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【特集】来年1月の本格運用迫る、「電子処方箋」関連株はデジタル化で飛躍本番 <株探トップ特集>

患者が医療機関から受け取る処方箋をデジタル化する「電子処方箋」の本格運用が来年1月から始まる。これに先駆けて10月末からモデル事業が実施されることになっており、関連銘柄への関心が高まりそうだ。

―10月末からモデル事業スタート、システム開発や診療DBなど関連企業の商機拡大―

 厚生労働省は10月末から山形県酒田地域、福島県須賀川地域、千葉県旭地域、広島県安佐地域の4ヵ所で「電子処方箋」のモデル事業を始める予定だ。これは来年1月の全国での本格実施に先駆け、運用プロセスの検証や課題整理などを目的に行うもの。先行導入が可能な医療機関・薬局を対象に、効果的な服薬指導を実現するため、重複投薬などのチェックをはじめとした運用面などを検証するとしている。現在は紙ベースでやりとりされている薬の処方歴などを電子データにしてオンラインで管理できるようになれば、患者は紙の処方箋を薬局に持参しなくてもスマートフォンのアプリなどを使って薬の処方を受けられるようになり、利便性が高まりそうだ。

●医療機関・薬局・患者にメリット

 電子処方箋は、患者の加入している医療保険の確認などを行う仕組みとして既に稼働している「オンライン資格確認等システム」を基盤にして運用される。同システム上に構築された「電子処方箋管理サービス」に医師・歯科医師が処方箋を送信し、薬剤師がそのデータを薬局のシステムに取り込んで調剤を実施、調剤結果を「電子処方箋管理サービス」に記録することとなっている。システムを導入している医療機関・薬局は、患者が過去の薬剤情報の利用に同意すれば、過去3年間の薬剤情報や直近での処方・調剤結果を閲覧できるようになり、診療や服薬指導に生かすことで質の高い医療を提供できるほか、業務の効率化などが期待される。また、複数の医療機関・薬局間での情報共有が進むことで、より適切な薬学的管理が可能になるため、患者の更なる健康増進につながるといったメリットもある。

 厚労省は電子処方箋の導入により、処方・調剤段階での重複投薬を回避し、薬剤費の削減効果を創出したい考えで、10月末から行うモデル事業を通じて電子処方箋の更なる活用方策についてとりまとめる予定だ。同省は来年度予算の概算要求で「電子処方箋の安全かつ正確な運用に向けた環境整備」に14億円を計上するなど、医療機関・薬局の導入を促進する構えをみせており、関連銘柄に目を配っておきたい。

●ソフトMAX、メドレーなど注目

 ソフトマックス <3671> [東証G]は、総合医療情報システムの開発・販売・導入・保守などを手掛けている。同社のWeb型 電子カルテシステム「PlusUs-カルテ」は、電子カルテ、オーダリング(医師の指示をパソコンに入力して各部門に伝達するもの)、看護支援が一体となったパッケージシステムで、情報を1つのデータベースに合理的に一元管理することが可能となることから、患者に処方した医師のさまざまな指示を看護師や対象の診療科に正確に伝えることができる。

 メディカル・データ・ビジョン <3902> [東証P]は、国内最大級の量と質を誇る診療データベース(DB)を保有していることが強み。その診療DBを活用して患者数や処方日数、処方量などを容易に分析できるWeb分析ツール「MDV analyzer」に、療養中の患者の処方変更などが確認できる新たな機能を搭載した「MDV analyzer for Patient Journey」などを提供している。

 メドレー <4480> [東証G]は成果報酬型医療介護求人サイト「ジョブメドレー」をはじめとした人材プラットフォーム事業と、オンライン診療システム「CLINICS オンライン診療」を中心とした医療プラットフォーム事業を展開している。かかりつけ薬局支援システム「Pharms(ファームス)」は、処方箋のネット受付やオンライン服薬指導機能、服薬フォローアップ機能、処方医や地域医療との連携強化に利用可能なオンライン診療やトレーシングレポート(服薬情報提供書)作成機能などの提供を通じて、「門前薬局」から「かかりつけ薬局」への転換を支援している。

 JMDC <4483> [東証P]は保険者が保有するデータの分析サービスなどを手掛けるヘルスビッグデータ事業が主力で、遠隔医療事業や 調剤薬局支援事業なども行っている。子会社のflixyが医療機関向けに展開するWeb問診サービス「メルプWEB問診」は、22年4-6月の臨床での累計利用患者数が100万人を突破し、3ヵ月間の臨床利用患者数(累計)として過去最多を記録。また、子会社であるユニケソフトウェアリサーチのグループ会社で、保険薬局向けのシステム開発を行うノアメディカルシステムは、9月から調剤薬局支援システム「NO@H FOR THE PHARMACY V7(ノア フォーザファーマシー バージョン7)」の販売を開始した。

 メドピア <6095> [東証P]は、医師・薬剤師向けコミュニティーサービスを中心とした「集合知プラットフォーム事業」、薬局やクリニックが自らのCRMアプリを簡単に構築できる「プライマリケアプラットフォーム事業」、病院の退院調整業務をサポートする「介護支援プラットフォーム事業」、主に企業の人事部門や健康保険組合をクライアントに持つ「予防医療プラットフォーム事業」を展開している。7月には医療機関起点の薬局向け処方箋画像事前送信サービスなどを手掛ける子会社「やくばと」を設立。アルフレッサ ホールディングス <2784> [東証P]子会社のアルフレッサと「やくばと」の事業拡大に向けた取り組みを共同で行うことで合意している。

 このほかでは、国内最大級の医療専門サイト「m3.com」を活用して多様なサービスを提供するエムスリー <2413> [東証P]、調剤薬局チェーンを全国展開する日本調剤 <3341> [東証P]、調剤薬局向けシステムを手掛けるイーエムシステムズ <4820> [東証P]、オンライン資格確認等システムと連携する医療機関・保険薬局向け医事コンピューター用ソフトウエアを扱うPHCホールディングス <6523> [東証P]、在宅訪問薬局「きらり薬局」を運営するHYUGA PRIMARY CARE <7133> [東証G]などが関連銘柄として挙げられる。

 また、電子処方箋を利用する際、 マイナンバーカードを健康保険証として使うと更に便利になることから、マイナンバーカードの保険証利用に対応したオンライン資格確認用の顔認証付きカードリーダー「Hi-CARA(ハイカラ)」を販売しているキヤノンマーケティングジャパン <8060> [東証P]、グループ会社がオンライン資格確認対応の顔認証付きカードリーダー「マイナタッチ」を手掛けるUSEN-NEXT HOLDINGS <9418> [東証P]にも商機がありそうだ。

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