ジェイテック Research Memo(4):注文支援システム「グルくる(R)」は引き続き積極的に展開していく
■ジェイテック<2479>の今後の展望・課題
3. 「グルくる(R)」の今後
新規事業の中でもとりわけ期待が大きいのは、第1弾として2015年3月にリリースされた店舗における注文支援システム「グルくる(R)」だ。
「グルくる(R)」は、来店客が自分のスマートフォンを店内にあるQRコードを読み取るか、NFCタグにタッチするとスマートフォンに店内のメニューや商品リストの価格、商品の説明が表示される。同時にそこから商品を注文することもできる。いわゆるセルフ注文システムであり、メニューブックとしても使用できる。従来のように店舗にタブレットを置き、そこから注文する場合に比べ、店側の投資が格段に低く済むようになる。タブレットの場合は小規模の場合でも導入の初期費用に数百万円かかる一方で、「グルくる(R)」は原則として初期投資は不要である。使用料も、商品の数や、店舗の規模には関係なく月額1万円で済む。さらに、13言語での対応が可能となっている点も大きなポイントで、インバウンド消費に対応できるシステムだ。専門翻訳の費用は別途かかる。
新規事業も「人手不足」がキーワードになっており、「グルくる(R)」も開発当初は、アルバイトや従業員の確保が難しい小規模飲食店向けに開発したが、インバウンド消費の活況で市場が注目した。その結果、現在では、当初の対象だけでなく、観光地の名所案内や、おみやげ店のほか、大型専門店への導入も視野に入っている。
代理店は北海道から福岡県まで18社となった。導入の促進に関しては、地方自治体や商店会へのアプローチを積極的に行い、訪日観光客が多く集まる自治体にダイレクトメールを送付、市町村の観光・産業振興予算への取込促進に取り組んでいる。2017年3月期は正式導入成約が7件、テスト導入が15件となった。今後は飲食店以外のアプローチと大手チェーン店などでの導入を促進していく。また、協賛企業である大阪市商店会総連盟の協力提案で、一部加盟商店会のテスト導入を行う。さらに、プリンターと連動させるほか、POSレジスターメーカー及びWeb決済企業との提携なども検討しているなど、セルフオーダーシステムとしての機能拡充を図っている。こうした取り組みで店舗にとっても消費者にとってもより使いやすいサービスへの改良も進める考えだ。
「グルくる(R)」は、注文管理装置及び注文管理手法に関して2016年1月に特許を取得し、技術の先進性も認められた。加えて、クラウド対応のサービスであるほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて全国に無料Wi-Fiが整備される予定であることなどから、あらゆる店舗での注文の際に標準的に使われる「社会インフラ」への育成を目指す。現在は、その助走段階とみることができるが、同社側では「グルくる(R)」の社会インフラ化が実現すれば、ビッグビジネスになると期待している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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提供:フィスコ