【特集】大谷正之氏【“再々再度”の大台復帰、ニッポンの夏相場どこへ】(2) <相場観特集>
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
―円安進行で日経平均2万円復帰も重い上値、往来相場いつまで?―
注目された米6月の雇用統計では雇用者数増加の勢いが市場コンセンサスを上回る結果となり、前週末の米国株市場は上昇、為替市場も1ドル=114円台にドル高・円安が進行したことで、10日の東京株式市場でもリスクオンの追い風が強まった。日経平均株価は寄り付きに2万円台を回復してスタートし、その後も目先筋の売りをこなし切って高値圏で推移した。これまでは上値も重く、2万円ラインを挟んで出没を繰り返していたが、今回はどうか。第一線で活躍する市場関係者2人に相場の見通しを聞いた。
●「期日向かいの好業績銘柄に注目」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
きょうは、外国為替市場で1ドル=114円台前半と、円相場が約2ヵ月ぶりの安値水準となったことから、自動車、電機、精密機器など輸出関連の主力銘柄を中心に全般に買い優勢となり、日経平均株価は2万円の大台を回復した。これから先、さらに円安・ドル高が進行すれば、企業業績に対する不透明感がより和らぐことになる。
ただ、ここから一本調子で買い上がるには手掛かり材料不足といえる。前週末の米6月の雇用統計は市場予想を上回ったものの、米国景気の先行きは依然として強弱感が対立することになりそうだ。また、国内企業の業績についても、4-6月期は比較的堅調な推移となったものの、7月以降、あるいは下期以降については不透明な要素も多い。また、主要メディアの世論調査による安倍内閣の支持率が急激に低下していることも不安材料で、8月上旬とされる内閣改造の内容に対する市場の反応も見極めたいところだ。
当面注目しているのは、東京株式市場が「海の日」の祝日で休場となる17日に発表が予定されている、中国4-6月期のGDPや中国6月の鉱工業生産・小売売上高・都市部固定資産投資といった主要経済指標だ。中国経済の安定感が確認されれば、東京株式市場にとっても安心材料となりそうだ。
今後の物色動向で注目したいのが、信用取引に関連した“期日向かい”の好業績な銘柄群だ。例えば2月に高値をつけた銘柄のなかからは、日本ゼオン <4205> 、関東電化工業 <4047> 、三菱電機 <6503> といった銘柄の上昇に期待できそうだ。さらに、3月に高値をつけた銘柄としては、オムロン <6645> 、ニッパツ <5991> がある。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース