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【特集】不適切会計も地政学リスクもなんのその、高配当株で資産増やす3人の技
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技
へんくつさん、葵堂さん、ジンバルさんの場合
■へんくつさん(ハンドルネーム・50代・男性)のプロフィール:
兼業投資家。配当と株主優待の両方を獲得できる銘柄を中心に230銘柄を保有している。地道な節約によって投資資金を捻出し、累積元本は3000万円以上になり、足元の運用額は5000万円に膨らんでいる。株式投資を始めたのは2011年。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「配当・株主優待重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
■葵堂さん(あおいどう、ハンドルネーム・40代・男性)のプロフィール:
専業投資家。配当利回りが高い銘柄でポートフォリオを構成し、現在1億円を運用する。当面の目標は、年間の配当収入を、直近の320万円から500万円に増やすこと。奥さんの本業の収入と合わせて、マイペースに暮らしている。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「配当・株主優待重視」、日本株投資の腕前は「中級者」となる。
■ジンバルさん(ハンドルネーム・60代・男性)のプロフィール:
兼業投資家。老後に配当収入で暮らすため、2010年に株式投資を始めた。足元の運用額は、累積元本の3倍となる2億円。元々は、スイングトレード主体で取り組んできたが、大型株の長期投資をコア投資に据える戦略に転換したことが奏功した。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「配当重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
・「本コラム」の記事一覧を見る
7月末から世界の株式市場の様相が変わってきたが、それまでは高配当株と半導体関連に注目が集まってきた日本株市場だった。では、2つのどちらが強さを見せていたのか。代表的なETF(上場投資信託)で比較した。
高配当代表は、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信<1489>。半導体代表はグローバルX 半導体関連-日本株式 ETF<2644>。
下のチャートにあるように、21年末を起点にすると、NF高配50<1489>が+54%(赤の線)、GX半導体<2644>(紺の線)は+17%と、高配当組が約3倍の差を付けて勝利している(8月5日時点、以下同)。
もっとも22年末からの比較では、半導体組が20ポイントほどの差を付けた勝ちとなっている。だが、23年末からで比較すると、日経平均が▲6.0%となる中で、NF高配50<1489>は▲1.7%にとどまった一方で、GX半導体<2644>は▲18.6%と、高配当組の優勢が際立つ。
■NF高配50、GX半導体、日経平均、グロース250の株価パフォーマンス
注:2021年末=0%。週足ベース。8月5日終値時点
ここ数年の比較では、半導体株よりも高いパフォーマンスを上げる高配当株、そして株主優待銘柄に10年以上前から地道に投資してきたのが、へんくつさん、葵堂(あおいどう)さん、ジンバルさんの3人だ(いずれもハンドルネーム)。
へんくつさんは配当利回り2%以上の銘柄から、株主優待の内容で銘柄を吟味する。後の2人は、配当のみにフォーカスし、葵堂さんは配当利回りを、ジンバルさんは配当の継続性を基準に運用する。
3人のそれぞれの勝ち技と、技は異なっても共通する法則について見ていこう。
■3人の実績、銘柄選びで重視するポイント
へんくつさん~バリューHRは不適切会計発覚で仕込む
トップバッターのへんくつさんは、配当利回り2%以上の銘柄から、株主優待の内容を見ながら選別する。株主優待の内容が良ければ、配当の有無にこだわらない場合もある。
株主優待を重視するのは、優待券を使って生活費を節約することが、投資の励みになるからだ。足元で230銘柄を保有し、年間で受け取っている株主優待券を金額換算すると、年45万円程度になる。
好きな株主優待券は、買い物券や食事券、カタログギフトなど、お金を支払わなくても使えるもの。反対に、割引券のようにお金を支払わないと利用できない優待券は、節約の足かせとなると考えて避けている。
お気に入りの銘柄の1つが、健保・企業向けに健康管理サービスを展開するバリューHR<6078>だ。
