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6310 井関農機

東証P
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時価総額 238億円
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井関農 Research Memo(1):2022年12月期第2四半期は海外好調により増収達成


■要約

井関農機<6310>は、「農家を過酷な労働から開放したい」という理念の下、1926年8月創立の愛媛県松山市に本社を置く農業機械総合専業メーカーである。主に日本やアジアでは、農家、大規模農業法人などを中心に、欧州や北米では、景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などを対象にトラクタ・乗用芝刈機などの整地用機械、コンバインなどの収穫調製用機械、田植機・野菜移植機などの栽培用機械の開発・製造・販売・アフターサービスを行っているほか、輸入作業機の販売、OEMによる製品の販売など多岐にわたって事業を展開している。日本農業に関しては、耕耘から稲刈り、乾燥調整まで全てのフェーズにおいて製品を提供していることが特徴だ。

同社の強みは、「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」の3つである。特許の分野別公開数・登録数(2000~2006年までは「農水産」、2007年からは「その他の特殊機械」)は2000年以降、ほぼ一貫して1位になっている(2018・2020・2021年は2位)。また、近年では農機の販売に加えて、サービス面の強化に注力している。顧客である農家にとって有用な情報を自社ホームページにおいて発信、さらに営農ソリューション・ポータルサイト「Amoni」を2021年に開設し、気象情報や生育予測に関するデータの提供なども行っている。また、2015年には「そこに行けば先端営農技術が見える『皆様とともに農業の新しいステージへ』」をスローガンに「夢ある農業総合研究所」(夢総研)を設立した。行政・研究機関・大学・企業など外部のステークホルダーと連携し、スマート農業の研究・実証・普及活動を行っている。

これら同社の3つの強みと、「ベストソリューションの提供」「収益とガバナンス強化による企業価値向上」という新中期経営計画における2つの基本戦略を組み合わせ、創立100年となる2025年には次の100年に向けた礎づくり、営業利益率5%の目標を達成していく構えだ。

2021年12月31日時点の資本金は、233億4,474万円。グループ全体の従業員数は5,371名。2022年8月末時点関係会社は、連結子会社21社(国内販売会社9社、製造関連会社6社、その他:国内2社、海外4社)と持分法関連会社1社。非連結等も加えた国内販売網は系列販売会社11社、海外販売網は8社でグローバルにビジネスを展開している。

1. 2022年12月期第2四半期の業績概要
2022年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比0.1%増の86,721百万円、営業利益で同45.6%減の2,567百万円、経常利益で同39.6%減の3,328百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同37.5%減の2,578百万円となった。

売上高については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴い前期に政府が実施した経営継続補助金がなくなったことを受けて国内売上高は軟調に推移したものの、海外市場が好調だったことにより増収を達成した。利益については減少したものの、前年同期は国内で経営継続補助金に伴う需要喚起などの特殊要因によって利益が伸長したため、前期からの反動という側面が大きい。

今回の決算で注目すべきは、海外事業が引き続き好調だった点だ。同社は、新中期経営計画において「3つの重点地域で海外事業を拡大する」という目標を掲げており、2022年12月期第2四半期の業績は新中期経営計画が順調に進んでいる証左であると言えるだろう。特に北米、欧州においてコロナ禍によるライフスタイルとニーズの変化を的確に捉えたことが業績拡大に寄与した。

2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比5.3%増の166,500百万円、営業利益で同13.3%増の4,700百万円、経常利益で同1.9%減の4,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.0%減の3,100百万円と増収及び営業増益、経常利益以下は前年並みを見込んでいる。2022年12月期第2四半期の業績を受けて、売上高に占める国内・海外の比率を見直したものの、通期の予想は据え置いた。第2四半期に好調だった海外市場は、引き続き業績が好調に推移することを見込んでいる。これを受け、海外売上高は期初予想から6,200百万円増の53,700百万円に上方修正し一方で、国内売上高は、米価の下落や同社製品の販売価格改定の影響を鑑み、期初予想を6,200百万円下方修正し、112,800百万円を見込んでいる。

同社の業績予想は、達成の可能性は高いと弊社は考える。同社の新中期経営計画は2021年12月期から開始されており、「ベストソリューションの提供」「収益とガバナンス強化による企業価値向上」の2つの基本戦略の下、「選択と集中」「ビジネスモデル転換」「収益性改善」「ESG」という4つの観点から事業活動の変革が着実に進行しているためだ。

新中期経営計画において設定された4つの切り口に関して弊社は、同社を取り巻く外部環境の変化を捉えた適切な観点であると認識している。一例として「選択と集中」を挙げたい。農業経営は家族経営や兼業農家などの小規模農家から法人などの組織による大規模経営への移行が進んでおり、今後もその流れは継続していくことが見込まれる。そうしたなか、リソースを集中させて大型製品、スマート農機、野菜作機械、低価格商品を中心に投入するとしている。大型製品では、同社の大型主力機であるJapanシリーズの販売に注力することによって最大限の効果を獲得することが可能になるだろう。新中期経営計画の着実な実行によって今後のさらなる事業拡大が期待される。

■Key Points
・2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー
・2022年12月期第2四半期は海外事業の好調により前年同期比増収を達成
・新中期経営計画の着実な実行と今後の成長に期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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