.9%減の1,172百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.9%減の574百万円となった。売上総利益率は20.7%と同0.1ポイントの低下にとどまった。販管費が同9.0%増となり、営業利益の大幅な減少を招いた。営業外収益の為替差益が前期の19百万円から139百万円に増加したことから、経常利益の減少幅が小さくなった。

販管費の増加は、主に持続的な企業価値の向上を目的とした人的資本への投資や、企業情報の開示拡充に向けたものであった。ベースアップは、定期昇給と併せて平均約6%の引上げとした。また昨今の急激な物価高騰を踏まえ、物価上昇手当を支給するため期末に引当金(約90百万円)を計上した。インド新工場稼働に向けた工場要員の先行採用、海運運賃の上昇などによる輸送費の増加、各種資材の高騰、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う制限緩和により国内外の出張などが増えたことによる旅費・交通費の増加、のれん償却額を含む新子会社2社の連結化による費用増などが減益要因となった。

2. 事業セグメントの動向
事業セグメントによる経営成績は、主力の環境機器関連事業と住宅機器関連事業が増収、減益となった。再生可能エネルギー関連事業は増収増益を達成したものの、FITを利用した売電以外の売上高が増えたため、売上高利益率が低下した。

(1) 環境機器関連事業
環境機器関連事業の売上高は前期比1.7%増の20,477百万円と全体の51.9%を占めた。セグメント利益は同11.3%減の1,497百万円となり、売上高利益率が同1.1ポイント減の7.3%に低下した。国内売上高は、大型工事案件の進捗状況が影響して同2.4%減少した。海外を含むメンテナンスは、契約数の増加から同4.9%増加し、同事業における売上構成比が25.8%となった。

海外売上高は、前期比50.9%増の2,247百万円と大きく伸び、同事業売上高の11.0%を占めた。コロナ禍の影響はあるものの、イラクにおけるJICA支援プロジェクトへの浄化槽等の納入、インドネシアにおけるごみ処理処分場の排出液処理設備・外部廃液処理設備案件の完成、スリランカにおける中大型槽(インドネシア工場での製造)や小型槽(日本製)の販売によって売上高が増加した。

(2) 住宅機器関連事業
住宅機器関連事業の売上高は前期比3.4%増の16,421百万円、セグメント利益が同13.1%減の321百万円であった。売上高の前期比増減率は、建設関連業者等が3.1%減、ホームセンターリテール商材が1.6%増、住機部門工事が34.1%増であった。電子商取引は、分母が小さいため変化率は71.9%増と大きいが、構成比は0.1%にとどまった。

建設関連業者等向け売上高は、前期にコロナ関連補助金の影響もあり発生した非接触型商材(便座の自動開閉や自動洗浄などの機能を持つトイレ)の需要が一巡し、2022年12月期の関連売上高が大きく減少した。中国上海が2022年3月にロックダウン(都市封鎖)となった影響により、住設機器メーカーの出荷が制限され深刻な商品供給の遅延が生じた。原材料価格の上昇や物流費の高騰などを背景に各メーカーから商材の値上げ要請が相次いだが、建設関連業者向けにすべてを価格転嫁できず利益率が低下した。ホームセンター向けリテール商材は、同年12月に入り主力商品の供給が通常納期に戻り、価格改定も行われた。住機部門工事は、ホームセンター事業を展開しているDCMグループの店舗建築工事が完成したことによる売上を計上した。コロナ禍により滞っていた農業温室事業関連の投資が回復傾向に転じたことにより増加した。工事部門は、契約時と工事完成時期の間に上昇した仕入価格の上昇分の価格転嫁が困難であった。

(3) 再生可能エネルギー関連事業
再生可能事業エネルギー関連事業の売上高は、前期比69.8%増の1,938百万円、セグメント利益が同9.8%増の197百万円となった。売上高が全事業にわたって大きく伸びた。主力の太陽光発電に係る売電事業の売上高は、太陽光発電事業関連の企業を子会社化したことから同60.3%増の1,535百万円、売上構成比が79.3%となった。Non-FIT型売電事業の増加により利益率は低下した。バイオディーゼル燃料事業は、B5軽油の契約数増加から売上高が同38.0%伸び、売上構成比は10.5%となった。小形風力発電事業の売上構成比は3.1%となり、前期比では419.8%と伸長した。FIT売電施設が6サイト増え、期末の稼働サイト数は18となった。水熱処理事業は売上高が554.6%増となり、売上構成比は7.1%に上昇した。

(4) その他の事業
家庭用飲料水事業は、売上高が前期比5.2%減の642百万円、セグメント利益が同59.7%減の48百万円であった。ボトル型ウォーターサーバーの契約数が減少し、サブスクモデルの水道直結型のウォーターサーバーの契約数が増加した。水道直結型の契約数増加に対応する人員を先行投資した。

3. 財務状況とキャッシュ・フロー
(1) 財務状況
2022年12月期末の資産合計は、31,905百万円と前期末比346百万円減少した。流動資産は、19,038百万円と同942百万円減少した。イラク向けJICA支援プロジェクトに係る債権の回収により、売上債権が減少し現金及び預金が増加した。また、期首から「収益認識に関する会計基準」等を適用したことにより未成工事支出金が減少し、棚卸資産も2,238百万円減少した。固定資産は、12,867百万円と同596百万円増加した。インドの新工場の完成、地下水飲料化システムや太陽光及び小形風力発電設備の件数が増加した。負債の部では、流動負債が16,134百万円と未成工事受入金の減少もあり同705百万円減少した。負債合計は同1,030百万円減少した。自己資本比率は29.8%と前期末比2.4ポイント上昇した。

(2) キャッシュ・フロー計算書
2022年12月期末の現金及び現金同等物残高は7,038百万円と前期末比787百万円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは、1,261百万円の収入となった。売上債権と仕入債務の減少が寄与した。投資活動によるキャッシュ・フローは1,548百万円の支出となった。先行投資時期であるため、フリーキャッシュ・フローが287百万円のマイナスとなった。財務活動によるキャッシュ・フローは790百万円の収入となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《SI》

 提供:フィスコ

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