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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】好決算企業の見直しが意識されてくる

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

好決算企業の見直しが意識されてくる

●キャリートレードの巻き戻しは一巡

 米国経済のリセッション懸念や円高が嫌気されて、8月5日に日経平均株価は4451円安と、1987年のブラックマンデーの翌日につけた3836円安を超す過去最大の下落となった。翌6日には3217円高と過去最大の上げ幅を記録。日経平均株価は一旦は下げ止まったものの、7日の日中の変動幅は2100円を超え、8日が同1100円超、9日も1200円超と荒い値動きが続く中では、積極的にはポジションは取りづらい。また、オーバーナイトのポジションも取りにくく日計りの売買が中心であり、引けにかけては持ち高調整の売りでダレる傾向にある。

 とはいえ、週初の急落により円キャリートレードの巻き戻しは一巡したとみられ、為替市場も1ドル=147円近辺で落ち着いてきた。決算発表がピークを通過したことで、市場の落ち着きとともに好決算企業を見直す動きが改めて意識されてきそうだ。また、CTA(商品投資顧問)は今回の急落によってロングポジションを解消したとみられており、若干ながらショートに傾いている可能性がある。波乱の展開から自律反発の域を脱するには時間を要するとみられるが、次第にショートカバーも意識されてきそうだ。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆西松建設 <1820> [東証P]
トンネルなど土木工事に強みを持つ総合建設会社。8月6日に発表した2025年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比4.6倍の46億7700万円で着地。国内建築工事の受注高は同3.0倍の480億2800万円、国内土木工事の受注高は同2.6倍の356億4900万円と好調だった。8日に発生した九州南部・日向灘を震源とする地震を受けて、気象庁は初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。防災対策への関心が高まるなか、建設セクターには注目が集まりやすい。

◆ハピネット <7552> [東証P]
バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]傘下の玩具・ゲーム卸大手。8月8日に発表した2025年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比50.4%増の32億7800万円に伸びた。映像音楽事業やビデオゲーム事業の売上高は低調だったが、玩具事業は「ポケモンカードゲーム」「ONE PIECEカードゲーム」などのトレーディングカードが好調に推移した。また、アミューズメント事業で同社運営のカプセル玩具ショップ「ガシャココ」の出店を拡大したことも業績に貢献した。発表翌日の9日は好決算が評価されてストップ高となり、6月17日に付けた上場来高値3780円に接近。高値更新からの一段高に期待したい。

◆東宝 <9602> [東証P]
阪急系の邦画配給最大手。「週刊少年ジャンプ」で約10年にわたり連載されていた人気漫画「僕のヒーローアカデミア」が8月5日発売号で完結した。2日から公開された劇場版第4弾「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」の興行収入が3日間で8億9500万円を記録する大ヒットとなっている。同作品は10月からグループのTOHOインターナショナルが北米で公開する予定であり、業績への寄与が期待される。

◆ニデック <6594> [東証P]
精密小型モータ大手。中大型モータにシフト。7月23日に2025年3月期の連結営業利益を従来予想の2300億円から2400億円に上方修正。翌24日は業績修正が好感されて大きく買われたものの、その後は全体地合いの悪化に押される形で調整を強め、8月5日には5400円まで売られた。3月12日に付けた年初来安値5400円に顔合わせし、ダブルボトム形成からリバウンドが本格化するか注目される。

◆東京応化工業 <4186> [東証P]
半導体フォトレジストで世界首位級。8月6日に発表した2024年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結営業利益は前年同期比23.3%増の134億4300万円だった。生成AI関連の需要拡大などを背景にした半導体市場の回復により、下期もエレクトロニクス機能材料、高純度化学薬品ともに好調な伸びが見込まれる。株価は8月5日に2800円まで売られ、年初来安値を更新。その後はリバウンド基調にあり、目先の底は確認した形だろう。

(2024年8月9日 記)

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