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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「歴史的急落で一旦底打ち、戻りを試す」

株式評論家 富田隆弥

歴史的急落で一旦底打ち、戻りを試す

◆日本株にとって歴史的な1週間になった。日経平均株価は8月5日に過去最大の下げ幅(4451円安)を記録して3万1156円まで突っ込み、翌6日は過去最大の上げ幅(3217円高)となり、その後も日々、日中値幅は1000円~3000円と荒い振幅を見せている。

◆急落した要因として、円高の進行(キャリートレードの巻き戻し)や米国経済の変調(リセッション懸念の高まり)などが指摘されている。確かにその通りだが、チャートの観点では「買い人気が過熱状態にあった」ことで、反動安が大きくなったと考える。

◆年初から新NISA(少額投資非課税制度)のスタートや生成AI人気を背景に6カ月余りも上昇を演じ(途中、調整を挟む場面はあったが)、足もとでテクニカル指標は注意信号を灯していた。信用買い残は4兆9808億円(7月26日申し込み時点)と18年ぶり高水準に、裁定買い残(プログラム売買に伴う現物株買い)は2兆6817億円(7月12日時点)と6年2カ月ぶりの水準に膨れていた。そのような状況で相場が崩れれば、「需給」が逆回転するのは当然の帰結でもあった。

◆ただ、5日の歴史的急落が「セリングクライマックス」となったとみられることで、当面は戻りを試す展開となろう。変動率(ボラティリティ)が大きくなっているので乱高下しやすく、上昇する場面では「買い戻し」により急騰も演じやすくなる。

◆とはいえ、亀裂を入れた相場だけに、上には多くの節が控えている。移動平均線がその節になりやすく、200日線のある3万6900円前後や25日線・75日線がデッドクロスする3万8700円処などを目安に、どこまで戻せるかが当面の焦点になる。

◆ちなみに日足チャートでは、7月11日の史上最高値4万2426円から26日安値の3万7611円までが「一段下げ」、そして31日の戻り高値3万9188円から今回の急落で付けた8月5日安値の3万1156円までが「二段下げ」となる。ここからの戻りは3万8700円まで「アヤ戻し」の範囲となろう。この水準を突破しなければ「底打ち確認」とはならず、先行きの下値不安が燻り続けることも一応頭に入れておく。

(8月8日 記、次回更新は8月17日10時を予定)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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