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【特集】窪田朋一郎氏【“再々再度”の大台復帰、ニッポンの夏相場どこへ】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

―円安進行で日経平均2万円復帰も重い上値、往来相場いつまで?―

 注目された米6月の雇用統計では雇用者数増加の勢いが市場コンセンサスを上回る結果となり、前週末の米国株市場は上昇、為替市場も1ドル=114円台にドル高・円安が進行したことで、10日の東京株式市場でもリスクオンの追い風が強まった。日経平均株価は寄り付きに2万円台を回復してスタートし、その後も目先筋の売りをこなし切って高値圏で推移した。これまでは上値も重く、2万円ラインを挟んで出没を繰り返していたが、今回はどうか。第一線で活躍する市場関係者2人に相場の見通しを聞いた。

●「夏枯れ相場でボックス圏往来、“ジャクソンホール”が鍵」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 週明け10日は、売り物を吸収して日経平均は強い動きをみせたものの、これに追随する動きは限定され、短期的には動きづらい相場が続きそうだ。金融政策については、米国だけでなく欧州も量的緩和の縮小(超緩和的政策の修正)を模索している状況にあり、日本だけは(質的量的緩和に)変化がないことから、為替は円安方向に振れやすくなっている。

 ここだけみれば東京市場にはポジティブだが、肝心の買い主体である海外投資家は8月にかけてサマーバケーションに入ってしまうことで、全体商いは盛り上がりを欠くことが予想される。また、為替が円安に振れたとしても、欧米株市場は流動性相場の終わりが近いことに対する警戒感から軟調な展開を余儀なくされる可能性があり、東京市場でも上値追い態勢に向けてはエネルギー不足が意識されることになろう。

 当面、日経平均は下値1万9700~上値2万500円のゾーンでもみ合う展開が続くとみている。ポイントとなるのは8月24~26日にワイオミング州ジャクソンホールで開催されるシンポジウムでのイエレンFRB議長の講演だ。ここで債券再投資の停止、いわゆるFRBのバランスシート改善に向けたスケジュールがある程度把握されることになれば、株式市場の方向性にも大きな影響を与えそうだ。

 物色対象は為替の円安基調を背景に、出遅れていた自動車株鉄鋼株に買いが集まりやすい。また、決算発表の本格化を前に、足もと主力株は手掛けにくい環境が続くことを考えれば、ゲーム関連仮想通貨関連といった個別の材料株が引き続き物色の中心軸を担うことが考えられる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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