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【特集】もう損は抱えない! ならば「目標株価を定めよ」「安易に噂に乗るな」
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技
Moonさんの場合-最終回
■Moonさん(ハンドルネーム・50代・男性)のプロフィール:
自営業(マーケティングコンサルティング)をしながら、2022年から株式投資を再開させた兼業投資家。一度は600万円の借金をかかえて相場から退場するも、完済してから再び100万円を元手に参戦し、復活を遂げる。最大3銘柄の集中投資で短期間のうちにリターンを最大化させるやり方が奏功し、約2年半で運用資産を50倍の約5000万円に拡大させる。毎日損切りに追われることもしばしばだが、メゲずに実行し、攻め続けるのが強み。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
「本コラム」の記事一覧を見る
第1回記事「三井E&Sで大勝ち、1円の損も許さない損切りで資産50倍の技」を読む
約2年半で運用資産を50倍に膨らませたMoonさん(ハンドルネーム)には、忘れられないトレードがある。
2022年に、データ分析やマーケティングコンサルティングを行うWACUL<4173>をショートし、1カ月足らずで約80万円のリターンを得た経験だ。
この年は、2月からロシアによるウクライナ侵攻が本格的に始まり、世界的に緊迫感が増していた。Moonさんは、株式市場にも悪影響が及ぶと見て、ある「気づき」をもとに行動に出た。
それが始まりとなり、その後の資産50倍化につながる複数の気づきを得ることになる。最終回は、これらについて見ていく。
■WACULの日足チャート(21年12月28日~22年3月24日)
先人の教えにならい、基本に立つ
Moonさんは、WACUL<4173>のトレードでは、とにかく基本に立ち戻り、先人の教えに従うやり方をした。
それは、相場の格言にある
「噂で買って事実で売れ」
「戦争は号砲とともに買え」
――というものだ。
WACULに注目したのは、22年1月だ。米国の利上げ懸念に加えて、ウクライナ情勢の悪影響もあり、年初から軟調スタートを切った株式相場は、特に新興株の地合いを悪化させていた。
当時の東証マザーズ指数(現・グロース市場250指数)の動きを振り返ると、21年末の水準から、1カ月で約23%も下落するまで売り込まれていた。
こうした状況の中、Moonさんが考えたのは、下げ相場の中で、連れ安してさらに株価が下落する銘柄に、ショートで順張りしていく作戦だ。
米国の金融引き締めに加え、「ウクライナで本当に開戦になったらどうなるのか」と、人々の不安感は増す一方だ。投資家心理(センチメント)が一層冷え込むのを感じたMoonさんは、先の2つの格言を生かす戦略で向かうこととする。
まず「噂で買う」にならって「噂で売り」を仕掛ける。特にウクライナ問題では、実際に戦争が始まったら「号砲は買い」に従い、買い戻して手仕舞いをする。そんなやり方だ。
弱い株をさらに売る
では、どの株を売るのか?
Moonさんは、需給が悪い銘柄を探すべく、株価チャートが右肩下がりの株を洗い出した。そこで目に付いたのが、WACULだった。同社は21年2月に当時のマザーズ市場に上昇して以来、ずっと下落トレンドをたどっていた。
加えて、判断材料としたのが、Moonさん自身が感じた同社のサービスへの印象だ。縁あってWACULが提供するデジタルマーケティングのサービスに直接触れる機会を得たMoonさんは、「せっかくいいサービスなのに、ターゲットの顧客ニーズにマッチしていない」と感じたという。
サービスが売り上げに寄与していくには、さらなる工夫と時間が必要だ。目新しいカタリスト(株価変動のきっかけ)がない限り、「全体相場の不調に引きずられる」と考えた。
需給と、ファンダメンタルズの面から「売り」と判断し、Moonさんは2月に入り、早速、ショートを仕掛けていく。幸先よく早い段階で乗った含み益をそのまま伸ばし、売りポジションを継続させた。
その後、2月24日、ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻の報道を受け、当初の計画通り、事実で手仕舞いをする。結果的に80万円のリターンを獲得できた。
■『株探プレミアム』で確認できるWACUL<4173>の3カ月決算の成長性の推移
「ともかく勝ち癖をつけたい」という一心で物色
このWACULのトレードが思い出深いのは、一時は株式相場から退場したMoonさんにとって、復帰初戦という重要な意味を持っていたからだ。
とにかく勝ちたい。小さな勝利でもいいから、確かな一歩を踏み出し勝ち癖をつけたい。そんな思いで、基本に忠実に、自分が得意なやり方で挑むこととした。それがショートの戦略だった。
低調地合いの中、需給が悪い銘柄に着目し、悪材料を生かして売りを仕掛けるやり方は、その昔、Moonさんがよく使った勝ちパターンの1つだ。「これならやれる」。そんな感触を得て、復帰初戦であることも忘れ、思い切って攻めていった。
リターンの大きさはともかく、この復活戦を制したことは本人の大きな自信となった。初心者時代に行っていた株価の動きに任せた雰囲気買いではなく、自分なりの見立てと期待値を持って勝負すれば、成果を手にする可能性が広がる。
それを体得できたことが、その後の資産50倍化につながっていった。
■WACULの取引のポイント
ステップアップとなった「ダブスコ」と「gumi」
WACULで勝ちを修めた後、Moonさんは、時には負けも味わいながら、一歩一歩、投資の腕を上達させていく。
転機になったトレードに、22年5月に手掛けたリチウムイオン電池セパレーターのダブル・スコープ<6619>での勝ち、同年9月、ソーシャルゲームやスマホアプリ開発のgumi<3903>での負けがある。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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Moonさんの場合-最終回