足元の配当利回りは2%弱、そして株主優待の内容は、ネット通販で日用品などを購入できる買い物券だ。1000株を3年以上保有しているへんくつさんは、毎年2万ポイント(2万円相当)が付与されている。
同社株を取得したのは、2015年1月と20年3月(下のチャート)。どちらも、一時的に株価が急落したタイミングで買いを入れた。足元の株価は、15年1月末から10倍超の水準となり、含み益も膨らんでいる。
■バリューHRの月足チャート(2013年10月~)
悪いニュースやRSIのチェックで買い出動
15年1月は、同社の連結子会社で不適切な会計処理が判明し、株価が下落したところを、試しに1単元を購入した。
同社は翌月、特別調査委員会の報告とともに再発防止策を打ち出し、また好調な決算見通しを示したことで株価は反発、落ち着きを取り戻した。20年3月はコロナショック後の急落を狙った格好だ。
下値余地の小さいタイミングを狙う理由は、元本割れ対策の一環だ。
不祥事やショック後の急落以外にも、相場の過熱感を示すテクニカル指標のRSI(相対力指数)を活用し、「売られすぎ」のサインが出た場合に買いを入れることもある。同指標は「短期的な動きを把握するのに適している」(へんくつさん)と感じている。
その他にチェックするのが、財務状況だ。具体的な基準はもうけていないが、自己資本比率などが極端に低いと感じた場合は、購入を控える。バリューHR<6078>の自己資本比率は37%台で「比較的良好」と判断している。
一度買ったら、原則持ちっぱなしにする。含み損になっても、配当や株主優待が廃止にならない限り、保有する。
インカムゲイン狙いのスタイルは、投資を始めた2011年から続いている。定期預金の利率の低さにがっかりして、「配当と株主優待のダブルで得してやろう」(へんくつさん)と思い立ったのがきっかけだ。
葵堂さん~高利回りにこだわっていたら元本が7倍に
次に紹介するのが、12年間で累積元本を7倍に膨らました葵堂(あおいどう)さんだ。今年(24年)に入り、初めて運用額が1億円を超えた。
原動力となったのは、配当利回りの高い銘柄でポートフォリオを構成することだ。足元で最も資産配分が大きいのが、あの定番の高配当株だ。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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へんくつさん、葵堂さん、ジンバルさんの場合
取材・文/真弓重孝、高山英聖
イラスト:福島由恵
兼業投資家。配当と株主優待の両方を獲得できる銘柄を中心に230銘柄を保有している。地道な節約によって投資資金を捻出し、累積元本は3000万円以上になり、足元の運用額は5000万円に膨らんでいる。株式投資を始めたのは2011年。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「配当・株主優待重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
イラスト:福島由恵
専業投資家。配当利回りが高い銘柄でポートフォリオを構成し、現在1億円を運用する。当面の目標は、年間の配当収入を、直近の320万円から500万円に増やすこと。奥さんの本業の収入と合わせて、マイペースに暮らしている。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「配当・株主優待重視」、日本株投資の腕前は「中級者」となる。
イラスト:福島由恵
兼業投資家。老後に配当収入で暮らすため、2010年に株式投資を始めた。足元の運用額は、累積元本の3倍となる2億円。元々は、スイングトレード主体で取り組んできたが、大型株の長期投資をコア投資に据える戦略に転換したことが奏功した。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「配当重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
・「本コラム」の記事一覧を見る
7月末から世界の株式市場の様相が変わってきたが、それまでは高配当株と半導体関連に注目が集まってきた日本株市場だった。では、2つのどちらが強さを見せていたのか。代表的なETF(上場投資信託)で比較した。
高配当代表は、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信<1489>。半導体代表はグローバルX 半導体関連-日本株式 ETF<2644>。
下のチャートにあるように、21年末を起点にすると、NF高配50<1489>が+54%(赤の線)、GX半導体<2644>(紺の線)は+17%と、高配当組が約3倍の差を付けて勝利している(8月5日時点、以下同)。
