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1963 日揮ホールディングス

東証P
1,318.0円
前日比
+14.5
+1.11%
PTS
1,312.7円
19:10 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.8 0.81 3.03 14.99
時価総額 3,422億円
比較される銘柄
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実用化へ向け加速、「核融合発電」燃え上がる関連有望株リスト <株探トップ特集>


―政府が核融合の開発戦略を正式決定、想定超のスピードで夢のエネルギー実現へ―

 「地上に太陽」をつくる。何を馬鹿げたことをと感じてしまうような話が、政府の国策の一角として今後大きく動き出そうとしている。実現に向けての道のりは簡単ではないものの、国内外で開発の動きは強まるばかりだ。フュージョンエネルギーと称される次世代エネルギーの筆頭格、 核融合発電のテーマにフォーカスを当て、有望株を探ってみる。

●「フュージョンエネルギー」を戦略推進へ

 「核」というと軍事的なイメージが想起され、ファーストインプレッションでネガティブな感想を持つ人も多いだろう。しかし、「核」はエネルギー分野において重要なキーワードでもある。4月14日には、政府の統合イノベーション戦略推進会議が「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を決定し、株式市場でも話題になった。

 フュージョンエネルギーとは、「軽い原子核同士(重水素、三重水素)が融合して別の原子核(ヘリウム)に変わる際に放出されるエネルギー」のことを意味する。近年、英国や米国においては学術用語としての“Nuclear fusion”をエネルギー分野では“Fusion”と呼称していることなどを踏まえ、核融合エネルギーのことをフュージョンエネルギーと同戦略では表現している。

 このフュージョンエネルギーを政府は、新たな産業として捉え、構築されつつある世界のサプライチェーン競争に国家として時機を逸せずに参入、実用化を加速することを戦略の中で表明している。当然ながら、産業協議会の設立、スタートアップなどの研究開発、安全規制に関する議論、新興技術の支援強化、教育プログラムなどを展開することも同時に掲げており、まさに新たな国策の一角として改めて位置づけている。

●世界的に加速する開発競争

 フュージョンエネルギーは、(1)カーボンニュートラル(発電の過程において二酸化炭素を発生しない)(2)豊富な燃料(燃料は海水中に豊富に存在し、ほぼ無尽蔵に生成可能な上に、少量の燃料から膨大なエネルギーを発生させることが可能)(3)固有の安全性(燃料の供給や電源を停止することにより反応が停止)(4)環境保全性(発生する放射性廃棄物は低レベルのみであり、従来技術による処分が可能)という特徴を有する。そのため、エネルギー問題と地球環境問題を同時に解決する次世代の切り札的な存在として期待されている。

 実際、この分野での開発競争は世界的に加速しており、直近では中国の核融合実験装置が高出力で安定した403秒のプラズマ運転を実現し、世界新記録を樹立したことが大々的に報じられたばかりだ。国内でも、新開発異種金属接合法を用いた核融合炉用高熱負荷機器開発において、重要マイルストーンを通過し核融合炉の実現にまた一歩近づいたことが核融合科学研究所と東邦金属 <5781> [東証S]の合同研究グループから発表された。

●「夢のエネルギー」は30年代に実現か

 元来、核融合発電は「夢のエネルギー」として語られていたが、今や2030年代に実用化されると考えている関連スタートアップ企業も非常に多いようだ。もちろん簡単なことと楽観できるような技術レベルの話題ではないが、一昔前の時間感覚では、到底考えられないほどの早さで技術開発は進んでいる。

 また、足もとでは依然としてロシアによるウクライナ侵略が継続中である。同問題は、直接的にはエネルギー資源とは無関係だが、間接的に各種資源価格の高騰を招いたことは周知の事実だ。また、直接的にもエネルギー資源を巡る争いは人類の歴史の中で延々と繰り返されてきた。しかし、核融合に使われる重水素と三重水素の原料になるリチウムは、海水から取得することができるため、大半の資源が持つ「偏在性」が既存のエネルギー資源と比較して大幅に解消される。また、エネルギー生成効率も爆発的に上昇するため、宇宙や深海といった人類にとっての未知の領域を切り開くことに活用することも期待されている。

 そこで今回のトップ特集では、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の決定をきっかけとして、核融合発電関連の銘柄に焦点を当てた。銘柄としては、核融合炉の実現に向けてカギを握る製品を手掛けている企業のほか、技術面で先行するスタートアップ企業への出資や技術協力を行っている企業。また、核融合エネルギーの早期実現のために、日本と欧州が共同で実施した「JT-60SA計画」において実績のある企業などをピックアップしている。

●核融合発電関連で要注目の6銘柄

◆古河電気工業 <5801> [東証P]~商業核融合エネルギー開発企業の英トカマク・エナジーと、23年1月に高温超電導(HTS)線材の供給契約を結んでいる。世界最初の実機規模を有する高磁場球状トカマク型核融合炉において、HTS磁石は球状トカマク炉の低価格商用化及び世界展開を実現する上で必須のデバイスだ。核融合炉の建設に必要な数百キロメートルに及ぶ量の高温超電導線材を、数年にわたり供給する。

◆フジクラ <5803> [東証P]~23年2月に、核融合炉の実証に取り組む米Commonwealth Fusion Systems(CFS:コモンウェルス・フュージョン・システムズ)にレアアース系高温超電導線材の納入を開始したと発表。同線材の生産能力を約2倍に拡大し、25年ごろまでに計1000キロメートル以上を供給する。同社の製品は核融合発電に必要な超電導電磁石を従来よりも小型化することができる。世界トップレベルの研究開発を継続しており、国内外に高性能で均一なレアアース系高温超電導線材を提供し、高い評価を得ている。

◆浜松ホトニクス <6965> [東証P]~レーザー核融合実現のカギとなる高出力レーザー技術の開発、イオンや電子、中性子に代表される量子ビームの応用開発及び新光学材料の開発と研究を行っている。レーザー核融合の実用化には、100万ジュールのパルスレーザーを10ヘルツで核融合燃料に照射する必要があるが、同社は23年1月に100ジュールのパルスレーザーを10ヘルツと高い繰り返し周波数で出力することに成功したことを発表。今後数年かけて出力の向上を確立する方針。

◆日揮ホールディングス <1963> [東証P]~グローバル・ブレインと共同で設立したCVCファンド「JGC MIRAI Innovation Fund(日揮みらいファンド)」は、プラズマの加熱や、核融合反応で生じた熱を取り出す技術に強みを持つ京都大学発のスタートアップ、京都フュージョニアリングに出資している。京都フュージョニアリングは資金調達により、核融合炉の加熱装置や熱取出し装置、核融合プラントエンジニアリングの技術開発を加速させる計画。

◆住友商事 <8053> [東証P]~22年6月に、核融合発電を開発する米TAEテクノロジーズ(カリフォルニア州)に出資した。今後TAEとの協業を通じて、脱炭素とエネルギー問題の切り札といわれる核融合分野への知見を深め社会実装に取り組む計画である。原子核同士を合体させてエネルギーをつくる技術の実用化をにらみ、素材開発などで協力する。

◆助川電気工業 <7711> [東証S]~量子科学技術研究開発機構が主導する形で、核融合エネルギーの早期実現のために、国際熱核融合実験炉(ITER)計画と並行して日本と欧州が共同で実施したプロジェクト「JT-60SA計画」において、実績を持つ。同計画で、ミリメートル単位の精度で設置することが求められる第一壁や各種磁気センサーの設置を受注している。

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