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1419 タマホーム

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タマホーム Research Memo(6):2017年5月期業績は注文住宅の好調を背景に、4期ぶりの増益へ


 

■今後の見通し

1. 2017年5月期の業績見通し
タマホーム<1419>の2017年5月期の連結業績は、売上高が前期比14.8%増の158,800百万円、営業利益が同77.4%増の3,200百万円、経常利益が同136.1%増の2,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が500百万円(前期は446百万円の当期純損失)と期初計画を据え置いている。売上高は3期ぶりの増収、利益は4期ぶりの増益に転じる見通しだ。

第2四半期までの通期計画に対する進捗状況を見ると、住宅事業の売上高は41.1%となっている。これは季節要因で同社の繁忙期が第4四半期となっているためだ。受注棟数で見ると通期計画に対して第2四半期までで56%の水準に達するなど順調に推移している。単月ベースの受注額の前年同月比伸び率で見ると、2016年10月以降はやや鈍化しているものの、2017年1月も店舗への来場者数が前年同月比2ケタ増と好調に推移しているもようで、今下期の受注も堅調な推移が見込まれている。不動産事業や金融事業、その他事業などはおおむね計画どおりに進捗していることから、繁忙期となる第4四半期に施工能力が確保できれば、豊富な受注残を背景にして業績は会社計画を上回る可能性もあると弊社では見ている。事業セグメント別の見通しは以下のとおり。

(1) 住宅事業
住宅事業の売上高は前期比12.4%増の131,300百万円、営業利益は増収効果によって同117.4%増の1,600百万円となる見通し。注文住宅の受注棟数は前期比4.3%増の7,956棟と2期連続の増加、販売棟数は同13.6%増の7,311棟と3期ぶりの増加を見込んでいる。

既存ラインでは新商品の販売を強化していく。具体的には、地域特性に応じた戦略商品「地域限定商品」の販売を2016年7月より九州エリアを始めとし、中国・東北・関西エリアへと順次販売を開始している。同商品は各地域で競合する地場の有力工務店の対抗商品として打ち出したもので、品質を同水準としながらも価格をやや抑えた商品となっている。また、同年9月に投入した「木望(きぼう)の家 グッド」は狭小地を生かした3階建て住居となる「希望の家」の派生シリーズで、従来品よりも仕様と価格を抑えて手軽に購入できるようにした。また、同年10月には環境を重視した商品となる「木麗(きれい)な家 ZEH※」の販売を開始している。いずれの商品も順調に受注を伸ばしており、下期以降の売上増に寄与する見通しだ。

※ZEH…Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。住まいの断熱性・省エネ性能を上げること、そして太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナス「ゼロ」にする住宅を指す。

また、ベーシックライン (低価格帯商品)については、当初の期間限定商品としての位置付けから、レギュラー商品化していく予定となっており、中間期の受注棟数で455棟、引渡棟数で100棟の実績となっている。ハイライン (高価格帯住宅) 商品については、2017年2月に体験型宿泊施設を鎌倉市長谷にオープンし、板倉工法による木造住宅の良さを体験してもらうなど認知度を高める取り組みを進めていくほか、2017年初夏に直営1号店を東京・立川市にオープンする予定となっている。このため、受注に寄与するのは2018年5月期以降となりそうだ。

一方、リフォーム事業については通期売上高で前期比2倍増の26億円程度を見込んでいたが、第2四半期累計で2,423百万円と計画を上回るペースとなり、下期についてもほぼ同水準の売上げが見込まれており、今後は、営業人員の増員とともに売上高も増加していくものと予想される。

(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比38.8%増の19,100百万円、 営業利益は同71.7%増の1,200百万円を見込んでいる。戸建分譲の販売棟数は前期比17.9%増の409棟と2ケタ伸長が続く見通しで、売上高も増収となる見通し。一方、マンション販売については、現在3つのプロジェクトの販売が進んでいるものの、前期比では減収が見込まれている。第2四半期累計では低調だったものの、分譲予定用地の売却益の計上等により、通期計画の達成を目指していく。

なお、2016年1月より開始した不動産仲介事業については、第1号店となる「タマショップ新宿」を軌道に乗せてから、店舗を増やしていく計画となっている。「タマショップ新宿」については、立地場所が西新宿のオフィスビル2階と集客するにはやや不便な場所にあることもあり、当初の想定よりも苦戦しているのが現状だ。このため、同社では新たに専用HPを開設するなど、認知度向上のための取り組みを進めており、今期は事業基盤の体制を整える1年と位置付けている。

(3) 金融事業
金融事業の売上高は前期比30.0%減の800百万円、 営業利益は同62.4%減の200百万円と減収減益を見込んでいる。 火災保険のうち、長期保険契約商品の販売停止の影響が減収減益要因となるが、下期はこうした影響が一巡するほか、住宅販売の増加に伴い、契約件数の増加も見込まれることから、下期の業績は上期以上の水準が期待され、通期では会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

(4) エネルギー・その他事業
エネルギー・その他事業の合計売上高は前期比14.1%増の7,600百万円、営業利益は増収効果や販管費の圧縮効果により200百万円(前期は199百万円の損失)と黒字転換する見通しだ。住宅事業の回復により住宅周辺事業(家具販売、つなぎ融資サービス、地盤改良サービス等)の収益回復が見込まれるほか、国内でのホテル事業、中国での飲食事業の売上高が年間で寄与し、増収要因となる。 また、エネルギー事業については発電能力が変わらないため、前期並みの収益水準を想定している。

なお、海外事業について見ると、全体では赤字幅が縮小傾向にある。ハワイの不動産開発事業に関しては現地企業との共同出資事業である老人ホームが2017年1月にオープン(全200戸超)しており、今後、分配金が計上される見込みとなっている。また、開発予定となっている高層コンドミニアムについては、現在、地権者との土地の売却交渉中となっている。インドの合弁事業 (戸建請負建設事業)については、2016年に現地で洪水被害があったこともあり、現在は事業化調査も止まった状態となっており、事業化までには少なくとも1~2年程度かかることが予想される。中国・上海での飲食事業については2015年12月のオープン以降、客数は増加しており着実に損益は改善が進んでいる。カンボジアのコンドミニアムについては稼働率を上げるための取り組みを実施している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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