もっとも22年末からの比較では、半導体組が20ポイントほどの差を付けた勝ちとなっている。だが、23年末からで比較すると、日経平均が▲6.0%となる中で、NF高配50<1489>は▲1.7%にとどまった一方で、GX半導体<2644>は▲18.6%と、高配当組の優勢が際立つ。
■NF高配50、GX半導体、日経平均、グロース250の株価パフォーマンス
注:2021年末=0%。週足ベース。8月5日終値時点
ここ数年の比較では、半導体株よりも高いパフォーマンスを上げる高配当株、そして株主優待銘柄に10年以上前から地道に投資してきたのが、へんくつさん、葵堂(あおいどう)さん、ジンバルさんの3人だ(いずれもハンドルネーム)。
へんくつさんは配当利回り2%以上の銘柄から、株主優待の内容で銘柄を吟味する。後の2人は、配当のみにフォーカスし、葵堂さんは配当利回りを、ジンバルさんは配当の継続性を基準に運用する。
3人のそれぞれの勝ち技と、技は異なっても共通する法則について見ていこう。
■3人の実績、銘柄選びで重視するポイント
ハンドルネーム | 投資歴 | 日本株運用額 | 累積リターン | 重視するポイント |
へんくつさん | 13年 | 5000万円 | 1.5倍 | 株主優待 |
葵堂さん | 12年 | 1億円 | 7倍 | 配当利回り |
ジンバルさん | 14年 | 2億円 | 3倍 | 配当の継続性 |
注:累積リターンは、日本株資産に対する累積元本の上昇倍率。累積元本は配当を除外した額
へんくつさん~バリューHRは不適切会計発覚で仕込む
トップバッターのへんくつさんは、配当利回り2%以上の銘柄から、株主優待の内容を見ながら選別する。株主優待の内容が良ければ、配当の有無にこだわらない場合もある。
株主優待を重視するのは、優待券を使って生活費を節約することが、投資の励みになるからだ。足元で230銘柄を保有し、年間で受け取っている株主優待券を金額換算すると、年45万円程度になる。
好きな株主優待券は、買い物券や食事券、カタログギフトなど、お金を支払わなくても使えるもの。反対に、割引券のようにお金を支払わないと利用できない優待券は、節約の足かせとなると考えて避けている。
お気に入りの銘柄の1つが、健保・企業向けに健康管理サービスを展開するバリューHR<6078>だ。
足元の配当利回りは2%弱、そして株主優待の内容は、ネット通販で日用品などを購入できる買い物券だ。1000株を3年以上保有しているへんくつさんは、毎年2万ポイント(2万円相当)が付与されている。
同社株を取得したのは、2015年1月と20年3月(下のチャート)。どちらも、一時的に株価が急落したタイミングで買いを入れた。足元の株価は、15年1月末から10倍超の水準となり、含み益も膨らんでいる。
■バリューHRの月足チャート(2013年10月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
悪いニュースやRSIのチェックで買い出動
15年1月は、同社の連結子会社で不適切な会計処理が判明し、株価が下落したところを、試しに1単元を購入した。
同社は翌月、特別調査委員会の報告とともに再発防止策を打ち出し、また好調な決算見通しを示したことで株価は反発、落ち着きを取り戻した。20年3月はコロナショック後の急落を狙った格好だ。
下値余地の小さいタイミングを狙う理由は、元本割れ対策の一環だ。
不祥事やショック後の急落以外にも、相場の過熱感を示すテクニカル指標のRSI(相対力指数)を活用し、「売られすぎ」のサインが出た場合に買いを入れることもある。同指標は「短期的な動きを把握するのに適している」(へんくつさん)と感じている。
その他にチェックするのが、財務状況だ。具体的な基準はもうけていないが、自己資本比率などが極端に低いと感じた場合は、購入を控える。バリューHR<6078>の自己資本比率は37%台で「比較的良好」と判断している。
一度買ったら、原則持ちっぱなしにする。含み損になっても、配当や株主優待が廃止にならない限り、保有する。
インカムゲイン狙いのスタイルは、投資を始めた2011年から続いている。定期預金の利率の低さにがっかりして、「配当と株主優待のダブルで得してやろう」(へんくつさん)と思い立ったのがきっかけだ。
葵堂さん~高利回りにこだわっていたら元本が7倍に
次に紹介するのが、12年間で累積元本を7倍に膨らました葵堂(あおいどう)さんだ。今年(24年)に入り、初めて運用額が1億円を超えた。
原動力となったのは、配当利回りの高い銘柄でポートフォリオを構成することだ。足元で最も資産配分が大きいのが、あの定番の高配当株だ。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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