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2017年07月07日18時00分

【特集】「仮想通貨“急騰”が意味する未来図とは」 ビットバンク・廣末紀之CEOに聞く!<直撃Q&A>

廣末紀之氏(ビットバンク 代表取締役CEO)
  仮想通貨市場に投資家の熱い視線が集中している。ビットコインはドルベースで年初から3倍強に上昇、イーサリアムも同50倍強に急騰している。なぜ、仮想通貨は今春以降、爆発的な上昇をみせたのか。「仮想通貨は新たな発展のステージに突入した」と語る大手ビットコイン取引所、ビットバンクの廣末紀之代表取締役CEOに仮想通貨市場の現状と未来図を聞いた。

Q1 ビットコインなど仮想通貨の価格急騰をどう分析していますか

廣末 仮想通貨市場は上昇基調を続けていますが、潮目が明らかに変わったのは5月頃からだと思います。急ピッチな上昇を受け、株式やFXの投資家が仮想通貨市場に参入してきました。これまで仮想通貨の売買に参加していたのは、主に仮想通貨の技術に興味を持ち感激して入ってきたような人達です。この人々を「イノベーター(革新者)」と呼ぶのなら、今回新たに参入したのは「アーリーアダプター(初期適合者)」だと思います。イノベーターの市場のままでは、いつまで経っても、マスには届きません。その意味で、仮想通貨市場は今春、大きな一歩を踏み出したとみています。

Q2 4月に日本では改正資金決済法が施行され、仮想通貨が法的なお墨付きを得ました。ビットコインの急騰に果たした日本人投資家の役割はどうみますか

廣末 日本人投資家が、仮想通貨マーケットを引き上げた一面はあると思います。ただ、それ以上に重要なことは、仮想通貨間競争が活発化し各通貨の急騰が、ビットコインの上昇につながったことでしょう。オルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)である「ライトコイン」が取引量の増大に伴うスケーラビリティ問題の解決に向けたセグウィット(注1)を実施しました。ビットコインに先駆けたこの動きにより、仮想通貨間の競争が激しくなり、お互いが切磋琢磨するなか、リップルやイーサリアムといった通貨がどんどん値上がりしました。ビットコインは仮想通貨の基軸通貨ですから、オルトコインを売買するにはビットコインを通じる必要があります。このため、他通貨の上昇がビットコインの急騰につながったという側面はあると思います。

 日本の改正資金決済法が施行されましたが、その規制は世界的にみても比較的寛容な内容となりました。仮想通貨の法整備に向けて金融庁に呼ばれて意見を述べたのですが、新しい技術はいったん受け入れるべきだと思います。かつて英国は自動車の登場に対して馬車業者の反対で規制を作ったために、自動車産業で遅れを取りました。この時の英国の二の舞いになってはいけないのです。今回、新たな法律ができたことで日本は仮想通貨大国になれるチャンスを獲得したとみています

(注1)ブロックチェーンに書き込まれる取引データーのサイズを小さくするため、取引記録部分と電子署名部分に分ける解決策のこと。

Q3 仮想通貨を使った資金調達である「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」が話題を呼んでいます

廣末 これまで直接金融というと法人が行うものでしたが、ICOで個人でも仮想通貨を発行することで直接資金を調達できるようになりました。これは、まさに革命的なことだと思います。インターネットが登場しWebを使うことで、個人がメディアを持つことができるようになりました。それと同じで、仮想通貨を使えば銀行や証券会社といった金融機関を通さずに資金調達ができます。仮想通貨は「お金のインターネット」だと思います。最近のICOはイーサリアムを使って資金調達がされており、イーサリアム急騰の一因となっていると思います。

Q4 価格が急騰した仮想通貨市場に対しては「バブル」とみる声も少なくありません。この点をどうみていますか

廣末 現在の仮想通貨市場全体の時価総額は10兆円程度で、うち代表的なビットコインは5兆円程度です。これはみずほフィナンシャルグループの時価総額と同程度の規模です。仮想通貨は「お金のインターネット」だと話しましたが、もしインターネットに価値をつけたとすれば5兆円ですむことはないでしょう。新しい技術は、とかく誤解されます。インターネットも登場した当初は「オタク」とか「キモイ」と言われ敬遠されていました。仮想通貨に関してもさまざまな声が聞こえてきますが、要するに情報の非対称性が存在しているということです。これは、投資家目線で言えば、すごいチャンスだと思います。

 いま金融インフラに乗って生活できているのは世界の人口の半分にも満たないでしょう。しかし、「インターネット」「スマートフォン」「仮想通貨」の3つがついに揃いました。これにより、アマゾンの奥地に住んでいても日本の消費者に対して商売ができるようになります。これからの世界経済は、まさに全員参加型となるでしょう。いまは仮想通貨にとっては、ライト兄弟が空を飛んだような状況だと思います。今夏はビットコイン市場が状況次第で混乱する可能性もあり、注意は必要ですが長期的な成長トレンドに変化はありません。先ほどの、例えで言えば仮想通貨はすでに空を飛んだ状況にあるわけですから、あとはいつ、どんな形になるかは分かりませんが、月に向かって飛び続けることは間違いないと思います。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ひろすえ・のりゆき)
 ビットバンク代表取締役CEO。野村証券でキャリアをスタートさせ、その後、スタートアップ経営に長年携わる。GMOインターネット・常務取締役、ガーラ代表取締役、コミューカ代表取締役などを歴任。その後、2014年5月にビットバンクを創業。

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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