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2788 アップル

東証S
394円
前日比
+1
+0.25%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.5 0.60 2.54
時価総額 54.6億円
決算発表予定日

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アップル Research Memo(7):いすゞ自動車との資本業務提携による新たな事業の方向性(2)


■アップルインターナショナル<2788>の中長期の成長戦略

4. 国内事業
日本国内の自動車流通事業は、少子高齢化の上、環境対応や安全対策により車両価格が上がっており、国内の新車及び中古車販売市場の台数ベースの成長が見込みづらい。市場のパイが拡大しないなか、各社はお互いの周辺事業に領域を拡大する成長戦略を取っている。中古車買取業者は小売業に、中古車販売業者は外車新車ディーラーや買取専門店を展開している。

同社は、縮小する市場で単に量的拡大を追求するのではなく、レンタカーやカーリース事業などでフランチャイズビジネス用のスキームを開発し、現有の同社グループ機能との相乗効果により収益源を多様化することを目指している。2017年12月期に入って、4月に「アップルレンタカー」第1号店を沖縄県那覇市にオープンした。また、9月からは直営店において割安感を出したカーリース事業を開始した。

(1) 事業環境の変化
同社は将来に想定される事業環境の変化に鑑み、従来型ビジネスを単純に量的拡大することへのリスクを感じている。2014年5月に民間研究機関の日本創成会議から出された「増田レポート」は、全国約1,800市町村のうち約半数の896の市町村を「消滅可能性自治体」としてリストアップした。2017年3月には、300を超える市町村が、計画的に街を縮小して自治体機能を維持するコンパクトシティを目指していることが報じられた。これまでコンパクトシティは成功例に乏しいが、人口減少、中心市街地の空洞化とドーナツ化現象が進むなかで、公共サービスや医療・福祉・商業などの都市機能を維持することが困難になりつつある。日本の都市政策は郊外の開発を軸に展開されてきたが、国及び地方自治体に見直す機運が高まっている。

(2) 目標店舗数の修正
中古車買取・販売事業は、グループ直営店を含むアップル加盟店が2015年12月期に前期比13店舗増加した。2016年12月期は当初13店舗の増加を計画し、2017年12月期には300店舗を目指していた。しかし、2016年12月期は新規加盟と退会が相殺し、総店舗数は横ばいにとどまった。現在は、2019年12月期の目標を260店舗としている。総店舗数の拡大を追求する一環として国道沿いの郊外型路面店を増加させることは、将来に禍根を残すことになりかねないと方針を変えた。ただし、様々な可能性を試しており、今後は集客力の高いショッピングセンターにテナントとして入る形態を増やすことを計画している。同形態として、2015年12月に神奈川県相模原市にある地域密着型ショッピングセンターのラ・フロール橋本に『クルマ買取・販売 アップル』をオープンした。ショップインショップが好ましい結果を出せるようになれば、総店舗数300店舗の目標を再度掲げることになるだろう。

(3) レンタカー事業に領域を拡大へ
若者の消費スタイルにおいて、『モノからコトへ』、また『所有(独占)からシェア(共有)へ』という変化が起こっている。クラウド時代では、ITに関わるリソースを所有から利用へ移行している。米国の音楽業界では、定額制音楽配信サービスの利用がCDやダウンロード販売を上回っている。若者のクルマ離れから、クルマを「所有する」から「利用する」にシフトするとみている。

同社グループは、シェアリング・エコノミーの進展に対応するため、レンタカー事業のパッケージ化を進めている。同事業でも、アップルの看板を掲げ、フランチャイズチェーン展開を計画している。レンタカーは通常、新車を用いるが、同社は中古車も活用する。中古車を使ったレンタカー事業は、既にタイでは調査済みである。インバウンド効果により訪日観光客が増加している沖縄で、2017年4月に加盟店による「アップルレンタカー那覇店」が第1号店として開設された。第2号店は、インバウンド需要が見込まれる北海道札幌市で計画している。ただし、降雪がある冬季に需要が激減するため、所有車両の季節に応じた機敏な調整が求められる。

(4) カーリース事業に参入
2017年4月に、個人向けに自社で所有する中古車のマイカーリース事業を開始した。さらに、9月には新車をメニューに加えた。同社の本社所在地である三重県四日市市や鈴鹿市、伊勢市のほか、千葉市や神奈川県藤沢市の直営店10店で開始した。今秋から全国の約200店のフランチャイズ店舗に広げることを計画している。初年度は2,000台、5年後には全国で1万台のリースを目指す。

同社の新車リースは、東南アジアを中心とする海外市場で人気の車種を選び、契約終了後に高く買い取ることを前提にリース料金を抑えたことが差別化ポイントとなる。一般的な料金よりも3割安くできる例があると言う。リース対象車は、トヨタ自動車の高級ミニバン「アルファード」、「ヴェルファイア」、小型ミニバン「シエンタ」、日産自動車の「セレナ」、ホンダの「ヴェゼル」など約10車種となる。5年リースの場合、「ヴェルファイア」の月間リース料は38,000円、「シエンタ」なら同25,000円になる。現在所有している車を売却し、その代金を頭金に充てれば、リース料はさらに下がる。リース料には、自動車税、取得税、重量税、自賠責保険、車検費用、諸費用が含まれる。利用者の追加負担は5年分の任意保険になる。同社には、任意保険の取扱手数料が収入として入る。

カーリース事業のポイントは、月々のリース料が少なく、所有するより借りる方がコスト的に有利となることである。軽自動車のスズキ「アルトL」であれば、頭金ゼロで5年リースの月額が7,776円と1万円を切る。ホンダの「N-BOX G」ならば、10,800円となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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