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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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5986 モリテック スチール

東証S
158円
前日比
-1
-0.63%
PTS
158.2円
13:10 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.2 0.25 2.53
時価総額 35.6億円
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3カ月連続のマイナスの窮地から、27連勝に導いた「気づき」とは

すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 Kさんの場合-最終回

登場する銘柄
やまねメディカル<2144、現在は上場廃止>

編集・構成/真弓重孝、取材/高山英聖(株探編集部)

■Kさん(40代・男性・専業投資家)のプロフィール:
大阪府在住の専業投資家で、累計リターンは15億円になる。投資を開始したのは2006年、27歳の時。元手100万円から元本を一度も追加せず1500倍に増やす。手法は、一貫して超短期の順張り投資。定期的に自身の取引を振り返りながらレベルアップを図り、年間成績では17年間無敗を達成している。株を始める前は、月100万円以上を稼ぐパチプロとして腕を鳴らしていた勝負師だが、自身は損失のストレスに弱く、性格も投資も慎重派だと分析する。現在は妻と二人暮らし。「株探-個人投資家大調査-2023春」の回答者で、投資スタイルは「テクニカル・需給重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。

第1回「100万円を17年で累計15億円に、モメンタム重視・短期決着の技」を読む
第2回「23年話題のIPO、ispace株で2600万円を獲得した2つのポイント」を読む

年間成績で17連勝中のKさんにも、スランプに直面し、もがいた時期がある。

それが5年前の2018年1~3月だ。この3カ月で計1300万円の損失が発生。それまでのモメンタム投資の技が突然通用しなくなり、チャートの読みがことごとく外れてしまったのだ。「月間で3連敗したのは、この時だけ」(本人)

覚えている人も多いだろう。この年の2月には世界同時株安を引き起こしたVIXショックが襲った。こうした地合いの悪さに足を引っ張られたのは確かだが、問題の根源は自分自身にあったとKさんは振り返る。

連敗を招いた自身の問題に気づき対策を講じると、18年4月から連勝街道を突き進み始める。同年の年間成績は+6400万円を計上し、月間の連勝記録は20年6月まで27カ月続いた。

最終回は、Kさんがスランプから立ち直り、連勝モードに入ることができたポイントについて見ていく。

■2007~23年の年間損益の推移
【タイトル】
注:2023年は4月末までの損益

地合いの悪化で、見過ごしていた弱点が浮き彫りに

2018年に入ってからKさんが感じた異変は、17年末までの売買に比べて、明らかに手応えがなくなってきたことだった。

前年(17年)の年間リターンは1億1400万円と過去2番目の金額となっていた。それが18年に入ると、1月の月間損益は▲650万円、2月は▲550万円、3月も▲135万円と負けが続いた。

失敗した銘柄はオンコリスバイオファーマ<4588>、モリテックスチール<5986>など挙げればきりがない。騰勢の強い銘柄に飛び乗っても翌朝に下げに転じてしまい「まったく勝負にならなかった」(本人)

それまで経験がなかった逆境に直面し、自身の取引を振り返ると、反省点として挙がったのが、チャンスを待つ我慢強さに欠けていたことだ。不確実性が高い局面でも、目の前にチャンスのある銘柄があれば買わずにはいられなかった。結果、精度の低い売買を繰り返してしまっていた。

実は、Kさんはその前年の17年に800回を超える取引を実施していた。この年の取引回数は、ここ最近の年平均より2倍近い規模になる。

この回数勝負の勝ちパターンが永遠に通用するかのように考えていたことに、スランプの原因があるとKさんは結論づけた。それを機に、積極的に勝負に出る時期とそうでない時期があることを意識して相場に臨むようになった。

「手のない時には端歩を突け」 スランプを3カ月で脱却

この気づきをKさんに与えたのが、将棋の一流棋士たちが書いた自己啓発本だ。羽生善治氏や渡辺明氏などが勝負に対する心構えなどを記した書籍だ。

彼らの本を手にしたのは、自分の内面に向き合う上で、同じ勝負師として参考にできるポイントがあるはずだと考えたからだ。解決に役立ちそうな文章には赤線を引き(下の画像)、声に出して何度も音読した。

■Kさんが参考にした書籍と、赤線を引いたページの例
【タイトル】
撮影:Kさん

本を読みながら本人がハッとした言葉の1つが、「手のない時には端歩を突け」になる。有効な手立てがないときは、端の歩だけを1つ動かして様子を見よという意味がある。安易にリスクを取ることを戒めている。

どのような勝負事も、基本的には自分にプラスになる手を打っていく。ところが将棋の対局では、どんな手を打ってもマイナスにしかならない事態に直面することもある。その際は最もダメージの小さい手が最善手になる。

これを投資に置き換えれば、「これだ!」と思えるような銘柄を見つけても、地合いの良くないときは「投資しない」選択が最善手になる。

それまで攻め続けて資産を膨らましてきたKさんにとっては、お宝銘柄が見つかれば勝負に出るのが当然で、地合いを考えて勝負を避けることが最善手になるという発想はなかった。だが一流棋士の言葉を受け入れて、この時期を境に取引を絞り込む方向に転換した。

そして確度の高い材料が出てくるまで待つこと1カ月。ついに現れたチャンスが、この年の5月24日に発表されたある会社のニュースリリースだった。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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