編編集・構成/真弓重孝(株探編集部)、文・イラスト/福島由恵(ライター)
イラスト:福島由恵
自営業(マーケティングコンサルティング)をしながら、2022年から株式投資を再開させた兼業投資家。一度は600万円の借金をかかえて相場から退場するも、完済してから再び100万円を元手に参戦し、復活を遂げる。最大3銘柄の集中投資で短期間のうちにリターンを最大化させるやり方が奏功し、約2年半で運用資産を50倍の約5000万円に拡大させる。毎日損切りに追われることもしばしばだが、メゲずに実行し、攻め続けるのが強み。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
「本コラム」の記事一覧を見る
第1回記事「三井E&Sで大勝ち、1円の損も許さない損切りで資産50倍の技」を読む
約2年半で運用資産を50倍に膨らませたMoonさん(ハンドルネーム)には、忘れられないトレードがある。
2022年に、データ分析やマーケティングコンサルティングを行うWACUL<4173>をショートし、1カ月足らずで約80万円のリターンを得た経験だ。
この年は、2月からロシアによるウクライナ侵攻が本格的に始まり、世界的に緊迫感が増していた。Moonさんは、株式市場にも悪影響が及ぶと見て、ある「気づき」をもとに行動に出た。
それが始まりとなり、その後の資産50倍化につながる複数の気づきを得ることになる。最終回は、これらについて見ていく。
■WACULの日足チャート(21年12月28日~22年3月24日)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
先人の教えにならい、基本に立つ
Moonさんは、WACUL<4173>のトレードでは、とにかく基本に立ち戻り、先人の教えに従うやり方をした。
それは、相場の格言にある
「噂で買って事実で売れ」
「戦争は号砲とともに買え」
――というものだ。
WACULに注目したのは、22年1月だ。米国の利上げ懸念に加えて、ウクライナ情勢の悪影響もあり、年初から軟調スタートを切った株式相場は、特に新興株の地合いを悪化させていた。
当時の東証マザーズ指数(現・グロース市場250指数)の動きを振り返ると、21年末の水準から、1カ月で約23%も下落するまで売り込まれていた。
こうした状況の中、Moonさんが考えたのは、下げ相場の中で、連れ安してさらに株価が下落する銘柄に、ショートで順張りしていく作戦だ。
米国の金融引き締めに加え、「ウクライナで本当に開戦になったらどうなるのか」と、人々の不安感は増す一方だ。投資家心理(センチメント)が一層冷え込むのを感じたMoonさんは、先の2つの格言を生かす戦略で向かうこととする。
まず「噂で買う」にならって「噂で売り」を仕掛ける。特にウクライナ問題では、実際に戦争が始まったら「号砲は買い」に従い、買い戻して手仕舞いをする。そんなやり方だ。
弱い株をさらに売る
では、どの株を売るのか?
Moonさんは、需給が悪い銘柄を探すべく、株価チャートが右肩下がりの株を洗い出した。そこで目に付いたのが、WACULだった。同社は21年2月に当時のマザーズ市場に上昇して以来、ずっと下落トレンドをたどっていた。
加えて、判断材料としたのが、Moonさん自身が感じた同社のサービスへの印象だ。縁あってWACULが提供するデジタルマーケティングのサービスに直接触れる機会を得たMoonさんは、「せっかくいいサービスなのに、ターゲットの顧客ニーズにマッチしていない」と感じたという。
サービスが売り上げに寄与していくには、さらなる工夫と時間が必要だ。目新しいカタリスト(株価変動のきっかけ)がない限り、「全体相場の不調に引きずられる」と考えた。
需給と、ファンダメンタルズの面から「売り」と判断し、Moonさんは2月に入り、早速、ショートを仕掛けていく。幸先よく早い段階で乗った含み益をそのまま伸ばし、売りポジションを継続させた。
その後、2月24日、ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻の報道を受け、当初の計画通り、事実で手仕舞いをする。結果的に80万円のリターンを獲得できた。
■『株探プレミアム』で確認できるWACUL<4173>の3カ月決算の成長性の推移
「ともかく勝ち癖をつけたい」という一心で物色
このWACULのトレードが思い出深いのは、一時は株式相場から退場したMoonさんにとって、復帰初戦という重要な意味を持っていたからだ。
とにかく勝ちたい。小さな勝利でもいいから、確かな一歩を踏み出し勝ち癖をつけたい。そんな思いで、基本に忠実に、自分が得意なやり方で挑むこととした。それがショートの戦略だった。
低調地合いの中、需給が悪い銘柄に着目し、悪材料を生かして売りを仕掛けるやり方は、その昔、Moonさんがよく使った勝ちパターンの1つだ。「これならやれる」。そんな感触を得て、復帰初戦であることも忘れ、思い切って攻めていった。
リターンの大きさはともかく、この復活戦を制したことは本人の大きな自信となった。初心者時代に行っていた株価の動きに任せた雰囲気買いではなく、自分なりの見立てと期待値を持って勝負すれば、成果を手にする可能性が広がる。
それを体得できたことが、その後の資産50倍化につながっていった。
■WACULの取引のポイント
戦い方 | ショートで攻め、戦争が始まったら決済 |
意気込み | 大事な復帰戦、必ず勝つ |
マクロの材料 | ウクライナ情勢悪化、戦争開始の懸念 |
ミクロの材料 | 株価下落基調 |
サービスがターゲット顧客のニーズに合わない |
ステップアップとなった「ダブスコ」と「gumi」
WACULで勝ちを修めた後、Moonさんは、時には負けも味わいながら、一歩一歩、投資の腕を上達させていく。
転機になったトレードに、22年5月に手掛けたリチウムイオン電池セパレーターのダブル・スコープ<6619>での勝ち、同年9月、ソーシャルゲームやスマホアプリ開発のgumi<3903>での負けがある。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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