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日経平均は一転過去最大の上昇幅に、不透明感残るなか「金」は輝き増すか <株探トップ特集>


―相場は反発期待強まる、米景気後退不安や中東情勢などなお不安要因多い―

 東京株式市場では、急激な円高や米株安などを背景にした乱高下が続いている。5日には日経平均株価は前日比4451円安と過去最大の下げ幅を記録し、7月最高値からの下落率は25%に達する急落状態となった。しかし、この日は一転、日経平均株価は3217円高と過去最大の上昇幅となった。「売られ過ぎの反発局面に入った」との期待は強い。しかし、市場には依然として強弱観が対立し「先行きの不透明感は強い」とみる声は少なくない。そんななか、最高値圏で推移する金価格の底堅さが注目を集めている。

●ナスダック指数は大幅安もチャート上に「大陽線」示現

 世界株安への懸念が膨らむなか、5日のNYダウは前週末比1033ドル安となり3日続落した。米景気後退不安を背景に、1200ドル超の下落となる場面があり、恐怖指数と呼ばれる「VIX」も一時、65.73と2020年3月の「コロナ・ショック」以来の水準に急騰した。エヌビディア<NVDA>やアップル<AAPL>といった主力株も急落した。しかし、市場の注目を集めたのは売り一巡後に下値に買いを入れる動きが強まったことだ。ナスダック指数は一時6%強下落したが、その後は値を戻し、終値は3.4%安だった。これによりチャート上には、日足で終値が始値を大きく上回る「大陽線」が示現。テクニカル的には、強い先高感を示すもので、反騰に向けた期待が膨らんだ。VIX指数も38.57で終わり、一時のパニック状態からは落ち着きをみせた。

●日経平均株価にも「売られ過ぎ」の各指標が相次ぐ

 この流れのなか、6日の東京株式市場で日経平均株価は急反騰し、前日比3217円04銭高の3万4675円46銭となった。上昇幅は1990年10月2日の2676円を上回り過去最大を記録した。上昇率も10.23%と歴代4位だった。「前日の急落で当面の底は確認したのではないか」(市場関係者)と期待する声が出ている。前日ストップ安と急落状態にあった東京エレクトロン <8035> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]など半導体関連株にも自律反発狙いの買いが入り、一転して急反発に転じた。

 前日時点で東証プライム市場の騰落レシオ(25日移動平均)は76.76%と80%を割り込み、売られ過ぎの水準にあった。日経平均株価の25日移動平均線からの下方カイ離率も20%を超え、売られ過ぎ水準の5%を大きく上回っていた。市場関係者からは「日経平均株価はまずは3万6000円近辺まで値を戻しそうだ」と期待する声が強まっている。

●米景気後退懸念など依然として不透明要因は満載

 とはいえ、秋口以降に向けて不透明要因は満載状態だ。そのひとつは、今回の世界株安の要因となった米景気後退懸念だ。米7月雇用統計や米7月ISM製造業景況指数が市場予想を下回り、世界株安の引き金を引いたが、今後の米経済指標次第では、再び米景気後退懸念を背景に株式市場は混乱に陥りかねない。

 加えて、中東情勢はきな臭さを増している。イスラム組織ハマスの最高指導者がイランで暗殺されたことから、イランなどはイスラエルに対する報復を宣言しており、中東の地政学リスクがいつ再燃するか分からない状況だ。また、11月5日の米大統領選まで3カ月を切った。民主党候補がバイデン大統領からハリス副大統領に代わり、共和党候補のトランプ前大統領と支持率では拮抗しており、「大統領選で支持者の対立が深まり、選挙後まで混乱が続くことが警戒される」(アナリスト)という。

●米金利低下期待が高まり金価格は最高値圏で推移

 そんななか、市場の関心を集めているのが「金」価格だ。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で2日には一時、1トロイオンス=2522.5ドルまで上昇し最高値を更新した。5日は利益確定売りで2444.4ドルに下落したが、世界的な波乱相場に揺れるなか高値圏を維持し、その底堅さは際立っている。リスク資産を売って安全資産を買う「質への逃避」の動きが強まるなか金が見直されている様子だ。米国で金利が低下基調にあることは金利の付かない資産である金にとっては相対的な魅力が増している状況ともみられている。

 金価格が最高値圏にあることに対して、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は「リスク資産からの逃避資金の流入や中東情勢への警戒感が強いことが背景にあるのだろう」と指摘する。更に、「米景気後退が懸念されるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利下げに踏み切るのなら、金価格には上昇要因に働きそうだ」という。今後も「利益確定売りの圧力も強いが、金は最高値圏での値動きが続くことが予想される」とみている。

●円高は警戒もSPDRや野村金連動、純金信託などに注目

 金価格は今後も堅調な展開が期待されるが、日本の投資家が金投資を考慮する場合、円高が進むなかではドルベースで表示される金価格は円換算すると目減りすることになる。このため、金価格とともに為替動向にも目配りが必要となることには注意が必要だ。これらの点を踏まえたうえで、金ETF・ETNのSPDRゴールド・シェア <1326> [東証E]、NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 <1328> [東証E]、純金上場信託(現物国内保管型) <1540> [東証E]、WisdomTree 金上場投資信託 <1672> [東証E]、NEXT NOTES 金先物 ダブル・ブル ETN <2036> [東証EN]、NEXT NOTES 金先物 ベア ETN <2037> [東証EN]などの動向が注目されそうだ。

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