【特集】襲来1兆円“クジラ買い”、ESG投資本格化で期待の「7銘柄」 <株探トップ特集>
東京センチュ <日足> 「株探」多機能チャートより
―巨艦GPIF、ESGに針路で「イクメン」「なでしこ」銘柄など資金流入観測―
株式市場で「環境」や「企業統治」を投資の基準とする動きが本格化しそうだ。世界最大の機関投資家で株式市場では「クジラ」と呼ばれる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、「ESG投資」に本格的に乗り出すことを明らかにした。これに伴い株式の投資基準として、女性の活躍やワーク・ライフ・バランスなど多様な側面が一段と注目されそうだ。市場には「イクメン」や「なでしこ 」銘柄を本格評価する動きも浮上している。
●「FTSEブロッサムジャパン」など3つの指数を選定
「ESG」とは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取ったもの。海外では、欧州などの機関投資家を中心に急速に普及し、ESGは投資の基準として一般化している。こうしたなか、GPIFは3日、3つのESG指数を選定し、同指数に連動する運用を開始したことを明らかにした。その3つの指数とは、女性の雇用や管理職比率などを評価し投資するテーマ型指数の「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」、環境や企業統治などに優れた企業に投資する総合型指数の「FTSEブロッサムジャパン」と「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ」だ。テーマ型の「環境」指数は継続審査中としており、今後、具体的な発表があるかもしれない。
●欧米流投資基準が日本でも一大潮流に
GPIFは約140兆円の運用資産を持つ世界最大の機関投資家だ。日本株には約30兆円を投資しており、株式市場ではその資金の大きさから「クジラ」と呼ばれている。この日本株投資のうち当初は3%程度の約1兆円をESG指数に振り向け運用を開始した。GPIFの動きに他の機関投資家が追随することが予想され、今後、ESG投資は日本市場でも本格化しそうだ。
今後は、東証が経済産業省と共同で選定してきた「なでしこ銘柄」や従業員の健康管理に戦略的に取り組んでいる「健康経営銘柄」などが一段と注目されることが予想される。また、厚生労働省が男性の仕事と育児の両立を応援する「イクメン企業アワード」の授賞企業、あるいは働き方改革に取り組む動きもESG投資での参考となりそうだ。以下、チャート妙味がありESGの観点から「クジラ」買いが期待できる7銘柄を挙げてみた。
◎カルビー <2229>
ダイバーシティ推進を掲げ、女性、外国人や障害者などの活躍を支援。20年までに女性管理職比率30%を目指す。
◎中外製薬 <4519>
経営層が女性の活躍を積極推進。女性マネジャー数は5年で約2倍に。日本障がい者スポーツ協会に協賛。
◎テクノプロ・ホールディングス <6028>
労働派遣法の順守の徹底や環境保全など推進。コンプライアンスセミナー開催や各種清掃活動などに積極参加。
◎コンコルディア・フィナンシャルグループ <7186>
傘下に横浜銀と東日本銀。環境に配慮した企業を支援する「環境格付融資制度」や横浜マラソンでのボランティアなども。
◎トッパン・フォームズ <7862>
経営と労働組合が一体となり労働時間の適正化を推進。健康経営銘柄にも選定。
◎丸井グループ <8252>
「イクメン企業アワード2016」でグランプリ。12年度に最大7日の有給を取得できる短期育児休職制度を導入。育児休職取得率が65%に。
◎東京センチュリー <8439>
経営方針にダイバーシティを掲げ、女性の活躍を推進。環境パフォーマンス報告や環境会計を推進。
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