大塚竜太氏【日経平均が続急騰、戻り相場は本格化するか】 <相場観特集>
―米CPIや小売売上高の発表控え思惑錯綜のお盆ウィーク―
3連休明けとなった13日の東京株式市場は日経平均株価が1200円あまりの急騰をみせ3万6000円台に乗せた。8月に入って歴史的な暴落局面に見舞われた東京市場だが、足もとリバウンド局面に移行しており、ここは追撃買いかそれとも手仕舞い売りかで強弱観が対立している。今週は米国で重要指標の発表も予定され不安定な地合いが予想されるが、ここはどのようなスタンスで対処すべきか。今後の相場展望について東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏に話を聞いた。
●「円高一服なら海外マネーの還流加速も」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
東京市場は8月5日に日経平均が4451円安というブラックマンデーを上回る歴代1位の下げ幅を記録した後だけに、当面は警戒感もくすぶるが中期的にはトレンドは上向きとみている。きょうは1000円超の上昇で一気に3万6000円台まで駆け上がった。ただこれは勢いで買われた感も否めず、3万6000円近辺では潜在的な売りニーズが強いだけに、この水準を完全にブレークするのは簡単ではない。逆に、3万6000円台前半の水準から明確に上放れることができれば、戻り売り圧力が希薄化したゾーンに入り、3万8000円台まで大方が思っている以上に早く到達する可能性がある。
外部環境は不透明感が強く、しばらくは神経質な地合いを余儀なくされそうだ。ただし、中東の地政学リスクなどで大きく下値を探るような場面があれば、そこは買い下がるチャンスと心得たい。外国為替市場は株式市場にもましてボラティリティが高いが、ドル・円相場が1ドル=147円台前後を軸に比較的上下に落ち着いた値動きとなれば、これまで東京市場から退避していた海外マネーも漸次還流してくるだろう。海外投資家は為替の円高を嫌気しているというよりは、短期的な円相場の変動幅の大きさを嫌気している部分もあり、円高イコール株安という概念に凝り固まると間違えそうだ。
今週は14日に開示される7月の米消費者物価指数(CPI)や15日に発表予定の7月の米小売売上高の結果が注目されているが、マーケットは過剰に懸念しているきらいもある。想定通りCPIが減速傾向を示す一方で、小売売上高の落ち込みが警戒するほどではない結果となれば、米国経済のソフトランディングに対する期待感が高まり、日米株式市場も再び強気優勢の地合いとなることが予想される。他方、イランとイスラエル間で緊張感が高まっており、前述したように有事リスクが顕在化すれば株式市場も短期的にその影響は避けられないため、買い下がる待機資金も確保しておきたい。向こう1ヵ月の日経平均のレンジは3万4500~3万8500円とみている。
物色対象としては、半導体主力株はそろそろリバウンド局面への移行が近いと考えており、東京エレクトロン <8035> [東証P]などの戻り足につくのも一法。また、インバウンド効果や富裕層の消費意欲は健在であり、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]など百貨店の押し目買い。更に今後、時間軸的にはゆっくりではあっても国内金利が上昇傾向をたどる可能性は高く、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]などメガバンクも継続マークしたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース