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【特集】「御社の成長戦略は万全ですか?」 億り人が勝負銘柄のトップに迫る

すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 amaちゃんの場合
Part.2~第1回


登場する銘柄
エリアリンク<8914>

イラスト:福島由恵
■amaさん(ハンドルネーム・60代・男性)のプロフィール:
定年退職してから配当収入で暮らしている専業投資家。日本株資産の3億5000万円の大部分をエリアリンクに配分している。2024年に確定する配当金は1000万円以上を見込む。銘柄選びでは、サラリーマン時代に新規事業開発やグループ会社の経理監査を担当した際に培った統計分析の手法などを活用している。

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「ほぼ1点買い」で勝負している億り人は、どのような銘柄分析をしているのか。それを探るため、編集部は、ある億り人が、その投資先の社長との間で行うIR(投資家向け広報)ミーティングの場に同席した。

その億り人とは、本コラムに約半年前に登場したamaちゃん(ハンドルネーム、以下amaさん)。現在は定年退職している専業投資家だ。そのamaさんは、レンタル収納スペースの運営大手であるエリアリンク<8914>に、ほぼ1点買いの形で勝負を挑んでいる最中だ。

2021年3月から開始した同社に対する2回目の勝負で、足元の運用額は3億3000万円に達し、うち含み益は2億円以上となっている。その原動力となったのが、現役時代に磨いた分析力になる。

旧東証1部の老舗企業に勤務時代、本人は新規事業の立ち上げやグループ会社の経理監査を担当した経験を持つ。それらの知見を基にエリアリンクを分析したところ、「グレートグロースを期待できる」と長期保有を決めた。

自分の見立ては、維持でOKなのか――。その確認のため、amaさんはエリアリンクの鈴木貴佳社長と面談する機会を持った。

これらの模様を4回に分けて紹介していく。1回目は、編集部がamaさんに鈴木社長との面談で、具体的にどのような点をチェックしたいと考えているのかを確認した。

2回目と3回目は、鈴木社長とのやりとりを、そして最終回は面談後のamaさんの感想について紹介する。まずは、amaさんに面談で聞き出したいことについて、編集部が聞いた。

(聞き手は真弓重孝、高山英聖/株探編集部)

■今回のポイント
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集中投資できるのは、安定度の高い収益モデルだから

――定年退職されたamaさんが、エリアリンク<8914>に対してリスクを取って「ほぼ1点買いの集中投資」をするのはなぜですか。

amaさん: 主に2つあります。

1つ目は、同社が業績の安定しやすい事業モデルを築いていると見ていることです。エリアリンクは、2020年頃に現在のストック型を中心とする収益構造へと移行しました。

その成果は、ここ数年の増収増益に表れています。22年12月期から1桁%の増収、営業利益は2桁%の増益を続けています。

今期(24年12月期)も同様のペースを維持する見込みです。通期計画に対する3Q時点の進捗率は、売上高が79%、営業利益が81%と順調に推移しています。

■『株探プレミアム』で確認できるエリアリンクの成長性の長期推移
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――同社の基幹事業は、収納スペースの貸し出しです。

amaさん: エリアリンクは全国各地で不動産を借り、主に3つのタイプの収納スペースを構築して、ビジネスをしています(下の写真)。その収入源は利用者から受け取る毎月の賃料で、ランニングコストは主に建物や土地の賃借料になります。

このレンタル収納スペースは「トランクルーム」や「セルフストレージ」とも呼ばれ、自宅に入り切らない荷物の保管場所として近年需要が拡大しています。

同社は毎年出店を増やし、足元で10万室以上を運営、そのうち85%程度が稼働しています。市場シェアは室数ベースで17%と、国内最大手の位置付けとなります。

■収納スペースの形態
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提供:エリアリンク

収益成長の鍵は稼働率、1年くらい先なら精度の高い予測が可能

――集中投資するもう1つの理由は?

amaさん: 投資リスクが管理しやすい点です。私は、同社が公表しているデータを使って収納スペースの稼働率を定点観測しています。

そのデータを分析することで1年くらい先の業績ならそれなりの精度で予測できます。変調にいち早く気づくことができれば、先回りで対処が可能です。

長期計画の実現性は、未知数

――業績が安定的であり、収益の予測もしやすい。そうした状態が、長期で続くと見るポイントは。

amaさん: 同社が掲げる長期の「出店計画」が、実現可能なのかということに尽きます。その計画では、2029年までに運営室数を現状の2倍の20万室に引き上げるというものです。

エリアリンクは現在の10万室体制にするまで、1999年の事業開始から四半世紀ほどをかけてきました。ところが新たな計画は、7年で新たに10万室を出店するというのです。

単純計算で、従来の3倍以上の速度で、新規出店していくことになります。

■エリアリンクの月足チャートとamaさんの投資動向(2019年末~)
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注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同


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――少子高齢化や人口減で空き家が増え、賃貸家屋の空室率が高まっている状況を踏まえると、「そんな速度で出店を広げても大丈夫?」と不安になりませんか。

amaさん: 単純に考えれば、そうした懸念を持つのは当然です。

それに対する私の見解を述べる前に、同社が出店を加速させる背景について自分なりの見解を触れると、シェア競争を意識しているためと見られます。

収納スペースの賃貸事業は、先に好立地を押さえた者が勝つ「陣取り合戦」の要素が強いビジネスです。国内のトランクルーム市場は現在、黎明期で、シェアの拡大には出店増が欠かせない段階です。それらを踏まえると、同社が出店を加速するのは、意味のある取り組みと捉えています。

私の分析では、同社が計画通りに出店を増やしていけば、市場シェアは足元の17%から24%へと約1.5倍に引き上がると見ています。

つまり、7年で現在の1.5倍近いシェアを握る可能性があるのです。業界での地位が今より強固になるならば、株を保有する安心感が高まります。

ただし、市場シェアの拡大戦略を評価するうえでは、2つのポイントを明確にしておく必要があります。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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